女川原子力発電所における
主な安全対策と工事状況について
東京電力福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、
女川原子力発電所では、大きな災害にも耐えられる発電所を目指し、
設備・運用の両面からさまざまな安全性向上対策に取り組んでいます。
これらの主な安全対策と工事状況についてご説明いたします。
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震災前の安全対策
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震災前の安全対策
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女川原子力発電所の主な安全対策
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女川原子力発電所の主な安全対策
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女川原子力発電所の主な安全対策
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女川原子力発電所の主な安全対策
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女川原子力発電所の主な安全対策
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1
地震から守る
大きな揺れにも耐えられるように建屋上部の鉄骨部材追加や配管へのサポート部材追加などの耐震工事を実施しています。
工事の状況
原子炉建屋屋根トラス※・壁の耐震性向上
2
津波から守る
過去の地震規模・津波などを参考に、厳しい条件を想定して、海抜29mの防潮堤設置工事などを実施しています。
工事の状況
防潮堤
想定される基準津波の最高水位23.1mに対して、海抜29m、全長約800mの防潮堤設置工事を実施しています。
また、津波による漂流物(小型船舶や車両を想定)の衝突に備え、漂流物防護工を設置しています。
3
電源を確保する
地震や津波などの影響により、万一、発電所の外部電源や非常用ディーゼル発電機が使えなくなった場合に備え、ガスタービン発電機の設置や電源車の配備を行っています。
工事の状況
ガスタービン発電機 / ガスタービン発電機用地下軽油タンク
4
原子燃料を冷やす
万一、外部電源や非常用ディーゼル発電機、ガスタービン発電機などの電源が失われても、原子炉や使用済燃料を安定的に冷やすため、大容量送水ポンプ車の配備や冷却水を確保するための淡水貯水槽を設置し、冷却機能を強化します。
工事の状況
5
事故の影響を抑える
放射性物質を閉じ込める機能を持つ原子炉圧力容器や原子炉格納容器の損傷を防止する装置や、放射性物質の放出による環境影響を抑えるための装置などを設置し、事故の影響を抑えるための備えを強化します。
工事の状況
フィルタ付格納容器ベント装置
原子炉圧力容器や原子炉格納容器の損傷防止や放射性物質の放出による環境影響を抑えるためにフィルタ付格納容器ベント装置を設置し、万一の際の放射性物質の放出量を1,000分の1以下に抑制します。
6
リスクに備える
発電所周辺で森林火災が発生した場合や地震や津波以外で想定される火山噴火、竜巻などへの対策、さらには故意の航空機衝突などのテロ行為を想定したさまざまな対策を行っています。
工事の状況
追加で実施している電線管の火災防護対策工事
女川2号機の「火災防護対策」は、新規制基準への適合性審査を経て、原子力規制委員会から許認可いただいた内容に基づき順次進めています。そうした中、他電力の原子力発電所において同委員会から「電線管の火災防護対策」に関する指摘があり、2022年10月に女川2号機においても水平展開の必要性を確認したことから、同年12月に工事の実施を決定し、順次進めています。
この工事は、発電所建屋内の安全上重要な機器や設備に接続している電線を保護する電線管を、耐火材でラッピングし、万一の火災で電線が損傷しないよう対策を強化しています。
工事の状況
特定重大事故等対処施設
原子炉建屋への故意による大型航空機の衝突等のテロリズムにより、炉心に著しい損傷が発生するおそれがある場合などにおいて、原子炉格納容器の破損を防ぎ、放射性物質の放出を抑制するため、遠隔で原子炉圧力容器内の減圧や原子炉格納容器内の冷却等を行う施設を設置します。
女川原子力発電所
安全対策実施状況について
発電所パンフレット
女川原子力発電所の概要について
さまざまな設備面での安全対策を施しても、こうした設備を操作するのは人です。安全対策をより確実なものとするため、運用面においても継続的な強化を図っています。
安全対策設備の配置状況や発電所構内の各施設について、
3Dグラフィックや360度パノラマ画像にてご覧いただけます。
はこちら
東日本大震災時
東京電力
福島第一原子力発電所の
事故の進展
原子力発電所の安全確保のためには、原子炉を「止める」、燃料を「冷やす」、放射性物質を「閉じ込める」といった機能が求められます。
東京電力福島第一原子力発電所の事故では、地震発生時には、原子炉を「1.止める」こと、燃料を「2.冷やす」ことには成功しました。しかし、その後、津波の襲来により、非常用電源や冷却用の海水ポンプなどが浸水・破損し、全ての電源を失ったため、燃料を「2.冷やす」ことができなくなりました。その結果、燃料が収められた炉心が損傷し、放射性物質を「3.閉じ込める」ことができなくなりました。
- 女川原子力発電所
- 女川原子力発電所は、東日本大震災時、地震の影響により送電線5回線のうち4回線が停止したほか、1号機の高圧電源盤が焼損しました。また、配管の貫通部などから海水が流入したことにより、非常用ディーゼル発電機の一部が使用不可となるなどの被害がありましたが、幾重もの安全対策により、設計どおり安全に停止することができました。