平成17年4月5日
女川原子力発電所1号機(沸騰水型、定格電気出力52万4千kW)は定格熱出力一定で運転中のところ、原子炉格納容器(以下、「格納容器」という)への窒素補給回数が通常よりも増加していることから、2月24日(木)23時40分に原子炉施設保安規定に基づき原子炉を手動停止することを決定しました。( 2月25日お知らせ済み)
その後、2月25日(金)に原子炉を停止し、運転中に窒素が漏えいする可能性のある全ての範囲を調査対象とした点検計画を定め、調査を実施することとしました。
本日、原因に関する調査結果ならびに再発防止対策がまとまり、経済産業省原子力安全・保安院に報告書を提出しましたのでお知らせいたします。
1.窒素補給回数増加に関する調査結果の概要(添付資料−1) |
|
(1) |
格納容器運転圧力(約2〜6キロパスカル注1)における漏えい箇所特定調査の結果、高圧注水系タービン排気ライン逆止弁のシート部からの漏えいが確認されました。 |
|
(2) |
漏えい箇所を補修する前に格納容器全体漏えい率試験(設計圧力:約400キロパスカル)を実施した結果、漏えい率は0.0659%/日であり、0.5%/日注2を満足することはもちろん、過去の格納容器全体漏えい率検査の範囲内であることを確認しました。 |
|
(3) |
調査過程において、当該逆止弁シート部からの漏えい以外に10箇所で漏えいを確認しましたが、いずれも格納容器の気密性に影響を与えるものではありませんでした。 |
|
(4) |
なお、窒素補給回数が増加していたことについては、「定期検査時に行う格納容器全体漏えい率検査結果に問題がなかったこと」、「最近の運転サイクルにおいては2〜3回/月の窒素補給回数であったことを女川1号機の特性によるものと解釈したこと」などから、格納容器からの窒素漏えい事象を早期に把握することができませんでした。 |
2.窒素漏えいの推定原因(添付資料―2) |
|
(1) |
調査の結果、窒素補給回数が増加したのは、高圧注水系タービン排気ラインの逆止弁シート部からの漏えいによるものと推定されます。 |
|
(2) |
漏えいの原因は、当該逆止弁のアームと弁体ロッドの接合部の隙間にスケール注3が付着したことに加え、弁の動作に伴う弁体ロッドのわずかな変形が相まって、弁体の動きが悪くなり、格納容器運転圧力(約2〜6キロパスカル)において弁体の着座不良が発生し漏えいに至ったものと推定しております。 |
3.漏えい箇所の補修および健全性確認 |
| (1) | 当該逆止弁については、弁体ロッドの補修およびシート部の点検・手入れを行いました。また、その他の微小な漏えいが確認された箇所全てについても点検・補修を行いました。 |
| (2) |
漏えいが確認された箇所の補修終了後、当該逆止弁の運転圧力および設計圧力による局部漏えい試験を行い、当該逆止弁シート部からの漏えいがないことを確認するとともに、最終的に格納容器全体の漏えい率試験(約400キロパスカル)を実施し、格納容器全体としての健全性を確認しております。
なお、最終的に実施した格納容器全体漏えい率試験の結果は0.0485%/日であり、過去の格納容器全体漏えい率検査の範囲内でありました。 |
4.再発防止対策(添付資料−3) |
|
(1) |
高圧注水系タービン排気ラインの逆止弁および類似弁については、定期検査の都度点検することとし、アームと弁体ロッドの接合部の状況変化などを確認することとしました。 |
|
(2) |
今回の事象を踏まえ、運転中における格納容器の気密性確認方法を定め、運転中の格納容器気密性の傾向を監視することで、格納容器からの窒素漏えい事象の早期発見等、きめ細かな運転管理を行うこととしております。 |
|
(注1) キロパスカル |
|
|
キロパスカルとは圧力を示す単位で、1キロパスカルは1平方センチメートルに約10グラムの力がかかった時の圧力です。格納容器の運転圧力、設計圧力は格納容器内外の圧力差で管理しています。日常生活で私たちは約100キロパスカル(大気圧、1気圧)の圧力を受けていますので、運転圧力の約2〜6キロパスカルというのは水深0.2m〜0.6mの深さで受ける水圧に相当します。また、設計圧力の約400キロパスカルというのは水深40mの深さで受ける水圧に相当します。 |
|
(注2) 0.5%/日 |
|
|
原子炉施設保安規定で定める格納容器漏えい率の基準値(常温、空気、設計圧換算) |
|
(注3) スケール |
|
|
鉄錆や当該弁摺動部からの磨耗粉等 |
以上
(添付資料1)窒素補給回数増加に関する調査結果の概要
(添付資料2)高圧注水系タ−ビン排気ライン逆止弁 概略図(PDFファイル)
(添付資料3)再発防止対策について
女川原子力発電所発行の広報紙「発電所だより」はこちら。⇒⇒
|