プレスリリース

女川原子力発電所2号機高圧第2給水加熱器(B)ベント配管等の点検調査結果および原子力安全・保安院の指示に基づく配管肉厚管理方法の徹底に関する報告書提出について

平成18年7月6日

 当社、女川原子力発電所2号機(沸騰水型、定格電気出力82万5千kW:宮城県牡鹿郡女川町、石巻市)は、定格熱出力で運転中のところ、気体廃棄物処理系*1を流れる気体の量が、2月中旬頃から徐々に増加してきていたことから、5月11日より約1カ月の予定で中間停止に入り、点検・調査を行うこととしました(5月11日お知らせ済み)。その後の点検調査の結果、高圧第2給水加熱器*2(B)から復水器につながるベント配管*3の曲管部(以下、エルボ部)に穴があることを確認し(5月23日お知らせ済み)、原因について調査・分析を行うとともに、類似箇所等の点検を行ってまいりました(6月12日お知らせ済み)。
 本日、この点検調査結果、および、原子力安全・保安院からの指示文書『女川原子力発電所2号機原子炉手動停止に係る配管肉厚管理の徹底について(平成18年6月7日付)』に基づく配管肉厚管理方法の見直しについて、同院へ報告するとともに、地元自治体への情報提供を行いましたのでお知らせいたします。

1.女川2号機高圧第2給水加熱器(B)ベント配管等の点検調査結果
(1)穴が開いた原因の調査結果
別紙1参照(PDFファイル)

 高圧第2給水加熱器(B)から復水器につながるベント配管のエルボ部に穴が開いた原因について調査・分析を行いました。内面観察の結果、エロージョン*4と思われるのこぎり歯状の凹凸が確認されたことから、これにより減肉が進展し、穴が開いたものと推定しました。また、高圧第2給水加熱器(B)のみに著しい減肉が発生した原因については、同(A)に比べ、復水器までの配管が短く、エルボの数が少ないことから、ベント配管内の流体速度がより速い状況にあったことや、運転データに基づき評価した結果、内部を流れる水蒸気の量が多いことにより、粒がより大きい水滴が存在する環境にあったことから、エロージョンがより顕著に発生したものと推定されます。
 なお、当該エルボ部については、6月3日に新品に取り替えました。

(2)類似箇所等の調査結果別紙2参照(PDFファイル)

 女川2号機については、今回の事象を踏まえ、水滴によるエロージョンが発生する可能性がある箇所として、給水加熱器から復水器につながる配管のエルボ部等401箇所を点検するとともに、次回以降の定期検査で点検を予定していた減肉検査の対象箇所のうち、これまで未点検であった255箇所の点検を行いました。その結果、スチームコンバータ系*5の温水を循環させる配管1箇所に技術基準に定める必要最小肉厚を下回る著しい減肉が確認されました。
 また、第17回定期検査中の女川1号機についても同様に、水滴によるエロージョンの発生する可能性がある373箇所、および、次回以降の定期検査で点検を予定していた減肉検査の対象箇所のうちこれまで未点検であった193箇所について点検を行った結果、復水補給水系*6からの水量を調節して復水器の水位を調節する配管1箇所に技術基準に定める必要最小肉厚を下回らない著しい減肉と原子炉隔離時冷却系*7の蒸気凝縮ドレンを排出する小口径の配管1箇所に技術基準に定める必要最小肉厚を下回る著しい減肉が確認されました。

(3)対策

 著しい減肉が確認された配管は、新品への交換を実施するとともに、当該エルボ部および今回の調査で著しい減肉が認められた箇所については、今後の点検頻度を上げる等、きめ細かい管理を行います。
 なお、今後減肉の原因調査を行い、その調査結果を踏まえた追加点検を行うこととします。

2.原子力安全・保安院からの指示文書『女川原子力発電所2号機原子炉手動停止に係る配管肉厚管理の徹底について』に基づく配管肉厚管理方法の見直しについて

 当社は、今回の改善指示を真摯に受け止め、配管肉厚管理方法について点検頻度、代表部位による管理方法、検査対象箇所選定フローの見直しを行いました。
 具体的には、
(1)女川1、2、3号機については、今後点検を予定していた未点検箇所を全て点検し、余寿命を評価するとともに、これらの点検結果を踏まえて計画を見直し、適切に配管肉厚を管理します。
なお、東通1号機については、営業運転開始後間もないことから、第3回定期検査までに、減肉が顕著に発生すると予想される箇所(減肉監視対象箇所)を点検します。
(2)自他社プラントの減肉事例等から減肉が顕著に発生すると予想される箇所については、今後とも代表性を排除して全てを検査対象とします。また、減肉の発生する可能性が低い箇所(健全性確認対象箇所)については、営業運転開始後30年を経過する前までに全て点検します。 (3)以上の方針を踏まえ、「機器・配管肉厚管理要領書」の配管減肉管理フローを見直しました。(別紙3参照(PDFファイル)

3.今後の対応

 女川2号機については、第8回定期検査の開始時期が近づいていること、および、新たに確認された著しい減肉の原因調査を行うとともに、配管の追加点検を行う必要があることから、このまま7月中旬より定期検査に入る予定です。
 また、女川3号機については、今週末までに計画的に停止し、次回以降の定期検査で点検を予定していた未点検箇所について点検する予定です。
 なお、著しい減肉が発生した原因の調査と追加点検の結果を踏まえ、必要に応じて配管肉厚管理要領を見直すとともに、それらの内容については、まとまり次第お知らせいたします。

以上

(別紙1−1) 女川2号機 高圧第2給水加熱器(B)ベント配管概念図(PDFファイル)
−2) 当該箇所のスケッチおよび写真(PDFファイル)
−3) 当該エルボ部内面損傷状況写真(PDFファイル)
−4) A/B系の配管長、エルボ数、管内平均流速の比較(PDFファイル)
−5) 水滴の流速と減肉率の関係(PDFファイル)
(別紙2−1) 女川2号機 スチームコンバータ系減肉状況(PDFファイル)
−2) 女川1号機 復水補給水系 減肉状況(PDFファイル)
−3) 女川1号機 原子炉隔離時冷却系 減肉状況(PDFファイル)
(別紙3)      配管減肉検査対象箇所選定フロー(PDFファイル)
*1: 気体廃棄物処理系とは、復水器の真空度を保つために系統内に流れ込む空気を抽出し、あわせて、復水器に流入する気体状の核分裂生成物の放射能を減衰させる系統。
*2: 給水加熱器とは、原子炉に送る給水を、高圧タービンからの蒸気などとの熱交換により温め、熱効率を上げるものであり、高圧第1、第2、低圧第1、第2、第3、第4、および低圧給水加熱器ドレン冷却器の7段階の加熱器で構成。
*3: 高圧第2給水加熱器ベント配管とは、高圧第2給水加熱器内の非凝縮性ガスを復水器に排出するために給水加熱器に設置されている配管。
*4: エロージョンとは、蒸気と凝縮した液滴が混じって流れている配管において、液滴が高速で配管内面に衝突し、浸食することにより発生する。
*5: スチームコンバータ系とは、タービンからの抽気を加熱源として熱交換を行い、非放射性の蒸気を発生させ、所内蒸気を供給する系統。
*6: 復水補給水系とは、主に各建屋に設置されている機器等への補給水の供給および点検時における機器等への洗浄水の供給を目的とした系統。
*7: 原子炉隔離時冷却系とは、主蒸気隔離弁が閉じ原子炉が隔離された場合に、原子炉内の水位を確保し冷却するための系統。
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