プレスリリース

女川原子力発電所2号機の中間停止におけるハフニウム板型制御棒および
原子炉再循環ポンプ(A)軸封部の点検結果について

平成18年6月12日

 当社、女川原子力発電所2号機(沸騰水型、定格電気出力82万5千kW:宮城県 牡鹿郡女川町、石巻市)は、定格熱出力で運転中のところ、気体廃棄物処理系*1を流れる気体の量が、2月中旬頃から徐々に増加してきていたことから、5月11日から約1カ月の予定で中間停止に入り、点検・調査を行うこととしました。また、これにあわせて、原子力安全・保安院の指示に基づくハフニウム板型制御棒の点検および圧力上昇傾向が確認されていた原子炉再循環ポンプ(A)の軸封部(メカニカルシール)の交換等も行うこととしました(5月11日お知らせ済み)。
 このうち、ハフニウム板型制御棒と原子炉再循環ポンプ(A)の軸封部の点検結果がまとまりましたので、お知らせいたします。
 なお、これらの事象については、いずれも法律に基づく報告事象ではありません。

1.ハフニウム板型制御棒の点検結果

 ハフニウム板型制御棒については、原子力安全・保安院からの指示「制御棒のひび等に関する点検について(平成18年1月19日付)」に基づき、ハフニウム板型制御棒全13本の点検を行ったところ、福島第一原子力発電所6号機で確認されているシース*2を横断するようなひびは確認されませんでしたが、そのうち5本の上部(ハンドル*3とシースをつなぐ溶接部近傍)に微小なひびがあることを確認しました(5月23日お知らせ済み)。
 ひびが発生した原因について調査を行った結果、照射誘起型応力腐食割れ*4の可能性があることが確認されました。
 これは、平成15年に福島第二原子力発電所3号機などの他社号機で発生した事象と同様のものであり、制御棒の健全性に影響を与えるものではないとされおりますが、念のため、この微小なひびがあるハフニウム板型制御棒について健全性の評価を行いました。その結果、ひびがある状態で継続使用しても原子炉の安全性に影響を与えるものではないことが確認できたことから、当該制御棒については引き続き使用することとしました。なお、ひびがなかった4本のハフニウム板型制御棒については引き続き使用するとともに、運転中に熱中性子照射量が4.0×1021n/cmを超えたハフニウム板型制御棒4本については、取替えを行っております。

2.原子炉再循環ポンプ(A)軸封部(メカニカルシール)の点検結果

 原子炉再循環ポンプ(A)の軸封部(メカニカルシール)については、第一段軸封部のシートリングのシール面に微小な傷が認められました(5月23日お知らせ済み)。
 さらに詳細な点検を行った結果、第一段軸封部のシートリングと回転リングのシール面に面荒れと摺動痕が認められました。この面荒れと摺動痕により、第一段軸封部のシール機能が低下し、より多くのシール水が第一段軸封部から第二段軸封部に流れ出して、第二段軸封部の圧力が上昇したものと推定いたしました。
 第一段軸封部のシートリングと回転リングのシール面に面荒れと摺動痕が発生した原因としては、シートリングと回転リングのシール面の当たりが変化したことや、シール摺動面に微細な異物が混入したためと推定しております。

 当該軸封部については新品に取り替えるとともに、再発防止対策として、従来から実施している異物混入防止対策を引き続き実施いたします。また、シール摺動面の更なる安定性向上に向けた技術開発を検討し、その結果を適宜反映してまいります。

 なお、気体廃棄物処理系の気体流量増加に伴う点検・調査については、現在、高圧第2給水加熱器*5(B)から復水器につながるベント配管*6のエルボ部に穴が開いた原因について調査・分析を行うとともに、水平展開箇所の点検も行っております。本件については、結果がまとまり次第お知らせいたします。

以上

(別紙1−1〜6) ハフニウム板型制御棒点検状況について(PDFファイル)
(別紙2−1) 原子炉再循環ポンプ軸封部概念図(PDFファイル)
(別紙2−2) 原子炉再循環ポンプ(A)シートリングにおけるシール面の当たり変化の推定メカニズム(PDFファイル)
*1  気体廃棄物処理系とは、復水器の真空度を保つために系統内に流れ込む空気を抽出し、あわせて、復水器に流入する気体状の核分裂生成物の放射能を減衰させる系統。
*2  シースとは、中性子吸収材を包んでいるステンレス製の板。
*3  ハンドルとは、点検時に制御棒を取り扱う際のステンレス製の取手。
*4  照射誘起型応力腐食割れとは、応力腐食割れ(金属材料の性質と内部に残る応力、腐食しやすい環境の3つの複合要因により発生するひび割れ)のうち、中性子照射の影響により金属の組織が変化することに起因するもので、一定以上の中性子照射を受けた際に発生しやすくなる。
*5  給水加熱器は、原子炉に送る給水を、高圧タービンからの蒸気などとの熱交換により温め、熱効率を上げるものであり、高圧第1、第2、低圧第1、第2、第3、第4、および低圧給水加熱器ドレン冷却器の7段階の加熱器で構成。
*6  高圧第2給水加熱器ベント配管とは、高圧第2給水加熱器内の非凝縮性ガスを復水器に排出するために給水加熱器に設置されている配管。
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