当社、女川原子力発電所2号機(沸騰水型、定格電気出力82万5千kW:宮城県牡鹿郡女川町、石巻市)は、定格熱出力で運転中のところ、気体廃棄物処理系*1を流れる気体の量が、2月中旬頃から徐々に増加してきていたことから、5月11日から約1カ月の予定で中間停止に入り、点検・調査を行うこととしました。また、これにあわせて、原子力安全・保安院の指示に基づくハフニウム板型制御棒の点検および圧力上昇傾向が確認されていた原子炉再循環ポンプ(A)の軸封部(メカニカルシール)の交換等も行うこととしました(5月11日お知らせ済み)。
これらの点検・調査状況について以下のとおりお知らせいたします。
1.気体廃棄物処理系の気体流量増加原因の調査・点検状況
気体廃棄物処理系の気体流量増加の原因について調査・点検を行った結果、高圧第2給水加熱器*2(B)から復水器につながるベント配管*3のエルボ部に穴があることを確認しました。穴が開いた原因について調査するため、肉厚測定や内面観察を行った結果、配管内部の表面にのこぎりの歯状の凹凸が確認されたことから、流体による浸食によるものと考えております。今後、当該配管部について取替えを行うとともに、類似箇所の点検を行うこととしております。
2.ハフニウム板型制御棒の点検状況
ハフニウム板型制御棒については、原子力安全・保安院からの指示「制御棒のひび等に関する点検について(平成18年1月19日付)」に基づき、ハフニウム板型制御棒全13本の点検を行ったところ、福島第一原子力発電所6号機で確認されているシース*4を横断するようなひびは確認されませんでした。ただし、5本の上部(ハンドル*5とシースをつなぐ溶接部近傍)に微小なひびがあることを確認しました。これは、福島第二原子力発電所3号機などの他社号機で確認された事象と同様のものであり、制御棒の健全性に影響を与えるものではないとされておりますが、念のため、ひびが存在しても制御棒が所要の構造強度と機能を維持することを、解析評価により確認してまいります。
3.原子炉再循環ポンプ(A)軸封部(メカニカルシール)の調査状況
原子炉再循環ポンプ(A)の軸封部(メカニカルシール)については、調査の結果、第一段軸封部のシートリングのシール面に微小な傷が認められました。今回の調査結果に基づき、今後、シートリングのシール面に微小な傷がついた原因の調査等を実施することといたします。
今後も、点検調査を継続し、別途、その結果についてお知らせいたします。
なお、これらの事象については、いずれも法律に基づく報告事象ではありません。
以上
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気体廃棄物処理系とは、復水器の真空度を保つために系統内に流れ込む空気を抽出し、あわせて、復水器に流入する気体状の核分裂生成物の放射能を減衰させる系統。 |
*2 |
給水加熱器は、原子炉に送る給水を、高圧タービンからの蒸気などとの熱交換により温め、熱効率を上げるものであり、高圧第1、第2、低圧第1、第2、第3、第4、および低圧給水加熱器ドレン冷却器の7段階の加熱器で構成。 |
*3 |
高圧第2給水加熱器ベント配管とは、高圧第2給水加熱器内の非凝縮性ガスを復水器に排出するために給水加熱器に設置されている配管。 |
*4 |
シースとは、中性子吸収材を包んでいるステンレス製の板。 |
*5 |
ハンドルとは、点検時に制御棒を取り扱う際のステンレス製の取手。 |