女川原子力発電所1・2号機 高圧給水加熱器
ベント管の減肉事象について

平成16年9月29日

 女川原子力発電所の配管肉厚測定は、オリフィス等により乱流が発生する可能性のある部位を点検対象とし、これまで計画的に実施しております。
 このような中、女川1・2号機の高圧第1・2給水加熱器のベント管(注1)オリフィス下流部(添付図1参照)については、早い段階から顕著な減肉が見られたため、それぞれ、計画的に点検を行うとともに、適宜材質の変更や配管の取り替えを実施してきましたが、その後も減肉が見られる状況にあります(添付図2参照)。

 今回、関西電力(株)美浜発電所3号機での配管減肉事象を踏まえ、女川1・2号機高圧給水加熱器ベント管の減肉事象の事実関係等について取り纏め、本日、原子力安全・保安院に報告いたしましたので、その概要についてお知らせいたします。
 なお、本報告は、法令に基づくものではありません。

 女川1・2号機の高圧第1・2給水加熱器ベント管の減肉状況の確認結果は、以下のとおりであり、減肉はベント管に巻き込まれた凝縮水による浸食(エロージョン (注2))が主な原因と推定しております。(添付図3参照

  • 減肉が顕著な部分は、オリフィス広がり角度(45度方向)の延長上に限定されている。
  • 減肉の表面は、浸食(エロージョン)に特有な凹凸の激しいノコギリ状の模様が形成されている。
  • 減肉は、炭素鋼だけでなく低合金鋼、ステンレス鋼でも認められている。

 また、この減肉メカニズムは、以下のようなものと推定しております。(添付図4参照

  •  給水加熱器内のベント管に設けられている非凝縮性ガスを吸込むためのベント穴から、蒸気や非凝縮性ガスとともに凝縮水も一部巻き込まれる。
  •  巻き込まれた凝縮水は、蒸気流によりオリフィスまで持ち上げられる。
  •  オリフィスに到達した凝縮水は、蒸気流とともに水滴としてオリフィス出口へ音速に近い速度で噴出される。
  •  オリフィスの広がり角度(45度方向)に沿って噴出された水滴により、その延長部分の限定された出口配管部分が浸食される。

 なお、広がり角度のないオリフィスを採用している女川3号機の当該部では、殆ど減肉は認められておりません。(添付図5参照

 当社としては今回の結果を踏まえ、当該部については、引き続き、毎定期検査時に肉厚測定を行うなど、適切な減肉管理を行うこととしております。
 また、本情報を他電力に対して提供し、情報の共有化を図ることとしております。
 なお、できるだけ減肉を抑えることが望ましいとの観点から、オリフィスの形状の変更等、更なる改善策について検討していくこととしております。

以上

(注1)高圧第1・2給水加熱器ベント配管
   高圧第1・2給水加熱器は、原子炉に送る給水を、高圧タービンからの蒸気等と熱交換させることにより給水の温度を上げているが、その熱交換の妨げとなる非凝縮性ガスを排出するため、給水加熱器に設置されている配管をいう。
(注2)エロージョン
   物体の衝突により、衝突された物体が機械的に削られる現象で、流体(水や蒸気)により配管内部等が削られる現象。

添付図1:高圧給水加熱器概略系統図
添付図2:女川1〜3号機 高圧ヒータベントオリフィス減肉の推移
添付図3:減肉の状況
添付図4:給水加熱器内〜ベントオリフィス二次側までのベント・ドレンの挙動(推定)
添付図5:ベントオリフィス概略図