東北・新潟の活性化応援プログラム東北・新潟の活性化応援プログラム

2017年助成団体
「活動成果レポート」

特別助成団体釈迦内サンフラワープロジェクト実行委員会

所在地:秋田県大館市

プロジェクト名:〈深化と自立へのステップアップ〉Sightseeing “ひまわりの郷 釈迦内2017”

■地域の紹介

大館市は秋田県北東部に位置し、鉱石と秋田杉の美林に恵まれた都市です。大館能代空港や日本海沿岸東北自動車道などの高速交通体系の整備も進み、県北部の中心都市として発展しています。

釈迦内地区は大館市の北部に位置し、大正時代のプロレタリア作家・小林多喜二の母「小林セキ」の生誕地としても知られています。豊かな自然の中に、数々の史跡や国指定天然記念物「芝谷地」、釈迦内温泉など伝統のある文化や暮らしが息づいています。

■地域の課題

  1. 人口減少・少子高齢化に伴い「地域に根ざして生きる力」を持った人財の育成が不足している。
  2. 人と人、人と社会、学校と地域などの「繋がり」が希薄になりつつある。
  3. 先人が苦労して作った田畑・山林などが荒れ、「耕作放棄地」として広がっている。

■当団体の紹介

釈迦内まちづくり協議会が運営主体となり、実行組織として、「釈迦内サンフラワープロジェクト」が事務局および事業推進を担っています。2014年には博報堂教育財団が主催する「博報賞(児童教育の現場の活性化を目的に学校・団体・教育実践者を顕彰)」を受賞し、さらにその中でも優れた活動者に贈られる「文部科学大臣奨励賞」も受賞。地域活性化の取組みは高く評価されています。

活動の様子

活動の様子

プロジェクトの概要

■背景・目的は?

上記の3つの地域課題が常態化する中で、歴史を再認識し、課題解決を図る手段として、「耕作放棄地」を借り、釈迦内地区の児童・住民・企業などが一丸となって「ひまわり」を栽培し、そこからひまわり油を中心とした「商品」を開発、さらに「販売」によって地域に経済的循環をもたらすことで、地域住民すべてが未来への「希望」と「誇り」を生み出す状態を狙って活動を続けています。

■具体的な活動は?
  1. ひまわり油・ひまわりドレッシングなどの通年販売活動
    ①いとくショッピングセンターを間借りしたブース販売を年間5回×(児童20名)
    ②本場大館きりたんぽまつりでのブース販売3日間×(児童30名)
    ③その他学校イベント時(学芸会など)での学校内ブース販売
  2. 2018年7月28日(土)~8月5日(日)まで「ひまわりフェスティバル in 高館下」を開催。
    ①児童・地域住民が満開のひまわり畑で「アンバサダー」として来客をもてなす。
    ②児童が手作りした「リアルかかし」も展示することで、ひまわりとかかしのコラボを演出。
    ③ひまわり油やドレッシング、ひまわりアイスの販売。高見やぐらで満開のひまわり展望台。
  3. 9月1日(土) 地域一斉ひまわり収穫デー。児童・父兄・教師・住民総出で収穫。
  4. 収穫したひまわりを「自然乾燥」→「種取り」→「乾燥機」→「唐箕(とうみ):選別」→「搾油」
  5. ①手作り感謝状贈呈
    ②学年別に一年間の活動報告(パワーポイントを使用して)
    ③約30班に分かれ、手作り「だまこ鍋」でおもてなし
  6. 春~秋にかけては、ひまわり栽培作業(種まき→除草→追肥→収穫→種取り)など。
  • ひまわりの植栽

  • イベントで販売活動

  • 収穫したひまわり

  • みんなで開発した商品

■活動の成果は?
  1. 児童はひまわりを生産→加工→販売する過程で農業の6次産業化を体感しており、「地域に根ざして生きる力」を育んでいる。
  2. ひまわり畑を中心に児童・教師・住民・企業が自然につながり、地域の一体感が醸成されている。
  3. 耕作放棄地の有効活用のみならず、地域の美観向上にもつながっている。
  4. 地域や学校に経済的・金銭的好循環が生まれ、住民のやる気・元気にもつながっている。
  5. ここ数年、「プロジェクトの視察」や「ひまわり見物」に訪れる来客が増え、交流人口の拡大とともに、地域住民・児童の「誇り」につながっている。
  6. プロジェクトの講演依頼も増え、他地域に宣伝する機会が多くなると、それが結果として5の来客増加につながるという好循環につながっている。
  7. 「釈迦内」=「ひまわり」という地域のブランド化が進行している。
  8. 「顔の見えるお付き合い」をうたい文句に活動してきたので、ひまわり活動によって人と人とのつながりが深まっており、結果的には防災・減災につながり、強い地域になってきている。
  • テレビ局の取材を受ける

  • 地域の交流も盛んに

  • 児童の生きる力を育成

  • 人々のつながりもより強く

団体からのコメント

この度の助成金をいただいたことで余裕をもった運営ができましたし、毎年行っている活動も充実させることができました。また、懸案だった「ひまわり搾油工程の見える化」でも、搾油機械の設備資金の一部としても活用させていただいたおかげで、児童の学習にも効果をあげております。さらに新商品(ひまわりドレッシング)を開発する際のイニシャルコストにも活用できたことで、おかげ様で大変喜ばれる商品を開発でき、その後の順調な販売にも繋げることができました。

一方、住民の善意とボランティアで成り立っている活動でありますので、無理なく・楽しく活動しながら、サステナブルな活動として継続させることが何よりの目標です。

今後の展開としては、下記のような点があげられます。

  • 地域住民のボランティアで成り立っているため、協力体制の維持・管理体制の強化を図る。
  • プロジェクトを推進する構成員の高齢化と組織の形骸化が進むため、新しい(若い)メンバーを適時配置する。
  • 同じ商品を毎年販売すると売れなくなるのは常道なので、新商品の開発と市場投入を行う。
  • 無理なく・楽しく活動を続けるための最低限の自己資金を確保する。

ただ、児童の学習を中心に据えた活動でありますので、大人が先陣を切ってどんどん進めれば良いというものではなく、学校の授業カリキュラムと連動させなければなりません。販売においても、大人がどんどん売り場を作ればもっと商品販売はできるのですが、児童の販売体験が何より大切ですので、その点のバランス感覚を持った運営が必要になります。その点は経営と一緒で、思いを伝承できる人の確保と、事業継承が今後の課題と感じております。

活動成果レポート No.02

▲2017年助成団体 活動成果レポートの一覧に戻る

助成団体特定非営利活動法人 白神自然学校一ツ森校

所在地:青森県西津軽郡鰺ヶ沢町

プロジェクト名:農林水産業を「白神山地の水」で繋ぎ鯵ヶ沢町の価値を創造する

■地域の紹介

鰺ヶ沢町は北は日本海に臨み、南は世界自然遺産の白神山地を有し秋田県に接しています。江戸時代には津軽藩の御用港として栄え、海上交通で重要な役割を果たしていました。以来、津軽西部の政治・経済の中心地として歩み続けています。

■地域の課題

限界集落からの脱皮を図るために、白神山地に代表される地域の資源をいかに活用するかが大きな課題となっています。

■当団体の紹介

2003年に地元の山好きなスタッフが中心となってスタートし、山・川・海の自然を創造的に活用した体験活動を実施。具体的には、「白神山地の水」で育った地元の産物(農作物・魚類・酒粕)を活用した新商品を開発し、若者の雇用の創出と地域の活性化に取り組んでいます。

活動の様子

活動の様子

プロジェクトの概要

■背景・目的は?

太古の昔、縄文時代から人の手が入っていなかった白神山地は、17世紀後半から木材生産・薪炭・銅鉛鉱山などの活用がされてきました。民俗学の祖と言われる菅江真澄は、白神山地まで出かけ、この地を薬草の宝庫だと述べたと言われています。

現在は世界遺産として、多くの人々が訪れていますが、単なる親光資源ではなく、隣接町村の一つである鯵ケ沢町の一ツ森地区は、「白神の水」 が大事な地域資源となっています。その山・川・海の循環型環境を活かした暮らしが、この地区の農林水産業を持続可能なものへと結びつける事で、限界集落からの脱皮を図りたいと考えています。

■具体的な活動は?

2017年(平成29年)の4月に、合同会社白神アロマ研究所を開設し、7月にはNPO白神自然学校内の厨房施設の改修工事を行い、この地域で捕れる金鮎を加工した「鮎の釜めし」「鮎の甘露煮」「イトウの加工製品」「白神の漬物」シリーズを開発しました。

特に白神アロマは、オオバクロモジ・スギ・ヒバ・ニオイコブシの環の精油作りを進めています。また、ルームスプレー・入浴剤・芳香剤をつくったり、残渣液で草木染めも実施しています。首都圏でお披露目会(30名)を2年間実施しました。また、蒸留体験ツアーを実施し、2017年(平成29年)14名、2018年(平成30年)10名が参加し、首都圏にもサポーターが広がっています。

  • 農家レストランの売上アップ
  • 白神アロマの販路の拡大
  • アロマ研究所が連携したクロモジの蒸留体験ツアー
  • 山・川・海の資源を利用した加工食品づくりを現在進めている。
  • 金鮎の釜めし

  • 白神蒸留体験ツアーの参加者

  • 白神蒸留体験ツアーでクロモジを採取

  • 白神アロマのセミナー(東京銀座)

■活動の成果は?

一番は、交流人口が増えたという事です。

特に、今までは、白神山地(くろくまの滝)への観光客や鮎釣り客が通過するだけの地区でしたが、今は、農家レストランでの食事や、蒸留体験ツアー、草木染めの体験など、山好きの方だけではなく、一般の方々も自然学校を利用しています。また、鯵ケ沢町に住んでいる人でも、初めて一ツ森の学校に来たけど、こういう事をやっているので驚いたという方がでてきています。

その為に、白神自然学校で働いている、おばちゃん達はとても忙しく、他の地区の同世代の婦人会の人達からは、一ツ森地区のおばちゃん達は、元気がいいと言われています。昨年には農林水産省の、ディスカバー農山漁村(むら)の宝という賞も頂き、地区に外国人も含めて、多くの人が訪れるようになり、 活気がでてきた事が一番の効果だと思っています。

今回の助成金で、一つは合同会社白神アロマ研究所を立ち上げて、白神山地の山から採取したオオバクロモジ・スギ・ヒバで環の精油シリーズをつくりました。

一つは、金鮎・イトウを加工して、農家レストランで提供する食事メニューを充実しました。

一つは、山・川・海から捕れる山菜・魚を使い、「白神の漬物シリーズ」をつくりました。(10品目)

これらの事業化を通して、以下の成果があがりました。

  1. 交流人口が増えた。
  2. 収入アップにつなげる事ができた。
  3. 雇用環境アップにつなげる事ができた。
  • 白神アロマシリーズ

  • 草木染め教室

  • 草木染め体験

  • 白神産地の漬物(白菜漬・さきいか入り)

団体からのコメント

課題とは言えるかどうかわかりませんが、すべてやる事なす事初めての事で、必死でやってきたと いうのが感想です。何事も目の前にでてきた「壁」を「壁」と思わないで、諦めないで、どうした らいいかと考えた結果、いい知恵がでてきて突破できたと思います。

ただ、やはり、豊富に資金力があるわけではないので、仕込みをする時の経費と、在庫、販売の収入がまだ、とんとんという事で、儲けになるまでもう少し時間がかかりますが、お披露目会を通して、ブランド化が進めばよいのかと思って、あちこちにPRしています。また、こういう斬新的な取り組みに、若い女性が加わってきてくれました。今は収入は少ないですが、いつまでもそういうわけにいかないので、売り上げが伸びるようにしていき、若い人達につなげたいです。

活動成果レポート No.03

▲2017年助成団体 活動成果レポートの一覧に戻る

助成団体つぴたあれいわいずみ実行委員会

所在地:岩手県下閉伊郡岩泉町

プロジェクト名:いわいずみどんぐり学園祭(申請時:「こどもフェスタ」)

■地域の紹介

岩泉町は北上山地の東部に位置し、東方は陸中海岸に臨んでいます。面積は東京23区の1.6倍、そのうち93%を森林が占めています。林業、木材業、畜産業、漁業が盛んで、日本三大鍾乳洞の一つである龍泉洞は観光のシンボルとなっています。

■地域の課題

年間17万人もの観光客が訪れているにも関わらず、町内には岩泉の食文化を伝承する体験施設、並びに旬の食材を使い郷土料理を提供する飲食店が皆無というのが現状です。核家族の世帯が多く、家庭においていかに食文化を継承していくかが課題となっています。

■当団体の紹介

「つぴたあれ」とは、岩泉の方言で「(お風呂で)肩までじっくり浸かりなさい」という意味です。地元の「うれいら商店街」において、岩泉の恵み(食材・風景・手仕事)を活用した子育てイベント「こどもフェスタ」を開催し、異世代・異業種の交流の拡大や、生きがい・活躍の場の提供を図っています。

活動の様子

活動の様子

プロジェクトの概要

■背景・目的は?

2016年の台風10号豪雨災害により、道の駅が被災し、貯蔵していたどんぐりが流失しました。岩泉で受け継がれてきたどんぐりを使った商品の製造が中止、再開の見込みもたたないという状況でした。プロジェクトを通じて、改めて岩泉の食文化に光をあて、意識的、かつ早急に取り組む課題であると地域の人が考える機会にするとともに、次世代に食文化を継承する仕組み作りを狙い開催しました。

■具体的な活動は?

いわいずみどんぐり学園祭

日時:2018年11月24日(土) 10:00~16:00

場所:うれいら商店街界隈(一部を通行止めにして実施)

主催:つぴたあれいわいずみ実行委員会

後援:岩泉町/岩泉町教育委員会/うれいら商店会

天候:晴れ

出店者数:13名

▼イベント
  • ねこじゃらし文庫(岩泉)
    11:00~11:30 わらべうた ※参加費無料
  • NPO法人おはなしころりん(大船渡)
    13:00~13:20 ブラックパネルシアター、ペープサート、わらべうた ※参加費無料
  • どんぐりパンの試食
  • どんぐりガールコスチューム着替え体験
▼内容
  • うれいら商店街空店舗、店舗駐車場、古民家コミュニティスペースあっけら館、てどの蔵、雑貨店において、いわいずみどんぐり学園祭を開催。
  • 13の出店者によるどんぐりをモチーフにした雑貨や、どんぐりを使った料理やお菓子を販売。
  • 学園祭開催前にはプレイベントとして、9/22「秋の遠足」(=どんぐり拾い)、10/17「調理実習」(=どんぐりのあく抜き)を行い、どんぐりを食べられるようになるまでの過程を参加者とともに学んだ。
▼告知方法
  • ブログ、facebook、HP、Twitter、Instagramで告知
  • チラシを盛岡、宮古、久慈などのお店に配布
  • 岩手県庁記者クラブ、宮古市役所秘書室にプレスリリース
  • テレビ:『ニュースエコー』(IBC岩手放送) 11/16放送
  • 新聞:『岩手日報』11/26掲載、『朝日新聞』(地方版)10/10掲載、『読売新聞』(地方版)10/19掲載
  • 岩泉産どんぐり100%のどんぐりコーヒー

  • 子どもも楽しめる体験コーナー

  • 岩泉の郷土料理「ひっつみ」は特別にどんぐり入り

  • 手作りのお菓子の販売

■活動の成果は?

「いわいずみどんぐり学園祭」開催に至るまでに、プレイベントとして9月に「遠足」と称し「どんぐり拾い」を行い、10月に「調理実習」として「どんぐりのあく抜き作業」を行った。この結果、学園祭にはどんぐり食文化に関心を抱く人が、岩泉町内外から参加。どんぐりを使った新たな商品の開発に着手、販売に至った出店者がいた点は大きな成果だったと言えます。また、新聞各社、テレビにも取り上げられ、現在岩泉のどんぐり食文化が危機的な状況であることを周知することができました。

何より新たな観光資源を発掘するのではなく、岩泉で受け継がれてきた食文化を見直すという今回の取り組みは、一流シェフ、食文化伝承グループ、生産者の方々の関心を呼び、今後の活動の幅が広がると思っています。

岩泉近隣市町村で年間数多くのイベントが開催される中、「岩泉の食文化」、それも、どんぐりに特化した「いわいずみどんぐり学園祭」という初開催のイベントに関心を持ってもらうためには、徹底した情報発信が必要不可欠です。助成金を頂いたことで、ポスターデザインの打ち合わせの段階から、デザイナー、衣装デザイナー、羊毛フェルト作家、カメラマンを交え、よりクオリティの高いものを作ろうと意識の共有をすることができました。ポスター、チラシともに、大変好評で、助成金を頂かなければ、ここまでのものは作り得なかったと思います。

  • おはなしころりんによるお話会

  • てどの蔵ではスピンクラフトの実演も

  • 岩手県内のクラフト作家による雑貨の販売

  • 学園祭限定どんぐり帽子も大人気

団体からのコメント

岩泉のどんぐり食文化だけではなく、郷土料理や保存食を継承できる体制を視野に入れて、継続的に活動していきたいと考えています。それには、つぴたあれいわいずみ実行委員会だけではなく、行政や観光協会、食文化伝承グループ等と連携していければと思っています。

課題としてあげられるのは、任意団体としてボランティアで活動しているため、仕事や家庭の事情によりイベントでのスタッフが流動的であること。また、活動資金がないため助成金の申請が通らなかった場合、思うような活動が困難である点です。

今後さらに少子高齢化が進み、人手のない中、実行委員のメンバー達それぞれが仕事や、自治会の活動にとさらに多忙になると思われます。それでも、ゆるくつながりながら、自分たちの手で暮らしを楽しむ術を共有できるようイベントを開催していきたいと考えています。

活動成果レポート No.04

▲2017年助成団体 活動成果レポートの一覧に戻る

助成団体網地島ふるさと楽好(がっこう)

所在地:宮城県石巻市

プロジェクト名:網地島ふるさと楽好

■地域の紹介

網地島は牡鹿半島の最西端、かつて世界有数の捕鯨基地であった鮎川港から海上約4キロメートルに位置しています。日露史上初の交易地としても知られ、網地白浜海水浴場など風光明媚な自然を満喫できる温暖な島です。

■地域の課題

網地島は遠洋漁業や捕鯨の衰退により人口が減少し、高齢化も進んでいます。特に網地浜地区は、子どもが1人もおらず、高齢者が多く住む限界集落です。そのため、子どもの大切さや愛おしさを身にしみて感じている地域でもあります。島内の高齢者と島外の子どもたちの交流を図り、地域の活性化に取り組むことを課題としています。

■当団体の紹介

仙台市内の児童養護施設の子どもたちを2泊3日で島に無料で招待し、島の高齢者との交流を通じて本当の家族のように過ごします。双方の生きがい創出と地域コミュニティの活性化を図っています。

活動の様子

活動の様子

プロジェクトの概要

■背景・目的は?
  • 虐待等に苦しんできた子どもたちや東日本大震災で親を亡くした子どもたちのために、島の高齢者との交流を通じ、心の傷を癒してもらうとともに、子どもの時期に楽しい思い出をたくさん作ってもらうこと
  • 大切にされ、愛される記憶を持つことで、子どもたちが、自分を大切に思い、思いやりの心を育むことで、未来の希望を持てるようにしていくこと
  • 温かな心の交流により、網地島の活性化を図っていくこと
■具体的な活動は?

活動を実施した日:平成30年8月3日(金)~8月5日(日)

場所:網地島(宮城県石巻市)

人数:34名(うち子ども27名)

▼活動内容
  • 島の高齢者が先生となって、子どもたちに、島の昔の遊びや食事づくりを教えています。ふだんは、接することのない高齢者が先生なので、子どもたちは、初めは戸惑います。家庭のない子どもたちのために、濃密に接する機会を設けて、家庭を持った時に戸惑わないように信頼関係を築く練習をさせてあげたいと考えています。
  • 家族的な雰囲気の中で、食事づくりを中心に体験してもらっています。島にはお店がないので、島のおじいさんたちが、海からとって来たうに、あわび、ひらめ、貝、海藻を子どもたちと楽しく会話しながら、料理します。つぶ貝は、島のおばあちゃんと額をくっつけるようにしながら、一つ一つむいていきます。本当の家族ではないけれど、島では、本当の家族のように過ごします。
  • 子どもたちとボランティアとのドッジボール対戦も行います。弱い立場と思っていた子どもたちのしたたかさや強さに気付かされ、大人もびっくりです。
▼参加者の声等(子どもたちの声)
  • 海の中で、大きなヒラメを踏んでびっくりした。ヒラメもびっくりして、逃げて行った。
  • 大きな船が来ると、大きな波が来て、シーカヤックが転覆しそうになった。
  • 網地島の海は、3m以上深さがあっても、底が見えた。
  • 突堤のコンクリートのすき間にいたカニをたくさん捕まえた。
  • 霧が出て、周りが見えなくなった。ドキドキワクワクする。
  • 杉の葉っぱや松ぼっくりは、よく燃える。楽しい。
  • おかずのうにが、動いているので、びっくりした。
  • オニヤンマがたくさん飛んで来た。にらめっこをした。びっくりした。
  • 島の夜は、何の音もしない。不思議だな。
  • 網地島のネコはかわいい。
  • 島のばあちゃんの料理は、とてもおいしい。
  • メカブをご飯に乗っけて食べた。おいしすぎて、おかわりした。
  • 火おこしは楽しいけど、煙が目にしみる。
▼島のおじいちゃんやおばあちゃんの声
  • 膝が痛い、腰が痛い。でも、子どもたちの明るい笑顔を見ると、頑張れる。
  • 子どもの笑顔はいい。こっちまで楽しくなる。
  • 今度会うときに、どのくらい背が伸びているか、楽しみだ。
  • 大人になったら、自分の子どもを連れて、島に遊びに来てほしい。
  • 子どもたちが書いた文集が楽しみだ。
  • 来年まで、また島がさびしくなる。
▼実施にあたって工夫した点
  • 島のスタッフが高齢になり、身体を動かせる人が少なくなってきました。首都圏等の大学生ボランティア等の絆を大切にしながら、その協力を得て、活動を行いました。
  • 全国からボランティアがお手伝い

  • うにやあわびをふんだんに使った島の自慢料理

  • うにのからむき

  • 島のカレーライスは貝やイカがいっぱい

■活動の成果は?

島では見ることがない子どもたちの明るい笑顔や素直な涙が、島の将来を悲観し、「仕方がない」と諦めていた島の高齢者を励まし、新たな意欲を生み出して行きました。

小学校の低学年から参加し、4回参加した子どももいます。単発のイベントではなく、長い時間をかけた交流です。何回も参加することで、お互いに思いやりやいたわりの気持ちを持つことができます。また、夏の野菜のようにニョキニョキ育つ子どもたちの姿をみることが、とても楽しみです。さらに、小学生だった子が、周りに気遣いのできる頼もしい高校生になり、大人びた会話をすることが不思議でもあり、大きな喜びにもなっています。

温かな心の交流を大切にし、関わってくださった全ての方々が幸せを感じられるように活動を続けてきました。島の高齢者の真心に触れて、いたわりの気持ちを持った、素直で優しい子どもたちが育ちました。

これまで多くの悲しい思いをした子どもも、楽しい夏の思い出をたくさん作って、笑顔で帰っていきます。

網地島ふるさと楽好で、島の高齢者たちの真心に触れ、子どもたちは、素直な気持ちになってくれます。周りの人に対する感謝の気持ちを持つとともに、優しい気持ちを持てるようになることが、子どもたちにとって、とてもよいことであると考えています。別れの時は、大人も子どもも素直な涙になります。

子どもたちには、網地島ふるさと楽好の思い出を絵と文章で表わしてもらい、文集にして、島のお年寄りにプレゼントします。文集に描かれる人はみんな笑顔になっています。子どもたちの優しい気持ちが伝わって来ます。これを楽しみにしている島のお年寄りもたくさんいます。これが、島のお年寄りを奮い立たせ、活動の意欲を生み出しています。

今年度から首都圏等の大学生ボランティアを多く集めて(25名)、子どもの相手だけではなく、食事の準備等を手伝ってもらうことにした結果、運営・スケジュールをうまく回すことができ、各ボランティアの負担も均一になったことから、満足度もあげることができました。来年度以降も、同様の手法を取っていきたいと考えています。

  • シーカヤックで出発だ

  • 海には不思議なものがいっぱい

  • 真っ白い砂浜と透明な海が自慢

  • 涙が子どもたちの心を育む

団体からのコメント

島のお年寄りの温かな愛に優しく包まれることで、虐待等で苦しんできた子どもたちの自己肯定感が高まり、思いやりの心が育まれてきます。そして、周りとの信頼関係を築き、自分の家族を持って、幸せになってほしいと考えています。

網地島は、高齢化率8割で、ほとんどが年金と漁業で細々と暮らしている高齢者ばかりです。このままでは、十数年後には、ほとんどの住民がいなくなってしまいます。網地島ふるさと楽好を続けることで、これに関わる高齢者や「IJUターン」者を増やし、交流人口を増やして、コミュニティと航路と民間病院(網小医院)を維持し、島民の生活を守っていきたいと考えています。

首都圏や関西からの大学生ボランティアは、20名以上参加してくれるようになりました。網地島ふるさと楽好は、大学生にとっても、貴重な学びの場になっています。また、社会人になっても、手伝いに来てくれる方がおり、自分の結婚式に島の高齢者を招待してくれる方もおります。その他にも、子どもを連れて、島の高齢者のところに、泊りがけで遊びに来てくれる方もおります。こういった関係が生まれるのが、網地島ふるさと楽好のよいところです。小さな楽好ですが、多くの人を結ぶことで、みんなが幸せになることを願っています。

活動成果レポート No.05

▲2017年助成団体 活動成果レポートの一覧に戻る

助成団体特定非営利活動法人 公益のふるさと創り鶴岡

所在地:山形県鶴岡市

プロジェクト名:鶴岡山王商店街にある明治時代に建造された空き店舗《旧新穂醤油店》を若者の活動の場として活用するプロジェクト

■地域の紹介

鶴岡市は、山形県の日本海沿岸(庄内地方)南部に位置する都市。鶴ヶ岡城周辺の中心市街地は江戸時代には鶴岡藩(通称庄内藩)の城下町として栄えました。郊外には庄内米やだだちゃ豆の産地が広がります。

■地域の課題

鶴岡市では老朽危険空き家を解体、整地し、若者世帯・子育て世帯・移住希望者に住宅用地として供給する「鶴岡市中心市街地居住促進事業」が進められています。鶴岡市山王商店街においても「虫食い状態になりつつある商店街の街なみの維持」が課題となっています。

■当団体の紹介

2001年に庄内市民活動センターとして組織を立ち上げ、2005年に「公益のふるさと創り鶴岡」と名称変更し、市民活動グループへの支援や、地域づくりに関わっている団体相互のネットワーク化を推進しながら、市民参加型のまちづくり事業を実践。NPOや市民活動の活性化を目指すなかで、市民一人一人の自立を推進することを目的としています。

活動の様子

活動の様子

プロジェクトの概要

■背景・目的は?

課題解決の手法として、空き店舗となっている建物をリノベーションし、若手経営者にテナントとして入居してもらうことを目的に、商店街内の「町家(旧新穂醤油店)を改装」し、「起業家のためのインキュベーションスペースと居住スペースの整備」を行っています。この空き店舗を当団体と商店街と「鶴岡ナリワイプロジェクト」と協働して、若者が活躍できる場として活用することを目的とします。

■具体的な活動は?
  • 【第一回】空き店舗を考えるまちづくりワークショップ
    東北公益文科大学特任教授の平尾清先生をアドバイザーに、そもそも衰退している商店街をどうしたら活気のある街にしていくか、マーケティング論の観点からレクチャーしていただきました。
    参加者:12名
    日時:2017年11月17日 19:00~21:00
    講師:平尾清
    会場:山王会館
  • 【第二回】空き店舗を考えるまちづくりワークショップ
    趣味ナビの社長佐伯晋吾氏より「モノからコトへ」の観点から商店街でのミニコミュニティの発想とSNS等による情報発信についてレクチャーを受けました。
    参加者:21名
    日時:2017年12月13日 19:00~21:00
    講師:佐伯晋吾
    コーディネーター:平尾清
    会場:山王町江鶴亭
  • 【第三回】空き店舗を考えるまちづくりワークショップ
    以前、山王まちづくりプランを策定した川原晋教授(首都大学東京)をお招きしてのワークショップを開催しました。
    参加者:18名
    日時:2018年6月11日 9:00~21:00
    講師:川原晋
    会場:旧新穂醤油店
  • 2018年5月~8月 第三土曜日
    ナリワイ実験 座敷市
    会場:旧新穂醤油店
  • 2018年9月~
    リノベーション・設計ワークショップへ展開(やまがた社会貢献基金助成)
  • 第一回ワークショップ

  • 第三回ワークショップ

  • ナリワイ座敷市

  • 展示およびナリワイ座敷市

■活動の成果は?

当初、旧新穂醤油店は明治期からの商家の面影を残す貴重な建物ながら、「負動産」というレッテルを貼られ、更地にするしかないと言われていた建物でした。この貴重な歴史的文化財を何とかしたいという商店街としての思いを受け、当団体ではその管理と活用方法を考えてきました。今回のプロジェクトを実施したことにより、商店街関係者とナリワイづくりプロジェクトメンバーの協力の元、この建物を取得するオーナーが現れ、維持への方向に向かうこととなりました。これで、歴史的建造物である旧新穂醤油店が取り壊されることなく保存・維持するという当初の目的の一つが達成できました。

さらには、こういった一連の動きを作れたことにより、商店街関係者・ナリワイづくりメンバー・行政・企業がこの取り組みに関心を持っていただきました。その結果、この建物に魅力を感じ取得したいというオーナーがあらわれ、リノベーションを経て活用につながったことはこのプロジェクトの大きな成果です。

  • 外観イメージ

  • 外装の模型

  • 内装の模型

  • ナリワイ報告会

団体からのコメント

2018年9月からは実際、建物のオーナーの意向をくみながらリノベーション計画・基本設計・活用計画に進むことができました。2019年4月からは工事が始まり、10月におやつと居場所古今coconという店名でグランドオープンしました。

出来るだけ地域に寄り添ったまちづくりの支援活動をすることを目標に、今後も行政だけではできない、市民だけではできない、それでも問題は山積といった課題解決型のプロジェクトを進めていきます。

18年目を迎える当団体ですが、理事の刷新・後継者の育成など組織体制の見直しをはかる時期となっています。事業継承や事業内容の見直し等が課題です。

活動成果レポート No.06

▲2017年助成団体 活動成果レポートの一覧に戻る

助成団体特定非営利活動法人 がんばろう福島、農業者等の会

所在地:福島県二本松市

プロジェクト名:ふくしまの農家でエンジョイ!「里山テーマパーク」

■地域の紹介

二本松市は福島県中通りの北に位置し、「智恵子抄」に詠われた安達太良山と阿武隈川で知られています。二本松市は菊の城下町と称され、日本最大級の菊人形展「二本松の菊人形」が有名。日本酒づくりが主要産業の一つで、多くの酒造メーカーを抱えています。

■地域の課題

福島第一原子力発電所の事故の影響により、福島県の農家は、風評被害などの問題に直面しています。地域の実態を広く知ってもらうことが大きな課題となっています。

■当団体の紹介

福島県内の各農家が協力して、「スタディファーム(福島県の農業に関する学習および体験)」の中心的農園である「二本松農園」を、より楽しく交流が図れる場所にするために設備や機能の整備を推進。福島県の農業に対する一層の理解浸透と交流人口拡大を図っています。

活動の様子

活動の様子

プロジェクトの概要

■背景・目的は?

地域の課題を解決するためには、全国(あるいは世界中)の人々に福島の農家を実際訪ねていただくことが効果的です。当NPOでは、震災後これらの受け皿として「スタディファーム」を行ってきましたが、これらのメニューをさらに充実し、より多くの方々に福島の農家を訪ねてもらい、「顔の見える関係」を構築することにより、福島のマイナスイメージを徐々に払しょくしていく事が目的です。

■具体的な活動は?

より多くの方々に「スタディファーム」においでいただくため、大手旅行会社と提携し、「学びの旅」のメニューに入れていただきました。また、NPOの取り組みとして、「福島の農家を訪ねるツアー」の実施、あるいは「大収穫祭」を毎年定期的に行うこととしました。この結果、スタディファームへの年間入込は、

  • 平成28年:850人
  • 平成29年:1400人
  • 平成30年:1500人

と大幅に増加しました。特に参加者からは「こうして福島の農家を訪ねてみると、放射能を取り巻く福島県農業の状況が手に取るように分かる。」との声が多く聞かれました。

このように、福島の農家を知るためには「まずスタディファームへ」との流れが確実に構築されつつあります。

  • バスでの来訪

  • 大収穫祭

  • 稲刈り体験

  • スタディファーム来訪団体

■活動の成果は?

福島県の農業を取り巻く、いわゆる風評被害については、「正確な情報が伝わっていない」ということが主たる原因であると思われます。このような中、スタディファームを訪れることにより、正確な状況を肌で感じることができ、ここからの口コミにより、福島県の農業のイメージ回復に大きく貢献しているものと思われます。

具体的には、来訪者がその後、定期的に福島県産農産物を購入する例が多いほか、毎年、福島県を訪れる人も増えています。2019年(平成31年)4月から「国会議事堂」の中に福島県産農産物を直販する「店」の開店が実現しましたが、これも、スタディファームに来訪した元国会関係者の紹介によるものです。

当NPOは、「顔の見える関係に風評被害はなし!」をモットーとして活動していますが、まさに、スタディファームを中心としてこの考え方が実現しています。

スタディファームについては、集客のシステムであるため、現実的には、交流のためのメニュー整備、施設整備、備品・消耗品、パンフレット等を要しますが、これらの一部に本助成金を活用させていただいたことにより、当事業をスムーズに運営することができました。特に、来訪者と一緒に農園の中で食事をすることは、つながりをより強化しますが、本助成金の一部を、バーベキューのための設備、食事を作るための厨房(保健所の許可も取得)の施設の一部に使用させていただき大変助かりました。これにより、来訪者が、説明や農業体験だけでなく、食事もとれるようになったため、滞在時間(交流のための時間)が飛躍的に長くなりました。

  • 国会議事堂内に店舗開設

  • 企業内マルシェ

  • 外国人も来訪

  • 外国人団体来訪

団体からのコメント

農業生産法人を運営しながら、このような先を見据えた活動も行う必要があるため、やはり、これを継続的に実施していくための、財政面・人員面に課題があります。たとえば、「福島で農業をやってみたい」という都市部の若い人がいたとしても、現実的に、福島で農業だけで生活していけるのか?という課題に直面し、そこで夢が止まってしまうのです。

福島の問題は、根本的に「日本の抱える農業の問題」でもあると思っています。農業従事者の高齢化が進んでいる中、高齢農業者の「技」をいかに継承していくか、農業者がいかに「生きがい」を持つことができるか、という課題をクリアするため、たとえば、スタディファームを軸として、高齢農業者、若手農業者(法人)、新規就農者、全国の消費者が集って交流できるシステムをつくっていきたいと思っています。

活動成果レポート No.07

▲2017年助成団体 活動成果レポートの一覧に戻る

助成団体特定非営利活動法人 中越防災フロンティア

所在地:新潟県長岡市

プロジェクト名:「またくるね 今度は除雪 プロとして」~越後雪かき道場がつくる新しい地域防災の形~

■地域の紹介

長岡市は、日本一の大河・信濃川が市内中央を流れ、日本海・守門岳など自然環境に恵まれた都市です。電子部品や精密機械関連等で世界をリードする企業も集積し、新潟県内随一の機械工業群を形成しています。また、花火の街として全国的に有名です。

■地域の課題

  • 少子高齢化と過疎による除雪の担い手不足
  • 地域外から除雪ボランティアを受け入れる体制が整備されていない

■当団体の紹介

2004年に発生した中越地震を契機に、将来に希望が持てる地域づくりを目指し、地域コミュニティの維持と交流人口の拡大を図っています。その一環として、除雪作業の担い手不足解消のため、即戦力となる除雪ボランティアの育成や、除雪作業時の安全対策の啓発を行います。

活動の様子

活動の様子

プロジェクトの概要

■背景・目的は?

除雪対策を強化するために以下の点に力を入れて取り組んでいます。

  1. 参加者:即戦力となり得る、除雪スキルを身につけること
  2. 地域:実際に地域外からの人材を受け入れることで、食事の提供者・作業時のリーダーの選定、除雪ボランティアへの指導方法を身につけること
■具体的な活動は?
(1)実施概要
実施場所実施日(2018年)人数備考
山形県酒田市日向1月20・21日39人
新潟県長岡市川口木沢1月27・28日24人初級15名、上級9名
新潟県長岡市山古志2月10・11日27人初級17名、上級10名
長野県長野市鬼無里2月10・11日33人
新潟県長岡市山古志2月17日20人
5回143人
(2)実施内容
項目対象内容
初級基礎を学びたい人指南書を用いた座学
カンジキを履いてのスコップ・スノーダンプの実技訓練
中級初級修了者・雪国での除雪作業経験者指南書を用いた座学
安全帯やロープに関する講習
上級除雪リーダーを目指す人作業現場での除雪作業の段取りに関する講義
命綱指導方法に関する講義
筆記試験

「指南書」について…雪国で根付く「雪かきの極意」をボランティアにも分かりやすく伝えるために作成した冊子

(3)スケジュール例@山古志会場

▼1日目

時間初級上級
12:30受付開始@あまやち会館
13:00オリエンテーション
13:05 指南書を用いた座学 要援護者の把握
除雪計画の策定
@あまやち会館→集落内
13:45 着替え等準備
健康雪かき体操
安全帯の装着
ロープワーク
簡易アンカーの実験
14:00カンジキやスコップ、スノーダンプの実技訓練@あまやち会館周辺
15:00休憩
15:10 道具の実技訓練を兼ねた雪積み競争
かまくらづくり
埋没者捜索
搬送訓練
16:15後片付け、着替え
16:30入浴(フリータイム)@あまやち会館
18:00地域住民の炊き出し訓練を兼ねた交流会
20:00後片付け

▼2日目

時間初級上級
7:30朝食
8:30オリエンテーション
健康雪かき体操
9:00班ごとに除雪作業@集落内(適宜休憩)
11:00後片付け
11:30自由時間@あまやち会館
12:00昼食
13:00解散
(4)参加者の声(各会場で実施したアンケートより抜粋)
  • 「雪かき=大変なだけ」という印象が、効率よくやる方法がわかると楽しい、やりがいがあると感じられるようになった。(神奈川県・40代 女性)
  • スタッフ、地元の方々の雰囲気、指南書、準備体操、若い人たちの楽しそうな姿、美味しい食事、こりゃスゴイです。多くの人に体験してほしい。(岩手県・40代 女性)
  • 自分の地域でも、道場を開催したい。(神奈川県・60代 男性)
  • 追加料金を払ってもいいので、希望者にはもっと雪かきができるようにしてほしい。(茨城県・30代 男性、他数名)
  • 雪かきをして、おばあちゃんに感謝され嬉しかった。(新潟県・20代 女性)
  • 写真等たくさん撮って後で共有したい。Twitter等で開催日時のPRをしてほしい。(茨城県・30代 男性)
  • 素人仕事で逆に迷惑をかけていないか心配なので、実施世帯に後日役に立ったか聞いて欲しい。
  • 重労働だと実感した。高齢者1人でやっているかと思うとぞっとした。雪下しをしている人への見方が変わった。(山形県・30代 男性)

▼中・上級者の参加者の声

  • 実際に落ちた時にどうなるのか、(命綱が)どう働いてくれるのか、身をもって経験してみたい。
  • 地域の人に(命綱を)提案していこうと思います。
(5)工夫した点
  • 除雪実施家屋の選定は、地域内に不公平感がおきないよう、できるだけ高齢者の1人暮らしの世帯を地域で選定してもらった。
  • 各会場で積雪量や参加者のニーズに合わせて、内容を変更した。
    例)参加者の平均年齢が若く、積雪量が比較的ある会場では雪積み競争やかまくらづくり時間を長く設けた。
  • 指南書を用いた座学

  • カンジキの履き方を師範よりレクチャー中

  • スノーダンプの実技演習@糸魚川

  • 実技演習を踏まえてかまくら作り

■活動の成果は?
  • 炊き出し訓練を兼ねた交流会のための食事提供者や、除雪作業のリーダーを決めることで、地域の中で有事の際の役割分担が明確になりました。
  • 参加者との触れ合いの中で、住民がこれまで「当たり前」だと思ってきた雪かきが、お金を払ってでもしたいことであることが分かったこと等、雪国の魅力を再発見する事につながりました。
  • 上級コースへの参加後、糸魚川市等、単独開催(暖簾分け)を希望する地域が出てくるなど、これまで自助及び互助でするものとされてきた除雪の担い手不足を、地域外のボランティアを育成することで解消しようとする、新しい地域防災の思想とそのための体制づくりを広域に普及することが出来ました。

今回の助成金により、指南書の増刷やバージョンアップした安全帯を購入することが可能となり、それらを各会場で使用することでより多くの方に除雪作業時の安全対策の普及をすることが出来ました。

また、大手気象予報会社(ウェザーニューズ)が真夏に幕張メッセで主催した「そら博」にもブースを出展し雪に馴染みのない方や多くのお子様に、楽しく雪かきについて知ってもらうことが出来たことなど、自己資金のみでは到底できない普及活動が可能となりました。

  • ロープワーク

  • 安全帯を装着して屋根上作業

  • 午前中の座学で学んだことを発揮!カルタ大会

  • 長谷川工業さまと共同開発のハシゴをお披露目

団体からのコメント

除雪作業時の三種の神器(安全帯、アンカー、ハシゴ)の開発を進めます。

特に屋根の上で安全に除雪作業をするのに必要なアンカーを低価格で開発することと、安全帯の正しい使用方法の啓発を合わせて行い、アンカー設置家屋を増やしていくことで、より安全に地域住民や除雪ボランティアが作業できることを目指します。

スタートから10年がすぎ、開催地の高齢化もさらに進み協力体制も変化しつつあります。地元の協力度は参加者の満足度にも密接につながっており、地元の協力が得づらくなってきた地域においては今後どのように事業を進めていくかが課題です。

2018年度より当NPOが長岡市と共働で進めている「山古志地域における有償除雪ボランティアのマッチング・派遣システム」の構築事業と連携し、除雪ボランティアの育成の場という役割をこれからも担っていきます。

「越後雪かき道場R」のような活動を除雪の担い手不足に悩む全国の豪雪地に展開するため、各地に運営のノウハウを伝授する「のれん分け」制度を展開していきます。

▲2017年助成団体 活動成果レポートの一覧に戻る

制度の概要(トップページ)

「東北・新潟の活性化応援プログラム」の制度の概要について紹介しています。

2023年応募要項について

応募要項や応募に関するQ&Aなどについて紹介しています。

お申し込み・お問い合わせ先

東北電力株式会社 ソーシャルコミュニケーション部門 地域共生ユニット

〒980-8550 仙台市青葉区本町1丁目7番1号

TEL:022-799-6061

受付時間:平日 9:00~17:00(12:00~13:00を除く)

Mail:s.program.wa@tohoku-epco.co.jp

ホームページ:https://www.tohoku-epco.co.jp/sprogram/

お問い合わせ入力フォームへ

個人情報等の取扱について

  • ●本制度において取得する個人情報は、本制度に関する選定作業、選定結果の通知、本制度に係る諸連絡、地域づくりに関する当社からのご案内(当社の地域づくり支援制度「まちづくり元気塾®」に関するご連絡等)、広報活動に限定して使用します。
  • ●助成団体名およびその活動に関する情報を、広報誌や広報活動のため公開することがあります。
  • ●本制度が取得する個人情報、団体の活動に関する情報等は、東北電力が委託し選定作業に携わる審査機関および審査員に提供します。