活動成果レポートPDF版はこちらPDF版(7団体分)
所在地:秋田県大館市
プロジェクト名:〈深化と自立へのステップアップ〉Sightseeing “ひまわりの郷 釈迦内2017”
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大館市は秋田県北東部に位置し、鉱石と秋田杉の美林に恵まれた都市です。大館能代空港や日本海沿岸東北自動車道などの高速交通体系の整備も進み、県北部の中心都市として発展しています。
釈迦内地区は大館市の北部に位置し、大正時代のプロレタリア作家・小林多喜二の母「小林セキ」の生誕地としても知られています。豊かな自然の中に、数々の史跡や国指定天然記念物「芝谷地」、釈迦内温泉など伝統のある文化や暮らしが息づいています。
釈迦内まちづくり協議会が運営主体となり、実行組織として、「釈迦内サンフラワープロジェクト」が事務局および事業推進を担っています。2014年には博報堂教育財団が主催する「博報賞(児童教育の現場の活性化を目的に学校・団体・教育実践者を顕彰)」を受賞し、さらにその中でも優れた活動者に贈られる「文部科学大臣奨励賞」も受賞。地域活性化の取組みは高く評価されています。
上記の3つの地域課題が常態化する中で、歴史を再認識し、課題解決を図る手段として、「耕作放棄地」を借り、釈迦内地区の児童・住民・企業などが一丸となって「ひまわり」を栽培し、そこからひまわり油を中心とした「商品」を開発、さらに「販売」によって地域に経済的循環をもたらすことで、地域住民すべてが未来への「希望」と「誇り」を生み出す状態を狙って活動を続けています。
ひまわりの植栽
イベントで販売活動
収穫したひまわり
みんなで開発した商品
テレビ局の取材を受ける
地域の交流も盛んに
児童の生きる力を育成
人々のつながりもより強く
活動成果レポート No.02
所在地:青森県西津軽郡鰺ヶ沢町
プロジェクト名:農林水産業を「白神山地の水」で繋ぎ鯵ヶ沢町の価値を創造する
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鰺ヶ沢町は北は日本海に臨み、南は世界自然遺産の白神山地を有し秋田県に接しています。江戸時代には津軽藩の御用港として栄え、海上交通で重要な役割を果たしていました。以来、津軽西部の政治・経済の中心地として歩み続けています。
限界集落からの脱皮を図るために、白神山地に代表される地域の資源をいかに活用するかが大きな課題となっています。
2003年に地元の山好きなスタッフが中心となってスタートし、山・川・海の自然を創造的に活用した体験活動を実施。具体的には、「白神山地の水」で育った地元の産物(農作物・魚類・酒粕)を活用した新商品を開発し、若者の雇用の創出と地域の活性化に取り組んでいます。
太古の昔、縄文時代から人の手が入っていなかった白神山地は、17世紀後半から木材生産・薪炭・銅鉛鉱山などの活用がされてきました。民俗学の祖と言われる菅江真澄は、白神山地まで出かけ、この地を薬草の宝庫だと述べたと言われています。
現在は世界遺産として、多くの人々が訪れていますが、単なる親光資源ではなく、隣接町村の一つである鯵ケ沢町の一ツ森地区は、「白神の水」 が大事な地域資源となっています。その山・川・海の循環型環境を活かした暮らしが、この地区の農林水産業を持続可能なものへと結びつける事で、限界集落からの脱皮を図りたいと考えています。
2017年(平成29年)の4月に、合同会社白神アロマ研究所を開設し、7月にはNPO白神自然学校内の厨房施設の改修工事を行い、この地域で捕れる金鮎を加工した「鮎の釜めし」「鮎の甘露煮」「イトウの加工製品」「白神の漬物」シリーズを開発しました。
特に白神アロマは、オオバクロモジ・スギ・ヒバ・ニオイコブシの環の精油作りを進めています。また、ルームスプレー・入浴剤・芳香剤をつくったり、残渣液で草木染めも実施しています。首都圏でお披露目会(30名)を2年間実施しました。また、蒸留体験ツアーを実施し、2017年(平成29年)14名、2018年(平成30年)10名が参加し、首都圏にもサポーターが広がっています。
金鮎の釜めし
白神蒸留体験ツアーの参加者
白神蒸留体験ツアーでクロモジを採取
白神アロマのセミナー(東京銀座)
一番は、交流人口が増えたという事です。
特に、今までは、白神山地(くろくまの滝)への観光客や鮎釣り客が通過するだけの地区でしたが、今は、農家レストランでの食事や、蒸留体験ツアー、草木染めの体験など、山好きの方だけではなく、一般の方々も自然学校を利用しています。また、鯵ケ沢町に住んでいる人でも、初めて一ツ森の学校に来たけど、こういう事をやっているので驚いたという方がでてきています。
その為に、白神自然学校で働いている、おばちゃん達はとても忙しく、他の地区の同世代の婦人会の人達からは、一ツ森地区のおばちゃん達は、元気がいいと言われています。昨年には農林水産省の、ディスカバー農山漁村(むら)の宝という賞も頂き、地区に外国人も含めて、多くの人が訪れるようになり、 活気がでてきた事が一番の効果だと思っています。
今回の助成金で、一つは合同会社白神アロマ研究所を立ち上げて、白神山地の山から採取したオオバクロモジ・スギ・ヒバで環の精油シリーズをつくりました。
一つは、金鮎・イトウを加工して、農家レストランで提供する食事メニューを充実しました。
一つは、山・川・海から捕れる山菜・魚を使い、「白神の漬物シリーズ」をつくりました。(10品目)
これらの事業化を通して、以下の成果があがりました。
白神アロマシリーズ
草木染め教室
草木染め体験
白神産地の漬物(白菜漬・さきいか入り)
課題とは言えるかどうかわかりませんが、すべてやる事なす事初めての事で、必死でやってきたと いうのが感想です。何事も目の前にでてきた「壁」を「壁」と思わないで、諦めないで、どうした らいいかと考えた結果、いい知恵がでてきて突破できたと思います。
ただ、やはり、豊富に資金力があるわけではないので、仕込みをする時の経費と、在庫、販売の収入がまだ、とんとんという事で、儲けになるまでもう少し時間がかかりますが、お披露目会を通して、ブランド化が進めばよいのかと思って、あちこちにPRしています。また、こういう斬新的な取り組みに、若い女性が加わってきてくれました。今は収入は少ないですが、いつまでもそういうわけにいかないので、売り上げが伸びるようにしていき、若い人達につなげたいです。
活動成果レポート No.03
所在地:岩手県下閉伊郡岩泉町
プロジェクト名:いわいずみどんぐり学園祭(申請時:「こどもフェスタ」)
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岩泉町は北上山地の東部に位置し、東方は陸中海岸に臨んでいます。面積は東京23区の1.6倍、そのうち93%を森林が占めています。林業、木材業、畜産業、漁業が盛んで、日本三大鍾乳洞の一つである龍泉洞は観光のシンボルとなっています。
年間17万人もの観光客が訪れているにも関わらず、町内には岩泉の食文化を伝承する体験施設、並びに旬の食材を使い郷土料理を提供する飲食店が皆無というのが現状です。核家族の世帯が多く、家庭においていかに食文化を継承していくかが課題となっています。
「つぴたあれ」とは、岩泉の方言で「(お風呂で)肩までじっくり浸かりなさい」という意味です。地元の「うれいら商店街」において、岩泉の恵み(食材・風景・手仕事)を活用した子育てイベント「こどもフェスタ」を開催し、異世代・異業種の交流の拡大や、生きがい・活躍の場の提供を図っています。
2016年の台風10号豪雨災害により、道の駅が被災し、貯蔵していたどんぐりが流失しました。岩泉で受け継がれてきたどんぐりを使った商品の製造が中止、再開の見込みもたたないという状況でした。プロジェクトを通じて、改めて岩泉の食文化に光をあて、意識的、かつ早急に取り組む課題であると地域の人が考える機会にするとともに、次世代に食文化を継承する仕組み作りを狙い開催しました。
いわいずみどんぐり学園祭
日時:2018年11月24日(土) 10:00~16:00
場所:うれいら商店街界隈(一部を通行止めにして実施)
主催:つぴたあれいわいずみ実行委員会
後援:岩泉町/岩泉町教育委員会/うれいら商店会
天候:晴れ
出店者数:13名
岩泉産どんぐり100%のどんぐりコーヒー
子どもも楽しめる体験コーナー
岩泉の郷土料理「ひっつみ」は特別にどんぐり入り
手作りのお菓子の販売
「いわいずみどんぐり学園祭」開催に至るまでに、プレイベントとして9月に「遠足」と称し「どんぐり拾い」を行い、10月に「調理実習」として「どんぐりのあく抜き作業」を行った。この結果、学園祭にはどんぐり食文化に関心を抱く人が、岩泉町内外から参加。どんぐりを使った新たな商品の開発に着手、販売に至った出店者がいた点は大きな成果だったと言えます。また、新聞各社、テレビにも取り上げられ、現在岩泉のどんぐり食文化が危機的な状況であることを周知することができました。
何より新たな観光資源を発掘するのではなく、岩泉で受け継がれてきた食文化を見直すという今回の取り組みは、一流シェフ、食文化伝承グループ、生産者の方々の関心を呼び、今後の活動の幅が広がると思っています。
岩泉近隣市町村で年間数多くのイベントが開催される中、「岩泉の食文化」、それも、どんぐりに特化した「いわいずみどんぐり学園祭」という初開催のイベントに関心を持ってもらうためには、徹底した情報発信が必要不可欠です。助成金を頂いたことで、ポスターデザインの打ち合わせの段階から、デザイナー、衣装デザイナー、羊毛フェルト作家、カメラマンを交え、よりクオリティの高いものを作ろうと意識の共有をすることができました。ポスター、チラシともに、大変好評で、助成金を頂かなければ、ここまでのものは作り得なかったと思います。
おはなしころりんによるお話会
てどの蔵ではスピンクラフトの実演も
岩手県内のクラフト作家による雑貨の販売
学園祭限定どんぐり帽子も大人気
岩泉のどんぐり食文化だけではなく、郷土料理や保存食を継承できる体制を視野に入れて、継続的に活動していきたいと考えています。それには、つぴたあれいわいずみ実行委員会だけではなく、行政や観光協会、食文化伝承グループ等と連携していければと思っています。
課題としてあげられるのは、任意団体としてボランティアで活動しているため、仕事や家庭の事情によりイベントでのスタッフが流動的であること。また、活動資金がないため助成金の申請が通らなかった場合、思うような活動が困難である点です。
今後さらに少子高齢化が進み、人手のない中、実行委員のメンバー達それぞれが仕事や、自治会の活動にとさらに多忙になると思われます。それでも、ゆるくつながりながら、自分たちの手で暮らしを楽しむ術を共有できるようイベントを開催していきたいと考えています。
活動成果レポート No.04
所在地:宮城県石巻市
プロジェクト名:網地島ふるさと楽好
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網地島は牡鹿半島の最西端、かつて世界有数の捕鯨基地であった鮎川港から海上約4キロメートルに位置しています。日露史上初の交易地としても知られ、網地白浜海水浴場など風光明媚な自然を満喫できる温暖な島です。
網地島は遠洋漁業や捕鯨の衰退により人口が減少し、高齢化も進んでいます。特に網地浜地区は、子どもが1人もおらず、高齢者が多く住む限界集落です。そのため、子どもの大切さや愛おしさを身にしみて感じている地域でもあります。島内の高齢者と島外の子どもたちの交流を図り、地域の活性化に取り組むことを課題としています。
仙台市内の児童養護施設の子どもたちを2泊3日で島に無料で招待し、島の高齢者との交流を通じて本当の家族のように過ごします。双方の生きがい創出と地域コミュニティの活性化を図っています。
活動を実施した日:平成30年8月3日(金)~8月5日(日)
場所:網地島(宮城県石巻市)
人数:34名(うち子ども27名)
全国からボランティアがお手伝い
うにやあわびをふんだんに使った島の自慢料理
うにのからむき
島のカレーライスは貝やイカがいっぱい
島では見ることがない子どもたちの明るい笑顔や素直な涙が、島の将来を悲観し、「仕方がない」と諦めていた島の高齢者を励まし、新たな意欲を生み出して行きました。
小学校の低学年から参加し、4回参加した子どももいます。単発のイベントではなく、長い時間をかけた交流です。何回も参加することで、お互いに思いやりやいたわりの気持ちを持つことができます。また、夏の野菜のようにニョキニョキ育つ子どもたちの姿をみることが、とても楽しみです。さらに、小学生だった子が、周りに気遣いのできる頼もしい高校生になり、大人びた会話をすることが不思議でもあり、大きな喜びにもなっています。
温かな心の交流を大切にし、関わってくださった全ての方々が幸せを感じられるように活動を続けてきました。島の高齢者の真心に触れて、いたわりの気持ちを持った、素直で優しい子どもたちが育ちました。
これまで多くの悲しい思いをした子どもも、楽しい夏の思い出をたくさん作って、笑顔で帰っていきます。
網地島ふるさと楽好で、島の高齢者たちの真心に触れ、子どもたちは、素直な気持ちになってくれます。周りの人に対する感謝の気持ちを持つとともに、優しい気持ちを持てるようになることが、子どもたちにとって、とてもよいことであると考えています。別れの時は、大人も子どもも素直な涙になります。
子どもたちには、網地島ふるさと楽好の思い出を絵と文章で表わしてもらい、文集にして、島のお年寄りにプレゼントします。文集に描かれる人はみんな笑顔になっています。子どもたちの優しい気持ちが伝わって来ます。これを楽しみにしている島のお年寄りもたくさんいます。これが、島のお年寄りを奮い立たせ、活動の意欲を生み出しています。
今年度から首都圏等の大学生ボランティアを多く集めて(25名)、子どもの相手だけではなく、食事の準備等を手伝ってもらうことにした結果、運営・スケジュールをうまく回すことができ、各ボランティアの負担も均一になったことから、満足度もあげることができました。来年度以降も、同様の手法を取っていきたいと考えています。
シーカヤックで出発だ
海には不思議なものがいっぱい
真っ白い砂浜と透明な海が自慢
涙が子どもたちの心を育む
島のお年寄りの温かな愛に優しく包まれることで、虐待等で苦しんできた子どもたちの自己肯定感が高まり、思いやりの心が育まれてきます。そして、周りとの信頼関係を築き、自分の家族を持って、幸せになってほしいと考えています。
網地島は、高齢化率8割で、ほとんどが年金と漁業で細々と暮らしている高齢者ばかりです。このままでは、十数年後には、ほとんどの住民がいなくなってしまいます。網地島ふるさと楽好を続けることで、これに関わる高齢者や「IJUターン」者を増やし、交流人口を増やして、コミュニティと航路と民間病院(網小医院)を維持し、島民の生活を守っていきたいと考えています。
首都圏や関西からの大学生ボランティアは、20名以上参加してくれるようになりました。網地島ふるさと楽好は、大学生にとっても、貴重な学びの場になっています。また、社会人になっても、手伝いに来てくれる方がおり、自分の結婚式に島の高齢者を招待してくれる方もおります。その他にも、子どもを連れて、島の高齢者のところに、泊りがけで遊びに来てくれる方もおります。こういった関係が生まれるのが、網地島ふるさと楽好のよいところです。小さな楽好ですが、多くの人を結ぶことで、みんなが幸せになることを願っています。
活動成果レポート No.05
所在地:山形県鶴岡市
プロジェクト名:鶴岡山王商店街にある明治時代に建造された空き店舗《旧新穂醤油店》を若者の活動の場として活用するプロジェクト
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鶴岡市は、山形県の日本海沿岸(庄内地方)南部に位置する都市。鶴ヶ岡城周辺の中心市街地は江戸時代には鶴岡藩(通称庄内藩)の城下町として栄えました。郊外には庄内米やだだちゃ豆の産地が広がります。
鶴岡市では老朽危険空き家を解体、整地し、若者世帯・子育て世帯・移住希望者に住宅用地として供給する「鶴岡市中心市街地居住促進事業」が進められています。鶴岡市山王商店街においても「虫食い状態になりつつある商店街の街なみの維持」が課題となっています。
2001年に庄内市民活動センターとして組織を立ち上げ、2005年に「公益のふるさと創り鶴岡」と名称変更し、市民活動グループへの支援や、地域づくりに関わっている団体相互のネットワーク化を推進しながら、市民参加型のまちづくり事業を実践。NPOや市民活動の活性化を目指すなかで、市民一人一人の自立を推進することを目的としています。
課題解決の手法として、空き店舗となっている建物をリノベーションし、若手経営者にテナントとして入居してもらうことを目的に、商店街内の「町家(旧新穂醤油店)を改装」し、「起業家のためのインキュベーションスペースと居住スペースの整備」を行っています。この空き店舗を当団体と商店街と「鶴岡ナリワイプロジェクト」と協働して、若者が活躍できる場として活用することを目的とします。
第一回ワークショップ
第三回ワークショップ
ナリワイ座敷市
展示およびナリワイ座敷市
当初、旧新穂醤油店は明治期からの商家の面影を残す貴重な建物ながら、「負動産」というレッテルを貼られ、更地にするしかないと言われていた建物でした。この貴重な歴史的文化財を何とかしたいという商店街としての思いを受け、当団体ではその管理と活用方法を考えてきました。今回のプロジェクトを実施したことにより、商店街関係者とナリワイづくりプロジェクトメンバーの協力の元、この建物を取得するオーナーが現れ、維持への方向に向かうこととなりました。これで、歴史的建造物である旧新穂醤油店が取り壊されることなく保存・維持するという当初の目的の一つが達成できました。
さらには、こういった一連の動きを作れたことにより、商店街関係者・ナリワイづくりメンバー・行政・企業がこの取り組みに関心を持っていただきました。その結果、この建物に魅力を感じ取得したいというオーナーがあらわれ、リノベーションを経て活用につながったことはこのプロジェクトの大きな成果です。
外観イメージ
外装の模型
内装の模型
ナリワイ報告会
2018年9月からは実際、建物のオーナーの意向をくみながらリノベーション計画・基本設計・活用計画に進むことができました。2019年4月からは工事が始まり、10月におやつと居場所古今coconという店名でグランドオープンしました。
出来るだけ地域に寄り添ったまちづくりの支援活動をすることを目標に、今後も行政だけではできない、市民だけではできない、それでも問題は山積といった課題解決型のプロジェクトを進めていきます。
18年目を迎える当団体ですが、理事の刷新・後継者の育成など組織体制の見直しをはかる時期となっています。事業継承や事業内容の見直し等が課題です。
活動成果レポート No.06
所在地:福島県二本松市
プロジェクト名:ふくしまの農家でエンジョイ!「里山テーマパーク」
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二本松市は福島県中通りの北に位置し、「智恵子抄」に詠われた安達太良山と阿武隈川で知られています。二本松市は菊の城下町と称され、日本最大級の菊人形展「二本松の菊人形」が有名。日本酒づくりが主要産業の一つで、多くの酒造メーカーを抱えています。
福島第一原子力発電所の事故の影響により、福島県の農家は、風評被害などの問題に直面しています。地域の実態を広く知ってもらうことが大きな課題となっています。
福島県内の各農家が協力して、「スタディファーム(福島県の農業に関する学習および体験)」の中心的農園である「二本松農園」を、より楽しく交流が図れる場所にするために設備や機能の整備を推進。福島県の農業に対する一層の理解浸透と交流人口拡大を図っています。
地域の課題を解決するためには、全国(あるいは世界中)の人々に福島の農家を実際訪ねていただくことが効果的です。当NPOでは、震災後これらの受け皿として「スタディファーム」を行ってきましたが、これらのメニューをさらに充実し、より多くの方々に福島の農家を訪ねてもらい、「顔の見える関係」を構築することにより、福島のマイナスイメージを徐々に払しょくしていく事が目的です。
より多くの方々に「スタディファーム」においでいただくため、大手旅行会社と提携し、「学びの旅」のメニューに入れていただきました。また、NPOの取り組みとして、「福島の農家を訪ねるツアー」の実施、あるいは「大収穫祭」を毎年定期的に行うこととしました。この結果、スタディファームへの年間入込は、
と大幅に増加しました。特に参加者からは「こうして福島の農家を訪ねてみると、放射能を取り巻く福島県農業の状況が手に取るように分かる。」との声が多く聞かれました。
このように、福島の農家を知るためには「まずスタディファームへ」との流れが確実に構築されつつあります。
バスでの来訪
大収穫祭
稲刈り体験
スタディファーム来訪団体
福島県の農業を取り巻く、いわゆる風評被害については、「正確な情報が伝わっていない」ということが主たる原因であると思われます。このような中、スタディファームを訪れることにより、正確な状況を肌で感じることができ、ここからの口コミにより、福島県の農業のイメージ回復に大きく貢献しているものと思われます。
具体的には、来訪者がその後、定期的に福島県産農産物を購入する例が多いほか、毎年、福島県を訪れる人も増えています。2019年(平成31年)4月から「国会議事堂」の中に福島県産農産物を直販する「店」の開店が実現しましたが、これも、スタディファームに来訪した元国会関係者の紹介によるものです。
当NPOは、「顔の見える関係に風評被害はなし!」をモットーとして活動していますが、まさに、スタディファームを中心としてこの考え方が実現しています。
スタディファームについては、集客のシステムであるため、現実的には、交流のためのメニュー整備、施設整備、備品・消耗品、パンフレット等を要しますが、これらの一部に本助成金を活用させていただいたことにより、当事業をスムーズに運営することができました。特に、来訪者と一緒に農園の中で食事をすることは、つながりをより強化しますが、本助成金の一部を、バーベキューのための設備、食事を作るための厨房(保健所の許可も取得)の施設の一部に使用させていただき大変助かりました。これにより、来訪者が、説明や農業体験だけでなく、食事もとれるようになったため、滞在時間(交流のための時間)が飛躍的に長くなりました。
国会議事堂内に店舗開設
企業内マルシェ
外国人も来訪
外国人団体来訪
農業生産法人を運営しながら、このような先を見据えた活動も行う必要があるため、やはり、これを継続的に実施していくための、財政面・人員面に課題があります。たとえば、「福島で農業をやってみたい」という都市部の若い人がいたとしても、現実的に、福島で農業だけで生活していけるのか?という課題に直面し、そこで夢が止まってしまうのです。
福島の問題は、根本的に「日本の抱える農業の問題」でもあると思っています。農業従事者の高齢化が進んでいる中、高齢農業者の「技」をいかに継承していくか、農業者がいかに「生きがい」を持つことができるか、という課題をクリアするため、たとえば、スタディファームを軸として、高齢農業者、若手農業者(法人)、新規就農者、全国の消費者が集って交流できるシステムをつくっていきたいと思っています。
活動成果レポート No.07
所在地:新潟県長岡市
プロジェクト名:「またくるね 今度は除雪 プロとして」~越後雪かき道場がつくる新しい地域防災の形~
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長岡市は、日本一の大河・信濃川が市内中央を流れ、日本海・守門岳など自然環境に恵まれた都市です。電子部品や精密機械関連等で世界をリードする企業も集積し、新潟県内随一の機械工業群を形成しています。また、花火の街として全国的に有名です。
2004年に発生した中越地震を契機に、将来に希望が持てる地域づくりを目指し、地域コミュニティの維持と交流人口の拡大を図っています。その一環として、除雪作業の担い手不足解消のため、即戦力となる除雪ボランティアの育成や、除雪作業時の安全対策の啓発を行います。
除雪対策を強化するために以下の点に力を入れて取り組んでいます。
実施場所 | 実施日(2018年) | 人数 | 備考 |
---|---|---|---|
山形県酒田市日向 | 1月20・21日 | 39人 | |
新潟県長岡市川口木沢 | 1月27・28日 | 24人 | 初級15名、上級9名 |
新潟県長岡市山古志 | 2月10・11日 | 27人 | 初級17名、上級10名 |
長野県長野市鬼無里 | 2月10・11日 | 33人 | |
新潟県長岡市山古志 | 2月17日 | 20人 | |
計 | 5回 | 143人 |
項目 | 対象 | 内容 |
---|---|---|
初級 | 基礎を学びたい人 | 指南書を用いた座学 カンジキを履いてのスコップ・スノーダンプの実技訓練 |
中級 | 初級修了者・雪国での除雪作業経験者 | 指南書を用いた座学 安全帯やロープに関する講習 |
上級 | 除雪リーダーを目指す人 | 作業現場での除雪作業の段取りに関する講義 命綱指導方法に関する講義 筆記試験 |
「指南書」について…雪国で根付く「雪かきの極意」をボランティアにも分かりやすく伝えるために作成した冊子
▼1日目
時間 | 初級 | 上級 |
---|---|---|
12:30 | 受付開始@あまやち会館 | |
13:00 | オリエンテーション | |
13:05 | 指南書を用いた座学 | 要援護者の把握 除雪計画の策定 @あまやち会館→集落内 |
13:45 | 着替え等準備 健康雪かき体操 |
安全帯の装着 ロープワーク 簡易アンカーの実験 |
14:00 | カンジキやスコップ、スノーダンプの実技訓練@あまやち会館周辺 | |
15:00 | 休憩 | |
15:10 | 道具の実技訓練を兼ねた雪積み競争 かまくらづくり |
埋没者捜索 搬送訓練 |
16:15 | 後片付け、着替え | |
16:30 | 入浴(フリータイム)@あまやち会館 | |
18:00 | 地域住民の炊き出し訓練を兼ねた交流会 | |
20:00 | 後片付け |
▼2日目
時間 | 初級 | 上級 |
---|---|---|
7:30 | 朝食 | |
8:30 | オリエンテーション 健康雪かき体操 |
|
9:00 | 班ごとに除雪作業@集落内(適宜休憩) | |
11:00 | 後片付け | |
11:30 | 自由時間@あまやち会館 | |
12:00 | 昼食 | |
13:00 | 解散 |
▼中・上級者の参加者の声
指南書を用いた座学
カンジキの履き方を師範よりレクチャー中
スノーダンプの実技演習@糸魚川
実技演習を踏まえてかまくら作り
今回の助成金により、指南書の増刷やバージョンアップした安全帯を購入することが可能となり、それらを各会場で使用することでより多くの方に除雪作業時の安全対策の普及をすることが出来ました。
また、大手気象予報会社(ウェザーニューズ)が真夏に幕張メッセで主催した「そら博」にもブースを出展し雪に馴染みのない方や多くのお子様に、楽しく雪かきについて知ってもらうことが出来たことなど、自己資金のみでは到底できない普及活動が可能となりました。
ロープワーク
安全帯を装着して屋根上作業
午前中の座学で学んだことを発揮!カルタ大会
長谷川工業さまと共同開発のハシゴをお披露目
除雪作業時の三種の神器(安全帯、アンカー、ハシゴ)の開発を進めます。
特に屋根の上で安全に除雪作業をするのに必要なアンカーを低価格で開発することと、安全帯の正しい使用方法の啓発を合わせて行い、アンカー設置家屋を増やしていくことで、より安全に地域住民や除雪ボランティアが作業できることを目指します。
スタートから10年がすぎ、開催地の高齢化もさらに進み協力体制も変化しつつあります。地元の協力度は参加者の満足度にも密接につながっており、地元の協力が得づらくなってきた地域においては今後どのように事業を進めていくかが課題です。
2018年度より当NPOが長岡市と共働で進めている「山古志地域における有償除雪ボランティアのマッチング・派遣システム」の構築事業と連携し、除雪ボランティアの育成の場という役割をこれからも担っていきます。
「越後雪かき道場R」のような活動を除雪の担い手不足に悩む全国の豪雪地に展開するため、各地に運営のノウハウを伝授する「のれん分け」制度を展開していきます。
東北電力株式会社 ソーシャルコミュニケーション部門 地域共生ユニット
〒980-8550 仙台市青葉区本町1丁目7番1号
TEL:022-799-6061
受付時間:平日 9:00~17:00(12:00~13:00を除く)
ホームページ:https://www.tohoku-epco.co.jp/sprogram/
個人情報等の取扱について
団体からのコメント
この度の助成金をいただいたことで余裕をもった運営ができましたし、毎年行っている活動も充実させることができました。また、懸案だった「ひまわり搾油工程の見える化」でも、搾油機械の設備資金の一部としても活用させていただいたおかげで、児童の学習にも効果をあげております。さらに新商品(ひまわりドレッシング)を開発する際のイニシャルコストにも活用できたことで、おかげ様で大変喜ばれる商品を開発でき、その後の順調な販売にも繋げることができました。
一方、住民の善意とボランティアで成り立っている活動でありますので、無理なく・楽しく活動しながら、サステナブルな活動として継続させることが何よりの目標です。
今後の展開としては、下記のような点があげられます。
ただ、児童の学習を中心に据えた活動でありますので、大人が先陣を切ってどんどん進めれば良いというものではなく、学校の授業カリキュラムと連動させなければなりません。販売においても、大人がどんどん売り場を作ればもっと商品販売はできるのですが、児童の販売体験が何より大切ですので、その点のバランス感覚を持った運営が必要になります。その点は経営と一緒で、思いを伝承できる人の確保と、事業継承が今後の課題と感じております。