プレスリリース

10月定例社長記者会見概要

平成23年10月28日

○海輪社長からの説明事項

 本日、私からは、「平成23年度上半期の販売電力量実績」、「今冬の電力需給の見通し」、「平成24年3月期、いわゆる平成23年度・第2四半期決算」、「原子力のあり方に関する有識者会議の設置」の4点について、説明させていただきます。

 

○平成23年度上半期の販売電力量実績について

 平成23年度上半期の販売電力量については、合計で348億8,600万kWhとなり、前年同期の実績での比較では、84.9%と前年実績を大幅に下回りました。上半期の販売電力量が前年同期の実績を下回るのは、平成21年度以来2年ぶり、割れ幅としては、上半期・下半期を含めた半期として、過去最大の割れ幅となりました。

 この要因としては、東日本大震災の影響による電力需要の減少に加えて、多くのお客さまに節電にご協力いただいたこと、さらに昨年の夏が猛暑だったため冷房需要が増加した反動が挙げられます。

 節電について、操業形態や休業日の見直しにも踏み込んで、ご協力をいただいた大口のお客さまをはじめ、当社管内の多くのお客さまに最大限の取り組みをしていただきました。おかげ様で、夏場の厳しい状況を乗り切り、計画停電を回避することができました。

 皆さまからのご理解とご協力に対し、改めて感謝申し上げます。

 なお、販売電力量は前年同期に比べて62億kWh減少しています。この減少の主な要因としては、(1)震災の影響が30億kWh程度、(2)節電へのご協力による効果が20億kWh程度、(3)昨夏の猛暑に対する反動である気温影響が8億kWh程度であったと試算しています。

 

○今冬の電力需給の見通しについて

 続いて、今冬の電力需給の見通しについて、現時点での感触をお話させていただきます。

 まず、供給力については、先月のこの場にて1,300万kWを超える程度は確保できる旨お知らせしました。

 当社としては、引き続き、冬場の供給力確保に向けて、新仙台火力発電所1号機などの被災火力あるいは豪雨被害を受けた水力発電所の早期復旧に努めるとともに、自家用発電設備所有のお客さまからの電力購入などに全力で取り組んでいるところです。

 一方、需要に関しては震災の影響等、詳細検討を進めているところですが、現時点では概ね1,350万〜1,400万kW程度になるものと想定しています。昨年の冬の最大電力は1,470万kWであったが、これよりは低下するものと想定しています。

 需給見通しの詳細については、近いうちにお知らせできるものと考えていますので、今しばらくお待ちいただければと思います。

 ただ、現時点の感触として、今冬についても引き続き供給力不足が懸念されることから、現在、更なる供給力確保に努めるとともに、料金メニュー等による需要抑制策についても検討を進めています。

 また、お客さまへの節電のお願いについては、東北の冬の寒さは厳しく、無理やりな我慢をしていただくということではなく、是非、無理のない範囲での節電をお願いできればと考えています。ご理解、ご協力をよろしくお願いします。

 なお、今冬の供給力に関連して、もう1点申し上げます。現在、能代火力発電所で建設を進めているNAS電池について、既に報道されているとおり、先般、当社導入予定と同型のNAS電池に火災が発生し、メーカーの日本ガイシにおいて、火災発生の原因究明、再発防止対策の検討を行っています。

 当社としては、何よりも安全の確保を最優先に考え、当面の間、NAS電池の設置工事を見合わせることとしました。このため、この冬の供給力としても見込まないこととし、日本ガイシによる原因究明、再発防止対策の検討状況を見極めながら、今後の対応について、調整してまいりたいと考えています。

 

○「平成24年3月期(平成23年度)・第2四半期決算」について

 次に、平成23年度・第2四半期決算について説明します。なお、数値についは連結決算ベースでご説明します。

 まず、収益面については、当期の販売電力量が前年同期に比べ大幅に減少したことから、売上高は7,538億円となり、前年同期に比べ827億円の減、率にして9.9%の減となりました。

 また、売上高に営業外収益を加えた経常収益は7,577億円となり、前年同期に比べ834億円の減、率にして9.9%の減となりました。

 費用面については、皆さまご承知のとおり、東日本大震災以降、当社原子力発電所の全号機が停止するとともに、震災の影響で太平洋側の火力発電所をはじめ、多くの発電所が被災しました。また、7月の新潟・福島豪雨の影響により、只見川・阿賀野川流域の水力発電所の設備被害も多数発生しました。

 このため、当社は設備被害にあった発電設備等の早期復旧に努めるとともに、当社石油・LNG火力の稼働増、自家発余剰電力の購入、東京電力・北海道電力からの電力融通等、供給力確保に全力で取り組んできたところです。

 こうしたことなどから、費用面においては、修繕費の減少などはあったものの、原子力発電所の停止に伴う火力発電所の稼働増により燃料費が大幅に増加したことなどから、経常費用は8,306億円となり、前年同期に比べ578億円の増、率にして7.5%の増となりました。この結果、経常損益は728億円の損失となり、前年同期に比べ1,412億円の大幅な減となりました。

 

 このような収支悪化に至った大きな要因として、大きく4点申し上げます。

(1)電力需要の減少影響が270億円程度、(2)原子力発電所の停止に伴う火力燃料費の増加が1,000億円程度、(3)価格の安い石炭を燃料とする原町火力発電所の停止に伴う火力燃料費の増加が240億円程度、(4)7月末の新潟・福島豪雨による水力発電所の停止に伴う火力燃料費の増加が50億円程度と試算しています。一方で効率化などによる費用減少もあり、差し引きで経常損益が約1,400億円の減少となったものです。

 

 さらに今回の東日本大震災および新潟・福島豪雨による設備被害の損失および今後の復旧に要する費用として904億円を特別損失に計上しました。内訳としては東日本大震災関連が728億円、新潟・福島豪雨関連が176億円となっています。

 なお、東日本大震災に係わる災害損失については、平成22年度決算において、平成23年度以降に発生する費用を極力見積もり、既に1,093億円を計上しています。

 今回、追加計上となったわけですが、22年度決算時点では被災規模や復旧工程を明確にできなかった原町火力発電所において、当初は屋内退避指示が出されていたため設備の調査が遅れていましたが、復旧方針が確定したことやその他の発電所等についても、設備の補修内容や範囲等について精査を行い、再度、見積もりを実施した結果、追加計上となったものです。

 このため、東日本大震災に係わる災害損失としては、22年度決算での計上額と合わせると合計で1,821億円(前期1,093億円+今期728億円)となっており、収支に甚大な影響をもたらしています。

 以上の特別損失等を含めた当期純損益については1,082億円の損失となり、前年同期比で1,432億円の大幅な減となりました。

 第2四半期決算において、経常損益、純損益が損失となるのは平成20年度・第2四半期決算以来3年ぶりであり、連結・個別決算ともに、過去最大の損失となっています。

 

 次に、平成23年度の業績予想については、東日本大震災後に低下した電力需要の回復動向や、原子力発電所の運転再開時期が不透明な状況にあることなど、依然として需給両面において不確定要素が多いことから、平成23年度の業績予想については、引き続き「未定」としています。今後、合理的な算定が可能となった段階で速やかにお知らせしたいと考えています。

 

 次に、平成23年度の中間配当について申し上げます。

 今回の第2四半期の決算については、ただ今申し上げたとおり経常損益、純損益ともに創立以来最大の損失となりました。また、通期業績予想については、需給両面において不確定要素が多いことから「未定」としています。

 こうした状況を総合的に勘案した結果、平成23年度の中間配当については、誠に遺憾ながら「見送り」とさせていただくこととしました。

 

 次に、効率化の取り組みについては、こうした厳しい収支状況を踏まえて、当社は現在、全社を挙げて様々な観点から最大限のコスト削減に取り組んでいます。

 具体的には、すでに計画していた工事・施策の取り止め、実施時期や内容の見直しなどにより、今年度は震災前に比べて、災害復旧以外の修繕費を550億円程度の削減、一般経費を150億円程度の削減、設備工事費を600億円程度の削減をする予定です。

 今後も、震災で被災した設備の早期復旧に努めるとともに、企業グループを挙げて徹底したコスト削減をはかり、早期の収支改善に向けて取り組んでまいりたいと考えています。

 

 今ほど説明したとおり、厳しい経営状況を踏まえ、当社は一丸となって一層の経営効率化に努めてまいりますが、「経営層自らが率先して取り組む姿勢を示す」という考えの下、このたび、役員報酬について自主的に返上することとしました。

 

○原子力のあり方に関する有識者会議の設置について

 最後に、「原子力のあり方に関する有識者会議の設置」について説明します。

 先月お知らせしたとおり、このたび、更に安全性の高い発電所の実現、あるいは地域の皆さまとのコミュニケーションのあり方など原子力全般にわたる課題に関して、社外の有識者の方々から幅広くご意見、ご助言をいただく「原子力のあり方に関する有識者会議」を設置しました。

 当社としては、これからの原子力のあり方という大きな課題を見据え、様々な分野の皆さまからご意見・ご助言をいただきたいと考え、記載させていただいた7名の方に委員をお願いしています。

 今後、委員の皆さまのご意見を承りながら、私ども経営層が先頭に立ち、原子力運営や電気事業に対する信頼回復に、全社を挙げて努めてまいる所存です。

 なお、第1回目の会合を11月8日に、女川原子力発電所で開催することとしました。皆さまには、後程、取材のご案内をさせていただくので、よろしくお願いします。

 

 本日、私からは以上です。

 

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