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女川原子力発電所1号機 高圧注水系に係る保安規定違反事象に関する根本原因と再発防止対策について平成21年 9月18日 当社女川原子力発電所1号機(沸騰水型、定格電気出力52万4千kW:宮城県牡鹿郡女川町、石巻市)は、平成21年7月15日に実施した高圧注水系※1の定期試験において動作可能であることが確認できなかったことから、保安規定第39条に定める運転上の制限※2を満足しないと判断しました。その後、原因を取り除き、同日運転上の制限内に復帰しております。 これは、6月に発電機と励磁機の接合部分から油(グリス)が漏れた事象の原因調査および補修に伴い、原子炉を停止した後、原子炉水位を上昇させた際に、高圧注水系タービンを停止させる「原子炉水位高」信号(以下、「当該信号」という。)が発信しましたが、補修作業終了後の原子炉起動準備として通常水位まで低下させる操作を行う過程で、当該信号が発信されていることを示すランプが球切れにより消灯していたために解除操作が行われなかったことが原因でした。 本事象に関して、当社は、7月22日に原子力安全・保安院から指示文書※3を受領しました。
当社は、原子力安全・保安院の指示に基づき、根本原因と再発防止対策を取りまとめ、本日、原子力安全・保安院へ報告いたしました。 今回、根本原因を究明するにあたっては、再度、本事象に関する調査・分析を行った結果、「盤面監視プロセス」、「系統健全性確認プロセス」、「手順書検討プロセス」の3つの運転管理プロセス上の問題点が抽出されました。その後、それらの問題点を分析して、根本原因を究明して再発防止対策を取りまとめるとともに、根本原因を究明するにあたって抽出された直接原因についても、再発防止対策を取りまとめております。
本報告の概要は、別紙のとおりです。
今後、具体的な対策実施計画を作成し、確実に実施するとともに、その有効性を評価していくこととしております。 以 上
※1 高圧注水系(HPCI)
非常用炉心冷却系の一部で、原子炉冷却材(原子炉内の水)喪失事故時に原子炉に給水するための設備。高圧注水系は原子炉で発生した蒸気の一部を使用してHPCIタービンを回し、連結するポンプを動かすことにより原子炉内に給水する。 なお、非常用炉心冷却系としては、他に「炉心スプレイ系」「低圧注水系」がある。 高圧注水系は、「原子炉水位異常低下」信号または「格納容器圧力高」信号により起動し、「原子炉水位高」信号により停止する系統。
※2 保安規定第39条に定める運転上の制限
保安規定には、原子炉の運転状態に応じ「運転上の制限」などが定められており、女川原子力発電所原子炉施設保安規定第39条(非常用炉心冷却系その1)は、「原子炉の状態が運転、起動および高温停止(原子炉内の水の温度が100℃以上での停止状態)において(原子炉圧力が1.04MPa以上)、非常用炉心冷却系のうち、高圧注水系の1系統が動作可能であること」を運転上の制限とする旨規定されている。
※3 指示文書「女川原子力発電所1号機非常用炉心冷却系(高圧注水系)の機能喪失における保安規定違反について」
本指示文書は、発電機と励磁機の接合部分から油(グリス)が漏れた事象の原因調査および補修後に原子炉を起動し、原子炉圧力が1.04MPa以上となった6月22日から「原子炉水位高」信号を解除した7月15日までの間、高圧注水系は「原子炉水位異常低下」信号では自動起動するものの、「格納容器圧力高」信号では自動起動しない状態にあり、これが「高圧注水系が動作可能であること」を満足していなかったと判断され、根本原因の究明および再発防止対策の策定を行い、9月24日までに原子力安全・保安院に報告するよう指示を受けたもの。
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