プレスリリース

女川原子力発電所1号機 高圧注水系の流量不足に係る調査結果および再発防止対策について

平成19年 7月 3日

 女川原子力発電所1号機(平成18年1月18日より第17回定期検査中)は、5月21日に原子炉を起動し、発電再開に向けて各種機器の試験を実施しておりました。
 その中で、5月22日午前2時頃、高圧注水系ポンプの手動起動試験を実施したところ、高圧注水系ポンプの出口流量が定格流量に達していないことを確認しました。
 動作確認のため、高圧注水系第一試験用調整弁(以下、「当該弁」という。)の開操作を行ったところ、全開位置を越えて動作することが確認されました。このため、同日21時21分に原子炉を停止し、当該弁の分解点検を行ったところ、5月24日、弁体を動かすための弁棒が折損していることを確認いたしました。
 なお、本件は、法令に基づく国への報告対象に該当するものと判断しております。

平成19年5月22日29日お知らせ済み)

 その後、高圧注水系の試験ラインにある他の弁などについても調査を行っておりましたが、当該弁以外については特に異常は見られなかったことから、当該弁の弁棒が折損したことによって弁体が流れを遮り、高圧注水系の流量が不足したものと推定いたしました。

 当該弁の弁棒が折損した原因調査として、折損した破面を観察したところ、疲労破壊の場合に特徴的に見られるしま模様を確認いたしました。
 また、当該弁は、高圧注水系の定期試験において試験ラインの流量を調整するために、30%程度の開度で運用しておりましたが、この開度では、弁体によって絞られた流れにより振動が発生し、当該弁棒に大きな力が加わったものと考えております。
 このことから、これまで行った高圧注水系の定期試験において、この大きな力が弁棒に繰り返し加わることにより、疲労破壊に至ったものと推定いたしました。
 また、弁体と弁棒を固定する平行ピンについても、当該弁の分解点検において折損が確認されましたが、弁棒と同様の原因により疲労破壊に至ったものと推定いたしました。

 再発防止対策として、弁をより大きな開度で運用することにより、絞られた流れによる振動を抑制できることから、高圧注水系の定期試験時における当該弁の開度を現在の30%程度から40%程度へ変更いたしました。
 なお、念のため、原子炉起動後の高圧注水系の定期試験において、当該弁の振動測定を行い、当該弁棒に大きな力がかかっていないことを確認いたします。
 さらに、一層の安全性向上を図るため、より強度の高い弁棒材質への取替や振動を抑制する弁内部構造への変更などについても、今後検討していくこととしております。

 また、当該弁と同様に絞られた流れによる振動によって弁棒に大きな力が繰り返し加わる可能性のある類似弁19台について詳細な検討を行った結果、そのうち1台について開度を全開で運用するように変更いたしました。

 今後、準備が整い次第、原子炉を起動する予定です。

以上

* 非常用炉心冷却系の一部で、冷却材喪失事故時および原子炉隔離時、原子炉隔離時冷却系故障時に原子炉に給水するための設備。

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