平成17年9月2日
女川原子力発電所(宮城県牡鹿郡女川町および石巻市)は、通常運転中のところ平成17年8月16日に発生した地震の影響により、同日11時46分に1号機、2号機、3号機が自動停止しました。これは、地震発生の際の安全確保対策として設計どおり停止したものであり、この自動停止による環境への放射能の影響はありませんでした。(8月16日、17日、26日にお知らせ済み)
現在、この地震による設備への影響について調査・確認を行ってきておりますが、これまでの確認状況について以下のとおりお知らせします。
1.設備の安全機能の確認状況(別紙1参照(PDFファイル)) |
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地震発生後、保安規定に基づいて、各設備の巡視点検および設備の安全機能確認を実施した結果、安全上問題となる被害はありませんでした。引き続き保安規定に基づく定期検査時に要求される安全機能確認を行っており、2号機については、主蒸気隔離弁機能検査・安全保護系設定値確認検査など、全体の約3割を終了していますが、これまでのところ、安全上の問題となるものは確認されておりません。引き続き2号機の安全機能確認を行い、続けて1号機・3号機も実施してまいります。 |
2.観測された地震波に基づく設備の健全性の評価状況 |
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(1)観測された地震データの評価(国へ報告した事項、別紙2参照(PDFファイル)) |
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1号機・2号機・3号機の原子炉建屋で観測された地震動*1から求めた加速度応答スペクトル*2(周期毎の加速度*3の最大値)は、機器の設置されていない屋上を除き、全ての周期において基準地震動S2*4による応答スペクトルを下回っていることを確認しました。
また、岩盤上で観測された地震データから上部地盤の影響を取り除いたデータを解析しましたところ、一部の周期において基準地震動S2を超えている部分がありましたので、今後、この要因の分析・評価を行う予定です。 |
(2)設備の健全性の解析評価状況(別紙3参照(PDFファイル))
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観測された地震データに基づいて女川1号機の原子炉建屋および同建屋内の安全上重要な機器*5が受けた力を評価しました結果、いずれも設計において考慮した力を下回っており、設備の健全性に問題がないことを確認しました。
引き続き、1号機の残りの機器、および2号機・3号機の建屋を含む設備の健全性の解析評価をさらに進めてまいります。 |
(3) |
なお、想定される宮城県沖地震(地震調査研究推進本部公表の宮城県沖地震)についても、安全上重要な設備の解析評価を実施し、これら設備の健全性を確認してまいります。 |
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以上
別紙1 (PDFファイル)
別紙2 (PDFファイル)
別紙3 (PDFファイル)
*1: |
地震の発生によって放出されたエネルギーは、地震波として、震源から地殻内のあらゆる方向に伝わっていき、これがある地点に到達すると、その地盤を揺り動かすことになります。
地震動とは、地震波がある地点に到達することによって生じる地盤の揺れ・動きのことです。
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*2: |
応答スペクトルとは、地震動が設備にどのような揺れ(応答)を生じさせるかをグラフに示したものであり、横軸に設備の固有周期、縦軸に設備の揺れの最大値(応答の最大値)をとって、分かりやすいように描いたものです。
最大応答値は、一般に加速度で示され、上にあるほど大きく揺れることを示します。(加速度は重さと掛け合わせると力に換算されるので、同じ重さの設備であれば加速度が大きいほど大きな力が働くことになります。)
応答スペクトルにより、特定の固有周期を持つ設備が、個々の地震動に対して、最大でどの程度揺れるかを把握できます。 |
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*3: |
加速度とは、地震動による地面等の揺れの速度がある時間内に変化する割合をいいます。
加速度は、Gal(ガル)【単位:cm/s2】で表されます。 |
*4: |
基準地震動S2は設計用限界地震と言われ、およそ現実的ではないと考えられる大きな地震で、この地震を想定しても安全上重要な設備は安全機能が維持されることを確認しています。 |
*5: |
1号機原子炉建屋内の安全上重要な機器のうち、固有周期が0.05秒以下のもの。
(残留熱除去系・非常用補機冷却系の熱交換器、原子炉隔離時冷却系・非常用炉心冷却系のポンプ他)
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