平成16年8月9日に発生した関西電力美浜原子力発電所3号機2次系配管破損事故に鑑み、当初計画していた点検に加え、代表部位における炭素鋼の未点検部位の前倒し点検を実施するとともにその他部位の追加点検を実施しました。(表−1、図−1)
点検の結果、大きな減肉はなく、安全性が十分確保されており、現行の肉厚管理方法が妥当であることを確認しました。(表−2)
なお、平成16年9月29日にお知らせしております高圧給水加熱器ベント管の減肉事象に関連し、当該箇所の点検を実施しており、問題のないことを確認しております。(表−3)
高圧第2給水加熱器(A)(B)ベントラインオリフィスについては、オリフィス形状の違いによるオリフィス下流側の減肉傾向を調査するため、取替えを実施しています。(図−1、図−2)
また、原子力安全・保安院通知文書「東京電力株式会社福島第一原子力発電所、柏崎刈羽原子力発電所及び中国電力株式会社島根原子力発電所における配管の減肉事象について(平成17・03・15原院第5号)」に鑑み、定期検査のため停止していた女川2号機について、平成17年3月31日から4月19日にかけて、放射線透過試験による配管ソケット継手部の減肉状況の点検を実施しました。(表−4、図−1参照)
点検の結果、グランド蒸気発生器連続排水ラインオリフィス下流ソケット継手部において、減肉の進んでいる箇所が1箇所確認されました。(図−1、図−3)
その他の箇所については、大きな減肉はなく、安全性が十分確保されていることを確認しました。減肉の進んでいる1箇所は、取替えを実施しております。
なお、放射線透過試験による減肉点検は、次回定期検査からは定期事業者検査として実施していきます。
表−1 配管肉厚測定部位数
|
代表部位の点検 |
その他部位※1
の
点検 |
点検済部位の再点検 |
未点検部位の点検 |
当初計画分 |
追加分 |
当初計画分 |
追加分 |
主要系統※2 |
炭素鋼部位 |
12 |
3 |
4 |
63 |
151 |
対策材部位 |
52 |
4 |
35 |
− |
9 |
その他系統※3 |
炭素鋼部位 |
6 |
2 |
6 |
− |
88 |
対策材部位 |
8 |
0 |
7 |
− |
− |
合計 |
450 |
78 |
9 |
52 |
63 |
248 |
(当初計画分) |
(130) |
(78) |
− |
(52) |
− |
− |
(追加点検分) |
(320) |
− |
(9) |
− |
(63) |
(248) |
※1その他部位 |
: |
代表部位以外の部位において、代表部位の検証や作業安全確保を配慮 して選定した部位 |
※2主要系統 |
: |
主蒸気系統(主蒸気系統、補助蒸気系統)、抽気系統、給水系統、復水系統、ドレン系統 (ヒータドレン系統、ヒータベント系統) |
※3その他系統 |
: |
グランド蒸気系統等 |
表−2 配管肉厚測定結果例(余寿命の短い部位3箇所)
(炭素鋼部位)
測定部位名 |
必要最小
肉厚 (mm) |
測定最小
肉厚
(mm) |
減肉率
(mm/年) |
余寿命
(年) |
給水系 給水再循環ライン レジューサ |
26.71 |
30.0 |
0.51 |
6.4 |
復水系 電動機駆動原子炉給水ポンプ(B) 入口ラインフローノズル下流直管 |
11.31 |
18.5 |
0.71 |
10.1 |
給水系 高圧第1給水加熱器(B)入口ライン レジューサ |
28.01 |
32.7 |
0.42 |
11.1 |
(対策材部位)
測定部位名 |
必要最小
肉厚
(mm) |
測定最小
肉厚
(mm) |
減肉率
(mm/年) |
余寿命
(年) |
ヒータベント系 高圧第2給水加熱器(B)ベントライン オリフィス
|
1.11 |
19.1 |
3.78 |
4.7 |
ヒータベント系 高圧第2給水加熱器(A)ベントライン オリフィス |
1.11 |
24.2 |
4.30 |
5.3 |
抽気系
グランド蒸気発生器加熱蒸気ベントライン オリフィス |
0.28 |
6.1 |
0.36 |
16.1 |
表−3 高圧給水加熱器ベントライン
測定部位名 |
必要最小
肉厚 (mm) |
測定最小
肉厚 (mm) |
減肉率 (mm/年) |
余寿命 (年) |
高圧第1給水加熱器(A)ベントライン オリフィス |
0.49 |
25.3 |
0.92 |
26.9 |
高圧第1給水加熱器(B)ベントライン オリフィス |
0.49 |
25.2 |
0.90 |
27.4 |
高圧第2給水加熱器(A)ベントライン オリフィス |
1.11 |
24.2 |
4.30 |
5.3 |
高圧第2給水加熱器(B)ベントライン オリフィス |
1.11 |
19.1 |
3.78 |
4.7 |
・ |
測定最小肉厚は、肉厚測定の結果、もっとも肉厚が少なかったポイントの値を記載。 |
・ |
減肉率および余寿命は、各ポイントごとに、@初回測定値と今回測定値の比較、A前回測定値と今回測定値の比較によりそれぞれ求め、厳しい方を採用した。
なお、今回の測定が初回測定の場合は、公称値と比較した。 |
表−4 放射線透過試験による減肉点検部位数および配管取替箇所数
|
点検箇所数 |
配管取替箇所数 |
主要系統※1 |
炭素鋼部位 |
− |
− |
対策材部位 |
64 |
0 |
その他系統※2 |
炭素鋼部位 |
− |
− |
対策材部位 |
42 |
1 |
合計 |
106 |
1 |
※1 |
主要系統 :主蒸気系統(主蒸気系統、補助蒸気系統)、抽気系統 |
※2 |
その他系統:グランド蒸気系統等 |
以上
|