10月定例社長記者会見概要

平成16年10月28日

 本日、私からは、「平成16年度上半期の電力需給実績」の概要ならびに、「LNGの弾力的な調達に向けた取組み」についてご説明いたします。

○新潟県中越地震について
 その前に、新潟県中越地震について触れさせていただきます。

 今月23日に発生した中越地震は、中越地方に大きな被害をもたらしましたが、被災された方々に対しまして、心よりお見舞いを申し上げます。
 今回の地震では、電柱や鉄塔の倒壊、高圧線の断線などの影響により、延べ30万戸を超える停電が発生しました。
 当社では、地震発生と同時に災害対策本部を立ち上げ、新潟県以外からの応援や、工事会社の方々を含め、1日最大で約2,200名の復旧作業員を動員するなど、総力を挙げて復旧作業にあたりました。その結果、道路の寸断やトンネル崩壊等により、立ち入り禁止や避難指示が出るなど、作業車輌や作業員が現地に向かうことができない地域の約8,000戸を除き、ひとまず復旧に目処をつけることができました。
 未だ、復旧作業に着手できない地域については、今後の道路等の回復を待って、速やかに復旧作業を進めたいと考えております。
 現地では、断続的に発生する余震や降雨により、未だ、予断を許さない状況下にあるため、当社としては、引き続き、二次災害の発生にも留意しながら気を引き締めて設備の保守にあたりたいと考えております。

○平成16年度上半期の電力需給実績について

 続きまして、平成16年度上半期の電力需給実績について、ポイントとなる点をいくつかご説明いたします。

 今年度上半期の販売電力量は、電灯・電力合計で376億7,500万kWhとなり、対前年比では104.9%と、3年連続で前年度を上回る実績となりました。この376億7,500万kWhという実績は、過去最高であった平成12年度上半期の366億5,500万kWhを10億2千万kWh上回り、上半期としてはこれまでの最高を記録しております。

 これは、昨年が冷夏だったことによる反動や、今年の夏の猛暑により、電灯や業務用電力などを中心に冷房需要が大幅に増加したことが大きな要因であると考えております。
 また、こうした要因に加え、電灯需要において、オール電化住宅の増加により堅調な伸びがみられたこと、さらには産業用の大口電力において、デジタル関連機器の生産が好調に推移していることから、これに牽引される形で、東北の主力産業である「電気機械」や「非鉄」が高い伸びを示したことなども需要の増加を後押しする要因になったものと見ております。
 今年度の下半期についても、このような上半期の好調さを持続することを期待しておりますが、原油価格がかなり高値で安定していることから、特にガソリン消費が多い米国経済への影響など、先行きの不透明感も強まってきており、必ずしも楽観できる状況にはないため、今後の需要動向を慎重に見極めていく必要があると考えております。

 ○LNGの弾力的な調達に向けた取組みについて

 続きまして、LNGの弾力的な調達に係る最近の取組みについて、ご説明いたします。

 当社をはじめとする電力各社は、二度のオイルショックの教訓を踏まえ、発電用燃料の脱石油化を積極的に推進してきました。
 当社では、原子力開発に注力する一方で、火力発電用の燃料として、安定的な調達が期待できるLNGに注目し、1984年から長期契約によりLNGの導入を開始しており、現在は、インドネシア、マレーシア、カタールの3ヵ国の、3つのプロジェクトから、年間約4百万トンのLNGを長期契約により調達しているところであります。
 こうした中、電力市場の自由化を背景に、経営全般にわたるコスト削減が一層求められており、LNGの調達におきましても、供給の安定性に加えて、一層の経済性の確保、さらには引取数量の弾力性の確保が求められてきております。

 こうしたことを踏まえ、当社では、調達量の7割強を占めるインドネシアのアルンUとの契約が本年末で終了することを契機として、契約のあり方を見直すことといたしました。具体的には、アルンUとは契約条件の一部を見直して期間を5年間延長したほか、新規にマレーシア・ティガおよび西豪州拡張プロジェクトとの間で売買契約を締結いたしました。
 これまでLNGの契約は、契約内容が硬直的になっていたが、これらの新規契約の締結等により、LNG調達ソースの分散化が図られるとともに、契約条件面で経済性ならびに引取数量の弾力性が増すことで、LNGに対する需要変動への適応性をさらに高めてきたところであります。

 当社では、こうした長期契約面での取組みに加え、LNGの追加需要が必要となった場合の対応策として、昨年3月にカタールガス社との間でスポット取引に係る「マスター契約」を締結しておりますが、更に弾力性を高める観点から、このほど、オマーンLNG社との間で同様の「マスター契約」を締結することといたしました。契約の調印は、来月に行う予定としております。

 このマスター契約は、予めスポット取引に係る契約条件を当事者間で決めておき、実際の取引の際に数量や価格を確認して、最終的に合意するというもので、いわば、スポット取引の基本契約にあたるものです。
 こうした契約を締結することにより、通常、手続きに最低でも約1ヵ月を要するスポット契約に比べ、マスター契約は、手続きが迅速化するだけでなく、追加の需要が発生した際や、他の調達先からの供給がストップするような緊急時にも、機動的な調達が可能になるなど、大きな効果が期待できるものです。

 また、今回のオマーンとの契約は、これまで長期契約の実績のなかった新たな調達ソースとの契約であるため、リスクの分散という観点からも大変意義深いものと考えているところです。

 いずれにしても、こうした取組みを進めることで、今後ともLNG調達における安定性、経済性、および弾力性の向上を図りながら、地域の皆さまに良質で低廉な電気をお届けしたいと考えております。

 本日、私からは以上です。