7月定例社長記者会見概要 |
平成15年7月29日 本日、私からは、環境問題に対する取り組みの一環といたしまして、石炭灰を道路盛土材に有効利用する技術を開発いたしましたので、ご説明させていただきます。 その前に、このたびの地震発生により、宮城県内において停電が発生し、地域の皆さまには大変ご迷惑をおかけいたしました。 最大で10万戸に及ぶ停電が発生いたしましたことから、宮城県以外からも、工事会社の方々を含めまして、約770名の応援を派遣して、全力を挙げて復旧作業にあたりました結果、一部地域は深夜までかかりましたが、当日中には全線復旧することができました。 報道機関の皆さまには、当社からの情報提供にあたり、いろいろとご協力いただきまして、厚く御礼申し上げます。 また、女川原子力発電所1号機の状況につきましては、すでにお知らせいたしましたとおり、本日、発電を再開することができました。 女川1号機につきましては、再循環配管やシュラウドにひびが確認されましたことから、定期検査期間も長期に及び、地域の皆さまには大変ご心配をおかけいたしました。 これまで当社は、発電再開の大前提となる技術的な安全性の確保を最優先にして、国による健全性の評価を踏まえながら、設備面での調査・点検を一歩ずつ確実に進めてまいりました。 また、技術的な安全だけではなく、それを社会的な信頼と安心につなげていくことが大事であるという認識に立ち、地元自治体の皆さまのお考えや、社外の有識者の方々にご協力いただいて設置いたしました顧問会議での意見等もお聞きながら、定期検査における情報公開範囲の拡大、あるいは原子力発電所の品質保証体制の強化・充実など、新たな取り組みも進めてまいりました。 こうした当社の取り組みにつきまして、宮城県をはじめ関係自治体の皆さまから評価していただき、発電再開についてご理解をいただいたことは、大変ありがたく、また大変嬉しく思っております。 原子炉を起動後、タービンのバランス調整作業のため、発電再開が当初予定より若干遅れましたが、これも、スケジュール優先ではなく、より安全と安心を重視して判断したものであります。 当社といたしましては、地元の皆さまの理解と信頼によって発電所が支えられているということを、改めて肝に銘じまして、今後とも、タイムリーでわかりやすい情報提供に努めますとともに、原子力発電所に携わる関連企業の方々も含めまして、なお一層の安全文化の醸成に努めてまいりたいと考えております。 ○石炭灰(クリンカアッシュ)の道路盛土材への利用技術の開発について それでは、本日のテーマであります「石炭灰の道路盛土材への利用技術の開発」についてご説明いたします。 当社では、平成13年度から、3か年のローリングプランとして「中期環境行動計画」を策定しており、事業環境の変化や毎年度の活動結果等を踏まえながら、計画の強化・見直しを行ってきております。 この中期環境行動計画では、重点方針のひとつに「循環型社会形成に向けた省資源・リサイクルの推進」を掲げ、廃棄物の発生量抑制や有効利用、さらには、リサイクル等に努めております。 今回のクリンカアッシュと呼ばれる石炭灰を利用した道路盛土材としての土質改良技術についても、こうした廃棄物の有効利用の一環として、国土交通省東北地方整備局と共同で取り組んだものであります。 当社における廃棄物全体の発生量は年間116万トン程度でありますが、このうち石炭火力発電所で発生する石炭灰は年間87万トン程度と全体の75%を占めております。このため、石炭灰の利用用途を拡大していくことが、廃棄物処分量を低減するポイントとなります。 石炭灰には、石炭をボイラーで燃焼した後に、電気集じん器で集められる微粉末の「フライアッシュ」と、ボイラーの底に落下した灰の塊を回収し、脱水して砕いた「クリンカアッシュ」の2種類があります。 石炭灰については、中期環境行動計画において「平成15年度の石炭灰有効利用率90%以上」という目標を掲げております。こうした中、石炭灰の9割程度を占めるフライアッシュについては、ほぼ全量がセメント原料やセメント混和材などに有効利用されており、平成14年度の石炭灰の有効利用率は93.4%と、目標を1年前倒しで達成したところであります。 しかしながら、クリンカアッシュについては、土地造成などに半量程度しか有効利用されておらず、残りは埋め立て処分している現状にあります。こうしたことから、当社では、石炭灰の処分量低減を図るうえで、このクリンカアッシュの利用用途の拡大がひとつの課題となっておりました。 一方、国土交通省東北地方整備局でも、建設工事で発生する不良土と呼ばれる水分を多く含んだ土については、そのままでは再利用できずに、廃棄処分を行っている状況にありました。 こうしたことから、廃棄物の有効利用拡大という両者のニーズが合致いたしまして、これらを道路の盛土材として有効利用することを目的に、平成12年度より東北地方整備局と共同研究を開始したという経緯があります。 クリンカアッシュには、吸水性と透水性の両方に優れた性質があるという特長があり、不良土にクリンカアッシュを混合すると、土の強度が高まり、また、その強度を維持できることが確認できました。 これに加えまして、クリンカアッシュを土質改良材として利用する場合は、他の固化剤が不要で、加工せずに利用できることも大きな特長であり、土質改良材として非常に有効であることが実証できました。 このように、今回の共同研究では、クリンカアッシュと不良土を混合したものが道路盛土材として十分利用可能であるという成果を得たことから、東北地方整備局では、今年3月に、一般的な道路施工法のガイドラインに取り入れ、直轄工事等で活用していくこととしております。 すでに、能代火力発電所で発生したクリンカアッシュを道路盛土材に利用した実績があり、今後、クリンカアッシュの有効利用がさらに進むものと期待しております。 また、大まかな試算ではありますが、クリンカアッシュを埋め立て処分する場合の費用と比較しますと、土質改良材として利用する場合は、クリンカアッシュを運ぶ距離が短い場合は、1/3程度の費用で済む可能性もあることから、当社といたしましては、コスト削減効果も期待しているところであります。 ○8月の定期人事異動について 最後に、8月1日付で発令する定期人事異動について申し上げます。 この制度は、能力と意欲のある人材の発掘と適材適所での人材活用、さらには組織の活性化などを目的として導入したもので、今回は、戦略的思考や専門スキルの必要性が高い本店室部等を募集個所として実施いたしました。これに対して、60名の応募がありましたが、今回の定期異動におきましては、選考の結果、合格した21名を募集個所に異動発令することといたしました。 合格した社員は、いずれも能力と意欲に溢れており、新たな職場において良い意味での刺激となり、それぞれの部門の中核を担う人材に成長してくれるものと、大いに期待しているところであります。 この「キャリア・デザインプログラム」につきましては、制度の運用面などを検証したうえで、来年度以降も支店や出向等に募集個所を拡大して実施し、さらなる人材育成と職場活性化を図ってまいりたいと考えております。 なお、今回の異動規模は、新規役付登用198名を含めた管理職異動が1,900名程度、全体では4,100名程度となります。 本日、私からは以上です。 |