ハウスを利用する施設栽培でつくられる作物は,種類,品種によって生育に適した環境が必要です。しかしながら,作物に適した温度・湿度にハウス内を制御するには,従来の暖房設備では限界がありました。
ヒートポンプは省エネで,「暖房」「冷房」「除湿」の機能を兼ね備えており,最適な環境づくりに威力を発揮します。
【施設栽培でつくられる園芸作物】
・野菜(トマト,キュウリ,ピーマン,パプリカ,リーフレタス,等)
・花き(バラ,ユリ,アルストロメリア,等)
・果物(イチゴ,メロン,等)
・キノコ(菌床シイタケ,マッシュルーム,等)
ヒートポンプは,燃油暖房機のように燃焼により熱を取り出す設備ではなく,外気の熱も利用するため,少ない投入エネルギーで効率的に暖房することが可能です。
施設園芸においては,ハイブリッド方式(ヒートポンプと燃油暖房機との併用)が主流となりつつあります。運転コストの安価なヒートポンプを優先運転し,低外気温度に燃油暖房機と併用運転することにより,運転コストの低減がはかられます。
ヒートポンプは暖房だけではなく,夜間冷房・除湿にも活用することで,収量と品質の向上が期待できます。
夏の高温期は夜間に冷房運転を行いハウス内の温度・湿度を調整したり,春や秋の多湿期は除湿運転によりハウス内の湿度を下げることで,病害の発生や感染の抑制がはかられます。