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所在地:宮城県仙台市
プロジェクト名:ジーバーFOOD
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高齢化が進み、働き手不足が深刻化している地域において、シニアが「食」を通じて活躍する場を手にし、地域に美味しい料理と笑顔を届けることで、地域全体を元気にしていこうという思いで始まったプロジェクトです。
不動産事業や高齢者の生活サポート事業の他、空きテナントを活用し、シニアが作った健康手作り弁当を現役世代に届ける配食事業「ジーバーFOOD」を展開。今回、ジーバーFOODに隣接するスペースを活用し、新たに「(仮称)ジーバー食堂」をオープンさせ、地域における多世代間のコミュニティ創出を目指します。
シニア世代が社会の負担になるのではなく、社会を支える力となるよう、生きがいを生み出しながら、地域の中で持続可能に活躍し続ける環境や仕組みを作っています。
本助成時に計画していた「食堂」については、当初からの拠点としていた太白区長町の拠点スペースを活用して行う予定でした。しかし、近隣から「うちも場所はあるけれど、人がいないから食堂をやってほしい」という声が寄せられたことを受け、別の拠点にて運営しています。
具体的には、仙台市若林区六丁の目にある印刷工業団地組合の社員食堂を運営、加えて、宮城県富谷市の空きテナントを活用して食堂を運営しています。これまでに延べ138名のシニアが活動に参加し、シニアの美味しい手料理を働く人や地域住民に提供しています。
テレビや新聞でも多数取り上げていただきました(NHK、河北新報等)。
また、活動を進める中で「近隣の飲食店も働き手不足で悩んでいる」という現状に気づきました。そこで、シニアが仕込みを応援することで近隣の飲食店の活動をサポートしていこうという話になり、活動の発展系として「本当に美味しい応援隊」という新しい事業をスタートさせました。これにより、自社のみならず、地域全体の食産業を盛り上げる取り組みに精進しています。
社員食堂を運営
美味しい手料理を提供
地域の健康づくりにも貢献
シニアの生きがいにも
宮城県内でこれまでに累計138名のシニアが活動に参加しました。
参加したメンバーからは「元気になった」「病院に行く回数が減った」といった声が多く聞かれるとともに、シニアのご家族からも「これまでは暗かった母が、明るくなった」など感謝の声が多数届いています。
また、ジーバーFOODの食堂が完成したことにより、「日頃のお昼ご飯が健康的になった」という声も多くいただいており、今後もより多くの若い世代に食事を提供していきます。
結果として当初予定していた、長町の拠点の一角を食堂にする案は変更となりましたが、そこで煮詰めた計画が六丁の目や富谷の食堂へと発展していきました。
また、助成金については、上記2つの食堂の立ち上げ資金として活用させていただきました。
空きテナントを活用
愛情込めた料理
シニアの知恵と経験を生かす
地域の食材を活用
活動成果レポート No.02
所在地:秋田県秋田市
プロジェクト名:複合拠点「DELTA」の新設
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地域の止まらない人口減少や都市部への「ヒト、モノ、コト」の一極集中が課題とされる昨今、地方都市で発足したクリエイティブカンパニーとして、私たちは「ものづくりや人の交流を起点として地域に新しい流れを生み出していくような拠点を作ろう」と考えました。
映像制作会社として、地域に根差した活動を展開。空きアパートを改装し、シェアオフィス・コワーキングスペース・宿泊施設・カフェ等で構成された複合拠点を新設・運営することで、クリエイターが技術や体験を活かせる仕事場と快適な滞在場所を提供しています。さらに、当施設をクリエイターと地域が交流・共創する拠点とすることで、特色あるコミュニティづくりを目指しています。
四階建てのマンションをリノベーションし、カフェ、滞在施設、ワークスペースを整備。イベント開催や宿泊事業を起点とした関係人口の創出を目指し、都市部に集中してしまっているクリエイティブ産業へ従事する県内外の人々の横のつながりを作ることができるような場所になりたいという意図がありました。
弊施設は2024年5月25日にオープンしました。オープニング期間に合わせたイベント開催を皮切りに、これまでカフェ、宿泊、ワークスペースの運営を基盤としながら活動を続けています。
カフェでは、地域の食材(特産品や地場野菜)を多く取り入れたメニューを提供し、地域のロースタリーと連携して自家焙煎のコーヒーを提供しています。宿泊エリアは県内外や国内外のお客さまにご利用いただく要の機能を担っており、特に夏〜秋の観光シーズンには多くの方々にご利用いただきました。今後も、宿泊機能を通じた関係人口の創出や地域への滞在のきっかけづくり、さらにシェアハウス機能の充実を構想しています。
また、四階には私たちアウトクロップの事務所を構え、五つの事業者様がレンタルオフィスにご入居いただいています。すでに業種を超えた協業・共創が生まれており、教育、移住、起業などに関するイベントも多く開催されています。
秋田魁新報様、秋田タウン情報様に継続的な情報掲載をいただいております。
施設外観
カフェ外観
フォンブース(個室スペース)
ミーティングルーム
地域との関わりという点では、起業関連のイベントや移住促進に関するイベントの会場として弊施設を活用いただいたことや、大学の講義会場としての活用、さらに弊社が関わる映像制作を通じた大学生向け教育事業の会場としての活用などが挙げられます。
また、地域の方々とのやりとりの中から生まれた「屋上での花火鑑賞会」や、弊社スタッフによる多文化交流の場「English Cafe」の開催なども複数回にわたって実施されました。
今回のプロジェクトは「複合施設の立ち上げ」を伴うものであり、内装・外装のリノベーションや設備・備品への投資など、大きな費用がかかるものとなりました。助成金という形でサポートをいただけたことに大変感謝しています。
購入した家具や備品はイベント開催時に活用させていただいているほか、日々ワークスペースをご利用いただく方々にも役立っています。施設立ち上げの際にはオープン前までにまとまった金額の投資が必要でしたが、助成金を活用して設備・備品を整えることができたことで、無事にスタートダッシュを切ることができました。
シアタースイートルーム
セミダブルルーム
ドミトリールーム
バスルーム
カフェ機能、宿泊機能、ワークスペース機能、それぞれの可能性を最大化し、より大きなシナジーを生み出したいです。また、弊社が得意とする映像制作事業や広告業、ミニシアター事業との連携によって、さらに大きな可能性を生み出せると考えています。
現状での大きな課題は広報です。弊プロジェクトには広報を専門に担当する人員が不在であり、積極的な広報活動や分析、活動アーカイブなどが十分にできていない現状があります。財務面では、カフェ・宿泊事業が季節や天候に左右されやすいこと、またワークスペースの利用に関する認知が広がっていないことが課題として挙げられます。
館内機能の紹介パンフレットを作成すること(料金表などを含む)や、広報活動(SNS、ハガキ発送、チラシ・ポスター活用、広告運用)の強化、さらにチーム内リソースの配分を進めることが、弊施設の機能を広く知っていただくために必要不可欠なアクションであると考えています。
また、コワーキングスペースや宿泊設備の利用を通じて人々の交流や関係人口の創出を促進するようなデザインを作り上げたいと考えています。財政面での安定を図るとともに、「DELTAがなかったら生まれなかった企て」が継続的に生じていくことを次の目標としています。
活動成果レポート No.03
所在地:青森県青森市
プロジェクト名:まちづくりを通じた学びのプログラム「クリエイトまち塾」の展開
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本プロジェクトでは、地域商店街の衰退及び人口減少という2つの地域課題の解決に取り組みました。
地元高校生を対象とした通年型社会教育プログラム「クリエイトまち塾」を実施。商店街を学校に見立て、商店主・地元学生・高校生が一体となり、1年をかけてまちづくり活動に取り組むことで、若年層の地域への愛着を高め、人口流出速度の緩和に貢献するとともに、未来を担う有為な人材の育成を目指しています。
大型SCが台頭する現代において、現状の商店街のビジネスモデルが通用せず、商いの場から学びの場への変化が求められていると考えました。また、最初の流出タイミングである高校卒業までに地域について深く学ぶ機会が少ないことから、地元を離れる前の高校時代に地域への理解を深めることも、人口流出速度を緩和するうえで重要ではないかと考えました。このような背景から、「商いの場」である商店街に「学びの場」の機能を付加することを目的として、クリエイトまち塾を展開しました。
2023年11月~2024年3月、2024年6月~11月
2023年
2024年
青森県内高校生 延べ46名
(2023年度:青森県内の高校生18名、2024年度:青森県内の高校生28名)
講義風景 NPO法人わかもののまち 土肥潤也代表理事
講義風景 西秀記青森市長
講義風景 あおもり若者プロジェクトクリエイト 久保田圭祐理事長
講義風景 みなとまち・あおもり誕生400年実行委員会 細川英邦運営委員長
青森市のみならず、平内町・野辺地町・八戸市など広域から延べ46人の参加があり、全11回のコアプログラム(講演会)を実施しました。2024年3月に商店街中心部に位置するアウガで開催した成果発表会には、80名を超える地域住民が来場し、商店街に「学びの機能を付加する」という大きな目的の緒に就くことができたと考えています。
「クリエイトまち塾を通して青森の魅力を再発見でき、もし進学で他県に行ったとしても戻ってきたいと思える経験でした。また、活動を通して自分の進路を明確にすることができたので、この活動を活かして自分の強みとなる部分を見つけ、第1志望校に合格したいと思いました。」
「クリエイトまち塾では、悔しかったこと、辛かったこと、楽しかったことなど、いろいろな経験ができました。ただ、その中で成長できた部分よりも、自分の悪い部分を実感することの方が多かったのがとても悔しかったです。この悔しいという思いや、クリエイトまち塾で学んだことを無駄にせず、将来に活かすことがこれからの自分の課題だと思いました。」
中長期の方針として、スタッフの成長にもつなげることを目指しており、その第一弾として本助成金を活用し、スタッフの人材育成にも取り組みました。具体的には、ワークショップのファシリテーション能力向上に資する書籍購入、OJTプログラムの検討、スタッフ向け研修の提供などを行い、いずれもスタッフの能力・モチベーション向上につながりました。スタッフの能力やモチベーションが向上することは、カリキュラムのクオリティ向上にもつながると考えています。
通常の助成金では、事業本来の対象者である「高校生」に向けた取り組みしか工面しにくいところ、本事業の本質である「人材育成」の観点からフレキシブルに助成金を活用できたことは、事業のステップアップに大いに役立ったと感じています。
高校生による実践活動
成果発表会
大学生・若手社会人向けスタッフ研修
ワークショップ
クリエイトまち塾は、2024年度に10年目を迎えました。延べ260名の地元高校生が参画し、彼らに成長の機会を提供してきました。今後も、魅力的かつ実践的なカリキュラムを考案し、地域人材の育成に取り組んでいきたいと考えています。また、スタッフとして活動を支援している大学生や若手社会人に対しても、研修などのフォローを充実させ、参加者・運営者・支援者が三方良しとなる活動を展開したいと考えています。
現在、安定財源の確保とスタッフの人材育成について課題があると考えています。前者については、地元企業からの協賛や個人サポーター会員制度などの整備を進めるとともに、個人向けのクラウドファンディングにも取り組むことで、補助金などに依存しない形で事業実施に必要な資金を確保したいと考えています。後者については、今回の助成期間中に実施した研修やメンタープログラムをもとに、さらに充実させる取り組みを進めていきます。
これまで、クリエイトまち塾は「地元高校生の人材育成」に力点を置いてきました。しかし、助成期間中にスタッフへの投資にも積極的に取り組んだ結果、スタッフのモチベーション向上につながり、彼らの成長にも大いに貢献することができました。今後は、スタッフを含めた地域の若者全体の人材育成へと裾野を広げ、取り組みをさらに充実させていきたいと考えています。また、東北全体の人材育成の観点から、青森県外への「クリエイトまち塾」の展開についても積極的に取り組んでいきます。
活動成果レポート No.04
所在地:福島県いわき市
プロジェクト名:移住希望者向け「漁村体験ゲストハウス」の整備を目指す空き家再生プロジェクト
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震災後に過疎漁村の風景保存を目指すNPO法人を設立しました。具体的な課題は、急激な人口減少と高齢化の歯止め、そして港町らしい建物の保存です。
空き家再生活動やDIY教室、港町のライフスタイルを提案するイベントを展開し、住まいを家族以外が受け継ぐ仕組みづくりに取り組んでいます。空き家を移住希望者と共にDIYなどで「漁村体験ゲストハウス」として再生する等、子育て世代が移住したくなる環境整備のために「足りないものは自分でつくる文化」を育てることは、移住者の増加だけでなく過疎漁村の活性化につながる取り組みとなります。
取り組むべきは、若者が住みたくなる漁村を目指し、地域住人が主体的にかかわる仕組みと、今も当たり前に営まれている漁村の手ごたえのある暮らしに、移住者の目線で価値を見出す仕組みづくりだと考えています。住人と移住者の接点を言語化することが直近の課題です。中之作には豊かな自然や港湾施設などの未利用空間があり、それらを積極的に活用することで、子育て世代の求める住環境整備は可能だと考えています。空き家活用による若者の移住促進事業と組み合わせることで、過疎漁村の持続を目指すモデルケースとなります。私たちは、これらを総称して【エリアリノベーション】と呼んでいます。
ゲストハウス整備は、2024年6月から地元工務店に工事を発注し、施工が始まりました。
福島県(358万円)及びいわき市(500万円)による助成事業としても採択が決まり、工事全体としては1200万円の予算で行う運びとなりました。
12月6日に工務店さんによる工事が完了しましたが、内装工事は一般参加型DIYを行うことで整備を進めています。現在、不足分の資金を調達するため、いわき市のサポートを受けてクラウドファンディングを実施中です。
DIY教室は11月から実施しています。
インスタグラム、Facebook、Xにてゲストハウス整備状況やDIY教室の募集に関するお知らせを随時発信しています。
工具の使い方を習っている様子
壁の左官塗り
小学生も挑戦
初めての作業に奮闘
空き家活用において、「所有者」の情報を知っているのは「地域住人」であり、彼らの紹介なしでは「所有者」には辿り着けません。
震災後の空き家再生実績が「地域住人」の信頼を得たことで、私たちのもとに空き家情報が集まり始めています。「地域住人」が喜ぶ「移住者」を紹介する仕組みづくりなど、地域を巻き込んだ空き家再生事業を実施しています。
ゲストハウスは、地域イベントや漁業体験などに参加した方が長時間滞在するための施設となる予定です。また、建物は宿泊施設としての使用だけでなく、「地域住人」が無目的に滞在できる「開かれた場=茶の間」としても活用します。過疎地域の高齢化は単身化に向かいつつあり、地域とつながる入り口や助け合う仕組みが必要です。この仕組みは、単身で子育てをする核家族世代にとっても重要です。「茶の間」は、地域の豊かさを体感できる場として機能します。
空き家再生のDIY作業には「移住希望者」も参加を促しています。建物再生に関わることで、地域に愛着を持ってもらうことが狙いです。
ゲストハウス整備は「移住希望者」向けの漁村体験施設であると同時に、「地域住人」向けの空き家再生の先行事例になると考えています。
今回再生する建物は、放置空き家の劣化の恐ろしさを地域に伝えるのに適した物件であり、劣化防止策としての空き家管理の重要性を「地域住人」から「空き家所有者」に伝えることができました。空き家問題は全国的に広がっており、他地域の方からの視察や問い合わせも増えています。
今回、東北・新潟の活性化応援プログラムに採択されたことで、空き家を活用したゲストハウス整備を行うことができました。このプログラム採択後、行政にも認められ、福島県及びいわき市から助成を受け、本格的にゲストハウス整備を始めることができました。
壁の板張り作業の様子
玄能を使って釘を打ち込む
参加者には建築科志望者も
フローリング張りの様子
私たちの目指すところは、地域活性化の【エリアリノベーション】です。今後は、空き家管理事業へ展開していこうと考えています。
私たちのNPO団体は震災復興から立ち上げたものであり、これまでは震災復興に特化した助成金に頼ってきました。しかし、震災から年月が経ち、震災復興関連の助成金が少なくなっているのが現状です。また、会員数も年々減少しており、資金が足りないうえ、人員面でも常に不足しています。
今後は震災復興関連の助成金ではなく、まちづくりに特化した助成金など、別の視点から支援を探していきたいと考えています。また、NPOとして自立できるように、自主事業にも力を入れていきたいと思っています。
東北電力株式会社 ソーシャルコミュニケーション部門 地域共生ユニット
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個人情報等の取扱について
団体からのコメント
宮城県で培ったジーバーFOODの仕組みとビジネスモデルを、全国1718の市町村に広げていくことを目標にしています。日々、深刻化している高齢化の課題に真正面から向き合い、2030年までに目標を達成し、世界が羨む高齢社会を実現します。
財務面についてはどうしても先行投資が大きかった分、苦戦する場面もありましたが、理解のある投資家に支えてもらっています。
人員面については、シニアスタッフは多く集まっているものの、シニアスタッフのコミュニティマネジャーを務める人材がやや不足している状況です。そのため、今後はこの点を強化していきます。
これから、各拠点にコミュニティマネジャーを配置し、あくまでシニアが主役として活躍し続けられる運営を実現していきます。