プレスリリース

女川原子力発電所1号機における誤信号による非常用炉心冷却系の作動に係わる原因および再発防止対策について

平成21年 3月11日

  平成21年2月19日23時37分頃、定期検査中の女川原子力発電所1号機(沸騰水型、定格電気出力52万4千kW)において、非常用炉心冷却系の一部*1が誤信号により作動しました。

  原因は、非常用炉心冷却系に信号を送る系統の点検を実施していたところ、操作を誤ったため、実際には原子炉の水位が低下していなかったにもかかわらず、原子炉水位低の誤信号が発生したことによるものです。

 

  なお、非常用炉心冷却系が作動し、水が原子炉内に注入されたことから、原子炉内の水位が上昇、一部が原子炉格納容器内に漏れました*2が、水は原子炉格納容器外には漏出しませんでした。

 (平成21年2月20日お知らせ済み)

 

 その後、事象が発生した原因について詳細な検討を行い、再発防止対策を取りまとめ、2月20日に受領した原子力安全・保安院の指示に基づき、本日、国に報告いたしました。

 

 事象が発生した原因および再発防止対策は以下のとおりです。

 

1.事象発生の原因

    (1)作業手順書の記載が操作内容のみで操作すべき弁が明確ではない箇所があった。

    (2)作業手順の検討において、ヒューマンエラーによる誤操作や誤信号の発信を考慮した安全処置(電気的な系統隔離など)の要否検討が不十分であった。

    (3)点検を実施している過程で、非常用炉心冷却系が作動する前に、弁の開閉操作による一過性の圧力変化で「原子炉水位低」の信号が発生したが、その際に作業を一旦中断し、その後の作業手順や内容を再検討しなかった。

    (4)作業内容が「圧力発信器の継手部の増し締め」であったことから、通常の作業体制で実施可能と判断し、作業手順の検討が作業を担当する箇所のみで行われたため、作業内容について発電所内で十分な情報伝達がなされなかった。

 

2.再発防止対策

    (1)銘板の付いていない弁には作業手順書に現場の作業対象箇所の図を入れ、その上で操作すべき弁番号を記載する。また、作業時には手順書に記載したとおりに弁番号の札を弁に取り付ける。さらに、弁の開閉作業は、弁の操作者と確認者がチェックリストに基づきダブルチェックを行う。

    (2)非常用炉心冷却系および原子炉保護系の動作に影響を与える不具合対応作業(計画外)を行う際には、電気的な系統隔離を含めて適切な安全処置の要否を確実に検討する。また、対応体制、作業手順、原子炉施設への影響を総合的に評価し、その結果を発電所内の会議体に付議するとともに、個別の作業票を発行することで確実な情報伝達を行い、発電所全体で確認するとともにリスク情報を共有する。

    (3)想定外の警報や機器の起動・停止、パラメータが変動する事象等が発生した場合には、一旦、作業を中断し、速やかに作業継続の可否を検討する。

    (4)上記(2)に加え、本事象をヒューマンエラー防止教育の中に事例として取り込むとともに、事例検討会を開催し、安全に対する意識の醸成に引き続き取り組む。

 

以 上

 

*1 非常用炉心冷却系とは、原子炉に冷却材喪失が起こった時などに、炉心を冷却するための系統。今回作動したのはその一部である炉心スプレイ系です。

 

*2 漏れた量は約6リットル。

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