プレスリリース

11月定例社長記者会見概要

2023年11月29日

○樋口社長からの説明事項 

 本日もお忙しい中、お集まりいただき、ありがとうございます。
 私からは、「カーボンニュートラル達成に向けた取り組み状況」について、ご説明させていただきます。


〇カーボンニュートラル達成に向けた取り組み状況について

 当社グループは、2050年のカーボンニュートラル達成に向け、2021年3月に「東北電力グループ“カーボンニュートラルチャレンジ2050”」を策定し、「再エネと原子力の最大限活用」、「火力の脱炭素化」、「電化とスマート社会実現」の3つの柱を中心に、CO2排出量の削減に向けた取り組みを進めてきております。
 また、同年7月に、2030年度のCO2排出量について、2013年度実績と比較して「半減」を目指していくことを中間目標として設定しております。


 2013年度以降、経年化した火力発電所の休廃止や、上越火力発電所1号機をはじめとする高効率の火力発電所の新設およびリプレース、更には、再エネの開発を拡大してきたことなどにより、2022年度のCO2排出量は、2013年度実績と比較して、21パーセントの削減を達成しております。
 一方で、2030年度の中間目標の達成に向けては、引き続き、3つの柱を中心とした取り組みを、着実に積み上げていく必要があります。本日は、このうち、「火力の脱炭素化」に関する取り組み状況について、ご説明いたします。


 「火力の脱炭素化」については、発電に使用する化石燃料を、水素やアンモニアなどの「カーボンニュートラル燃料に置き換える」、最新鋭の高効率火力発電所の発電割合を増やすなどして「化石燃料の使用を減らす」、火力発電所から排出される「CO2を回収する」、という3つのアプローチから取り組んでいくこととしており、脱炭素化に向けた新たな技術の実証や研究などを進めております。


 ここからは、実証などが本格化している、「カーボンニュートラル燃料に置き換える」ための、具体的な取り組み状況について、ご紹介いたします。


 まずは、「LNG火力の脱炭素化」に向けた、「新潟火力発電所における水素混焼実証」についてです。

 水素は、燃焼時にCO2を排出しないことから、カーボンニュートラル実現に向けたエネルギー源として期待されておりますが、発電への利用にあたっては、燃焼安定性の確認などが必要となります。
 このため、本年の10月より、まずは小型のガスコンバインドサイクル設備である、新潟火力発電所5号系列の実機において、本来の燃料である天然ガスに少量の水素を混焼させる実証を開始しております。


 当初は2024年度の実証開始を想定しておりましたが、約1年前倒しして開始しており、10月13日と19日には、事業用のガスコンバインドサイクル発電設備としては「国内初」となる水素混焼試験を実施し、問題なく燃焼できることを確認いたしました。


 今後は、本試験で得られた知見を、大型のガスコンバインドサイクル設備における水素混焼試験に活用するなど、LNG火力の脱炭素化に向けて検討を進めてまいります。


 ここからは、「石炭火力の脱炭素化」に向けた取り組みを3点ご紹介いたします。


 1点目は、石炭火力の脱炭素化に向けた、「能代火力発電所におけるブラックペレット混焼実証」についてです。


 ブラックペレットとは、木材や植物を加熱して、一定程度炭化させたバイオマス燃料であり、従来の木質チップなどのバイオマス燃料よりも高い熱エネルギーを有しております。


 当社はこれまでも、能代火力発電所や原町火力発電所において、地域の未利用材を使用した木質チップの混焼を実施しておりますが、更なるバイオマス燃料の混焼率向上を目的として、能代火力発電所において、2021年度より、ブラックペレットの混焼実証を進めております。


 ブラックペレットの混焼に向けて、石炭の貯蔵を行う貯炭場でブラックペレットを「貯蔵」し、ボイラーまで「運ぶ」、ボイラーで「燃やす」、という一連のプロセスが、本来の燃料である石炭と比較しても問題なく実施可能であることを、それぞれの試験を通じて確認いたしました。


 今後は、本格的な運用を目指し、来春以降に、ブラックペレットの混焼の割合を、これまでの1パーセント程度から、最大20パーセント程度まで拡大した混焼試験の実施に向け、検討や準備を進めてまいります。


 2点目は、「発電所遊休地におけるバイオマス原料製造実証」についてです。


 石炭火力において、ブラックペレットの混焼を本格的に実施していくためには、良質なブラックペレットを安定的に調達していく必要があります。
 このため、その調達先の見極めなどに活用していく知見の獲得を目的に、当社は、2021年度より、秋田火力発電所などの遊休地を活用して、バイオマス燃料の原料となる植物の栽培に取り組んでおります。


 収穫した植物の一部は、試験的にブラックペレットに加工し、その性状を確認するとともに、ブラックペレットとして混焼する際に、ボイラーなどの設備に影響を与えるリスクや課題がないかなど、燃料としての適合性を検証しております。
 今後も引き続き、栽培試験に取り組み、将来の安定的なバイオマス燃料の調達に向けた知見の獲得を目指してまいります。


 3点目は、「アンモニアサプライチェーン構築に関する共同研究の実施」についてです。


 アンモニアは、水素と同様、燃焼時にCO2を排出しないエネルギー源として期待されておりますが、燃料の調達・輸送といったサプライチェーンが確立されていないという課題があります。
 このため当社は、2022年に、複数の事業者と共同で、オーストラリアから日本へのサプライチェーンの構築に関する事業性を確認するための調査を実施いたしました。


 本調査において、当社は、石炭火力で将来的にアンモニア混焼を実施する際に必要となる、アンモニアの受入設備・貯蔵設備の構成やボイラーの改造内容などを検討し、その結果、能代火力発電所および原町火力発電所において、アンモニアを混焼する場合の設備改造にかかる概算費用や、導入にあたっての課題などを確認いたしました。


 本調査で得られた知見なども踏まえながら、引き続き、詳細な設備仕様など、石炭火力でのアンモニア活用に向けた検討を進めてまいります。


 以上が、化石燃料から「カーボンニュートラル燃料に置き換える」ための主な取り組みとなりますが、これらと同様、「火力の脱炭素化」に向けたアプローチである、「化石燃料の使用を減らす取り組み」、「CO2を回収する取り組み」につきましても、鋭意進めてまいります。


 当社は、本日ご説明した「火力の脱炭素化」に向けた取り組みをはじめ、引き続き「再エネと原子力の最大限活用」や「電化とスマート社会実現」を着実に進め、電力供給面とお客さまの電力利用面の両面から、脱炭素化を進めてまいります。

 そして、こうした取り組みを通じ、地域やお客さまによりそう企業として、持続可能な社会の実現に向け、カーボンニュートラルの達成を目指してまいります。


〇女川2号機における「安全対策工事」ならびに「理解活動」の実施状況について

 最後に、女川2号機の状況について触れさせていただきます。

 「安全対策工事」の状況についてですが、海抜29メートルの防潮堤などの主な安全対策工事につきましては、計画どおり進捗しており、現在、設置が完了した設備などの「使用前事業者検査」を順次行っております。


 また、9月にお知らせした「追加で実施している電線管の火災防護対策工事」につきましても計画どおり進捗しており、対象となる電線管を耐火材でラッピングする工事を鋭意進めております。
 引き続き、安全確保を最優先に、2024年2月の工事完了に向けて全力で取り組んでまいります。


 当社では女川2号機の再稼働に向けて、さまざまな「理解活動」に取り組んでおります。


 発電所周辺にお住まいの方々に発電所に関する情報をお伝えしながら直接ご意見などを伺う「こんにちは訪問」のほか、各種団体・企業・一般の方々を対象とした「発電所見学会」や「VR見学会」を継続的に行っております。

 また、当社ホームページの原子力情報に係るコンテンツを随時リニューアルし、情報内容の充実化を図っているほか、発電所の立地・UPZ地域にお住まいの方々に「発電所だより」などの広報紙をお配りし、発電所の状況をお知らせしております。


 当社といたしましては、これまでも繰り返し申し上げてきたとおり、再稼働にあたっては地域の皆さまからのご理解が何よりも重要と考えております。
 今後も、ハード・ソフトの両面から発電所の安全性向上に取り組むとともに、当社の取り組みをきめ細かくお知らせし、あらゆる機会を捉えて地域の皆さまの声にしっかりと耳を傾けることで、一人でも多くの方々からご理解をいただけるよう努めてまいります。


 本日、私からは以上です。

以 上

(注)樋口の「樋」は、一点しんにょう


「プレスリリース本文のPDFファイルはこちら」 印刷用PDF
←← 東北電力トップページ ← 元のページへ戻る