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東北電力では、女川原子力発電所2号機の使用済燃料について、発電所から搬出するまでの間、一時的に貯蔵する施設として、使用済燃料乾式貯蔵施設を設置することとしましたので、概要についてご紹介します。

(2024年6月21日掲載)

現在の女川原子力発電所2号機の使用済燃料の貯蔵方法は?

発電で一定期間使用した燃料(燃料集合体)を、使用済燃料として、原子炉建屋の「使用済燃料プール」に移し、水を循環させながら冷却し、安全に貯蔵しています(湿式貯蔵)。

 

女川2号機の原子炉には560体の燃料集合体が装荷されます。

写真:原子炉建屋
写真:燃料集合体

使用済燃料乾式貯蔵施設を新たに設置する目的は?

女川原子力発電所2号機の再稼働に伴い、使用済燃料プールの容量が、今後4年程度で管理容量に達するため、使用済燃料を発電所から搬出するまでの間、一時的に貯蔵する施設として、水や電気を使用せず、空気の自然対流で冷却する「乾式貯蔵」の施設を設置するものです。

【女川2号機使用済燃料プールの貯蔵状況】

(2024年9月末現在)

(単位:体)

貯蔵容量 管理容量
(A)
貯蔵量
(B)
空き容量
(A-B)
2,240 1,680 1,335 345

※管理容量1,680体は、貯蔵容量2,240体から、原子炉に装荷される燃料560体を差し引いた容量

参考

◆国内の使用済燃料乾式貯蔵施設について


国内の原子力発電所では、茨城県の東海第二発電所において、既に使用済燃料の乾式貯蔵が行われています。

また、愛媛県の伊方発電所や佐賀県の玄海原子力発電所などにおいても、使用済燃料乾式貯蔵施設の計画が進められています。

写真:乾式貯蔵施設(内観)

日本原子力発電(株)東海第二発電所
(出典:日本原子力発電(株))

使用済燃料乾式貯蔵施設とは?

今回設置する乾式貯蔵施設は、女川原子力発電所2号機の使用済燃料プールで十分に冷却された使用済燃料を、「使用済燃料乾式貯蔵容器」(以下、「乾式貯蔵容器」と記す)と呼ばれる金属製の丈夫な容器に収納し、発電所敷地内の高台に設置する「使用済燃料乾式貯蔵建屋」(以下、「乾式貯蔵建屋」と記す)で貯蔵する施設です。乾式貯蔵施設では、水や電気を使用せず、空気の自然対流で冷却することから、安全性に優れています。

 

【乾式貯蔵施設の設置位置】

 

乾式貯蔵建屋の1棟目を海抜38m、2棟目を海抜36mの発電所敷地高台に設置します。

          
写真:乾式貯蔵施設の設置位置


【乾式貯蔵建屋(イメージ図)】

 

乾式貯蔵建屋は、鉄筋コンクリート構造とすることで、施設の敷地周辺における放射線量の低減をはかります。

写真:乾式貯蔵建屋イメージ図(1棟目)
写真:乾式貯蔵建屋イメージ図(2棟目)
  1棟目 2棟目
構造 鉄筋コンクリート構造
(約40m×約20m・高さ:約10m)
鉄筋コンクリート構造
(約40m×約30m・高さ:約10m)
設置場所 海抜38m 海抜36m
貯蔵容器 最大8基 最大12基
工事着工 2026年5月 2030年8月
運用開始 2028年3月 2032年6月

使用済燃料を収納する「乾式貯蔵容器」とは?

女川原子力発電所2号機の使用済燃料を収納する「乾式貯蔵容器」は、円筒形の金属製容器で、地震や竜巻などの自然現象で乾式貯蔵建屋に損傷が生じた場合においても、安全機能を維持できる設計としています。
また、この乾式貯蔵容器は、使用済燃料を発電所から搬出する際も、輸送船専用の容器に詰め替えることなく使用することができる「輸送・貯蔵兼用」となっています。

【乾式貯蔵容器(イメージ図)】

 

乾式貯蔵容器は、使用済燃料を安全に貯蔵するため、「閉じ込め」「遮へい」「臨界防止」「除熱」の4つの安全機能を備えています。

乾式貯蔵容器には、使用済燃料プールで18年以上にわたって、十分に冷やされた使用済燃料を収納します。

写真:乾式貯蔵容器
仕様(1基あたり)
寸法 【全長】約5.4m
【外径】約2.5m
重さ 約119t
(使用済燃料を収納した状態)
体数 使用済燃料69体を収納

4つの安全機能

閉じ込め機能
(二重のふた)
二重のふたで密閉し、放射性物質の外部への漏えいを防止します。
遮へい機能
(放射線遮へい材)
使用済燃料から放出される放射線を、遮へい材により低減させます。
臨界防止機能
(仕切り板)
仕切り板により、収納する使用済燃料同士の間隔をとることで、臨界(核分裂の連鎖反応)を防止します。
除熱機能
(伝熱フィン)
使用済燃料から発生する熱を、伝熱フィン(金属の板)を通して容器表面に伝え、空気の自然対流で冷却します。

皆さまからのご質問にお答えします

Q.発電所構内での乾式貯蔵を選択したのはなぜ?


女川原子力発電所では、これまで敷地内外の乾式貯蔵施設など種々の貯蔵方法について検討しており、その中で、貯蔵容量や建設期間等を総合的に勘案した結果、国内外での実績がある発電所敷地内での乾式貯蔵を選択することとしました。

Q.地震や津波対策はどうなっているの?


使用済燃料を収納する「乾式貯蔵容器」は、金属製の丈夫な容器であり、地震時においても4つの安全機能(閉じ込め、遮へい、臨界防止、除熱)が維持できる設計となっています。
また、「乾式貯蔵建屋」は、発電所で想定される津波高さ23.1mに対して、津波の影響を受けない海抜38m(1棟目)および36m(2棟目)の敷地高台に設置するものです。

Q.乾式貯蔵施設の放射線管理はどのように行うの?


使用済燃料を収納する「乾式貯蔵容器」には、放射線による環境への影響を低減するため、放射線を遮る効果のある遮へい材を備えています。
また、乾式貯蔵容器を貯蔵・管理する「乾式貯蔵建屋」は、放射線を遮る効果のある鉄筋コンクリート構造を採用しています。
このほか、女川原子力発電所では、敷地周辺の環境中の放射線量を6台のモニタリングポストで測定しリアルタイムで監視しており、乾式貯蔵施設設置後も、発電所における放射線管理をしっかり行うこととしています。

Q.使用済燃料はこのまま発電所で保管しておくの?


女川原子力発電所の使用済燃料は、発電所の使用済燃料プールおよび今回設置予定の乾式貯蔵施設で安全に管理していくとともに、再処理事業者に搬出し、再処理(リサイクル)を行うこととしています。

Q.どうして、使用済燃料を再処理(リサイクル)するの?


ウラン燃料は発電により3〜5%程度しか消費されず、残りの95〜97%程度は再利用できます。
使用済燃料を再処理(リサイクル)し再利用することは、エネルギー資源の乏しい日本において、有用となります。 写真:軽水炉を中心とした原子力燃料サイクル 発電によるウラン燃料の変化(例)

Q.乾式貯蔵施設には、何年分の使用済燃料を貯蔵できるの?


乾式貯蔵建屋には、2棟合計で20基の乾式貯蔵容器を貯蔵できます。乾式貯蔵容器には1基あたり69体の使用済燃料が収納でき、20基合計の収納数は1,380体となります。
20基分の使用済燃料の収納体数から貯蔵可能年数を算出した場合、乾式貯蔵施設運用開始後から10年以上は貯蔵が可能であると評価しています。

Q.乾式貯蔵施設が安全性に優れているのであれば、全ての使用済燃料を乾式貯蔵すればいいのでは?


新たに設置する乾式貯蔵施設では、女川2号機の使用済燃料プールで18年以上冷却した使用済燃料を乾式貯蔵容器に収納し、冷却・貯蔵することとしており、貯蔵から18年に達しない使用済燃料は、これまでと同様に、使用済燃料プールで冷却・貯蔵します。
女川原子力発電所2号機使用済燃料乾式貯蔵施設

女川原子力発電所2号機の使用済燃料乾式貯蔵施設について、動画でご説明しています。

動画を見る

(PDF)女川原子力発電所2号機の使用済燃料乾式貯蔵施設について

当社といたしましては、地域の皆さまからご理解をいただけるよう、
乾式貯蔵施設の設置について、分かりやすく丁寧なご説明と情報発信に努めてまいります。

関連リンク

電気事業連合会「使用済燃料貯蔵対策の取り組み」

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