当社、女川原子力発電所2号機(沸騰水型、定格電気出力82万5千kW)は、第8回定期検査の調整運転中のところ、原子炉再循環ポンプ*1(A)軸封部(メカニカルシール)*2第二段シール室圧力のごくわずかな上昇傾向が継続していたことから、原子炉を停止し、当該軸封部を取り替えることといたしました。
また、原子炉内の中性子の量を計測している124個の局部出力領域モニタ(LPRM)*3検出器のうち、2個の検出器の値が校正用検出器の値と差が生じていることが確認されたことから、この停止にあわせて点検することといたしました(1月5日お知らせ済み)。
原子炉再循環ポンプ(A)の軸封部を分解して調査したところ、第一段シートリング*4のシール面に光沢が不均一な部分があること、およびバランススリーブ*5とXリング*6との接触面に不均一な当たり跡があることが確認されました。これらのことから、原子炉起動時の原子炉圧力上昇などの際、第一段シートリングの挙動に差*7が生じ、第一段シール面の接触が不均一になったことによりシール面の隙間が増加し、その結果、シール水が第二段シール室に多く流入し圧力上昇を引き起こしたものと推定しております。
当該軸封部については、バランススリーブとシートリング等を交換いたしました。なお、今後、シートリングの挙動によるシール面への影響を改善させる方法を検討してまいります。
また、局部出力領域モニタ検出器について調査したところ、当該2個の局部出力領域モニタ検出器のケーブルを逆に接続していたことが確認されました。このため、過去の点検履歴等を調査したところ、当該局部出力領域モニタ検出器は、前回(第7回)の定期検査において取り替えており、この際、誤って接続したものと判断しております。
なお、本事象による運転上の影響を調査したところ、安全性に問題はなかったことを確認いたしました。
局部出力領域モニタ検出器を含む類似のケーブルについては、正しく接続されていることを確認しております。
今後、準備が整い次第、原子炉を起動し、設備の健全性を確認した上で、発電を再開する予定です。
本事象による外部への放射能の影響はありません。
以上
(別紙)
- *1 原子炉再循環ポンプとは、原子炉内の冷却水を強制的に循環させるためのポンプで、ポンプの回転数(スピード)を変えることにより、冷却水流量を調整し、原子炉の出力を増減させます。このポンプは2台設置されています。
- *2 軸封部(メカニカルシール)とは、ポンプ内部を流れる冷却水が回転軸の隙間を通してポンプ外部に出ないようにするために設けられている部品です。
- *3 局部出力領域モニタ(LPRM)とは、原子炉内で核分裂によって発生する中性子の量を計測する検出器です。局部出力領域モニタは原子炉内に31本設置されており、それぞれ4個の検出器が取り付けられています。
- *4 シートリングとは、炭素製のリングで、軸封部の固定側に取り付けられています。原子炉圧力の上昇により軸方向上方に移動します。
- *5 バランススリーブとは、ステンレス鋼製の筒状の部品で、筒の外側にXリングを介してシートリングが取り付けられています。
- *6 Xリングとは、シートリングとバランススリーブとの間に設置される部品で、シール水がシートリングとバランススリーブの間を通って流れないように隙間を塞ぐとともに、原子炉圧力などによるシートリングの移動・変形を許容する目的で取り付けられています。
- *7 原子炉圧力上昇によるシートリングの挙動の差とは、原子炉圧力上昇に伴ってシートリングの上面と下面に働く圧力の差が大きくなることにより、シートリングがバランススリーブに沿って上方に移動する際、なんらかの理由により生じるシートリング各部の移動量の差です。