プレスリリース

別紙

女川原子力発電所2号機定期安全レビュー(第1回)報告書の要旨

  1. 女川原子力発電所2号機について
     女川原子力発電所2号機は、平成7年7月に営業運転を開始した沸騰水型軽水炉で、定格電気出力は82.5万キロワットである。
     運転実績は、営業運転開始から平成16年度末(平成17年3月末)までの平均設備利用率は81.7%(添付−1)(PDFファイル)、法律対象の故障・トラブル報告件数は5件、事故・故障等による計画外停止は4回となっている(添付−2)(PDFファイル)
  2. 運転経験の包括的評価
     品質保証活動、運転管理、保守管理、燃料管理、放射線管理および環境放射線モニタリング、放射性廃棄物管理、事故・故障等発生時の対応および緊急時の措置、事故・故障等の経験反映状況の8分野の保安活動について、各種データの推移、設備や保安活動等の改善状況を調査し、国内外原子力発電所の運転経験から得られた教訓等が適切に反映されているか評価した。
    • (1)品質保証活動
       品質保証計画、組織、教育・訓練、不適合管理、文書管理、マネジメントレビュー、内部評価、外部評価等の品質保証活動について調査し、これまでの運転経験を踏まえた継続的な改善が行われていることを確認した。
      ≪改善の例≫
      • ・ 「原子力発電所の安全のための品質保証規程(JEAC4111-2003)」に基づいた「品質保証規程」の制定、品質マネジメントシステムの構築および「女川原子力発電所品質保証計画書」の全面改正
      • ・ 品質保証活動を統括する「品質保証室」の設置
      • ・ 保安教育の対象者、教育内容等の明確化による教育・訓練の充実
      • ・ 不適合事象の明確化、品質関連要領類の電子化
      • ・ 発電所長レビューおよび社長のマネジメントレビューの実施
      • ・ 社内内部監査部門による内部評価および保安検査などの外部評価の提言等に対する改善およびフォロー
    • (2)運転管理
       通常運転時から事故時に至るまでの発電所の運転体制、運転員の業務と手順書および教育訓練の実施状況を調査し、運転管理に関する改善を適切に行っていることを確認した。
      ≪改善の例≫
      • ・ 事故時における運転操作に対する支援体制の確立
      • ・ シビアアクシデントに対応する運転手順書の整備
      • ・ 運転中における窒素流出率の傾向監視方法の運転管理要領書への反映
      • ・ フルスコープシミュレータの導入等による効果的な教育・訓練の実施
    • (3)保守管理
       安全上重要な設備・機器の経年変化、定期検査の実施状況や設備の改良工事実績の調査、保守管理体制および保修担当員の教育・訓練を調査し、保守管理に対する継続的な改善が行われていることを確認した。
      ≪改善の例≫
      • ・ アクシデントマネジメント策工事
      • ・ 保守管理体制の見直し
      • ・ 「保守管理に係る要求事項(JEAC4209)」に基づく保全プログラムの見直し
    • (4)燃料管理
       燃料の運用管理および信頼性向上対策について調査し、新燃料の受入れ・貯蔵、燃料の検査および装荷、炉心管理、燃料の取り出し、使用済燃料管理・運搬、計量管理について適切な運用管理を実施していること、燃料の信頼性向上対策が実施されていることを確認した。
      ≪改善の例≫
      • ・ 9×9燃料の採用による使用済燃料の発生量の低減
      • ・ 使用済燃料輸送容器データ改ざん問題を鑑みた発注先審査の充実
    • (5)放射線管理および環境放射線モニタリング
       線量の推移、線量低減対策への取り組み、線量管理の仕組みおよび放射性気体・液体廃棄物の影響を調査し、作業の自動化、効率化等により線量管理の改善を実施しており線量が低い値で推移していることを確認した。また、環境放射線モニタリング結果から、発電所の運転が環境に影響を与えていないことを確認した(添付−3)(PDFファイル)
      ≪改善の例≫
      • ・ 水質管理等による一次系配管線量当量率の低減
    • (6)放射性廃棄物管理
       放射性気体・液体廃棄物の放出実績および放出低減対策の実施状況を調査し、種々の低減対策により放出量は放出管理目標値を十分下回っている値で推移していることを確認した(添付−4(PDFファイル)5(PDFファイル))。また、放射性固体廃棄物の発生量、保管量低減対策の実施状況を調査し、種々の低減対策により、固体廃棄物貯蔵所の貯蔵容量も保管容量に対し、十分余裕があり、適切に管理していることを確認した(添付−6)(PDFファイル)
      ≪改善の例≫
      • ・ 中空糸膜を使用した復水ろ過装置の導入
    • (7)事故・故障等発生時の対応および緊急時の措置
       事故・故障等発生時の対応については、体制の確立、通報連絡、原因調査および再発防止対策の検討・実施に係るマニュアルの整備、傷病者等発生時に係るマニュアルを整備し、これら一連の対応を適切に実施できる体制を確立していることを確認した。
       緊急時の措置については、体制の整備、資機材の整備等が行われ、「原子力災害対策特別措置法」に基づき対応すべき点についても必要な充実・強化を図り、「原子力事業者防災業務計画」に反映している。また、緊急時を想定した訓練を定期的に行い、その結果を必要に応じ原子力災害予防対策へ反映する仕組みを確立していることを確認した。
      ≪改善の例≫
      • ・ 通報連絡体制の強化に伴う情報伝達の迅速化
      • ・ 医療機関、消防機関と合同の緊急被ばく医療訓練の実施
      • ・ 「原子力事業者防災業務計画」の制定
    • (8)事故・故障等の経験反映状況
       過去の事故・故障等の情報の反映状況を調査し、女川2号機で発生した事故・故障等の経験を反映する仕組みを確立していること、および種々の予防保全対策および信頼性向上対策の継続的実施により、これまで同一機器、同一故障モードによる事故・故障等は発生しておらず、事故・故障等の経験についても適切に反映し再発防止を図っていることを確認した。また、国内外の原子力発電所の事故・故障等の情報を積極的に収集、検討・評価し、反映する仕組みを確立していることを確認した。
      ≪改善の例≫
      • ・ 女川2号機にて発生した事故・故障等の適切な再発防止対策の実施
  3. 最新の技術的知見の反映状況の評価
     女川2号機の営業運転開始以降に得られた軽水炉の安全性に関する技術的知見の反映状況について、安全研究成果、国内外の原子力発電所の運転経験から得られた教訓および技術開発成果の観点から調査し、評価した。

    • (1)安全研究成果
       シビアアクシデントに関する研究に基づく評価を実施し、安全性の一層の向上を目的として、更なるアクシデントマネジメント策を整備する等、安全研究の成果を適切に反映していることを確認した(添付−7)(PDFファイル)
    • (2)国内外の原子力発電所の運転経験から得られた教訓
       予防措置が必要と判断した事故・故障等の教訓について、非常用炉心冷却系統ストレーナの取替工事を実施する等、予防措置を実施し、類似事象の発生防止を図っていることを確認した。
    • (3)技術開発成果
       高燃焼度化した燃料の採用等、技術開発成果を適切に反映していることを確認した。
  4. 確率論的安全評価
     確率論的安全評価手法を用いて「炉心および格納容器の健全性の維持に関する評価」および「安全機能および起因事象の重要度評価」を実施した。

    • (1)炉心および格納容器の健全性の維持に関する評価
       評価の結果、炉心損傷頻度はIAEA(国際原子力機関)が示す目標  (10−4/炉年)を十分に下回り、安全性が十分確保されていることを定量的に確認した。

      プラント運転時 炉心損傷頻度 1.1×10−11(/炉年)
        格納容器破損頻度 8.3×10−12(/炉年)
      プラント停止時 炉心損傷頻度 2.8×10−11(/定期検査)

       また、これまでに整備したアクシデントマネジメント策は有効であり、プラント運転時における炉心損傷頻度および格納容器破損頻度は十分低く、各安全機能の信頼性のより一層の向上につながっていることを確認した。
    • (2)安全機能および起因事象の重要度評価
       現状の十分低い炉心損傷頻度をさらに改善あるいは維持する上で相対的に重要な安全機能および起因事象を評価し、整理した。

 このように、保安活動の継続的な改善を行ってきたものの、原子力品質保証体制総点検により、「トップマネジメントのコミットメントの認識不足」「事故・故障トラブル事象など、事象の重要性に対する危機意識の低下」「調達業務に対する厳格な管理意識の低下」「環境変化に対応するための適切な体制構築と資源投入不足」「慣行優先の業務運営」の組織的要因が明らかになった。
 今後、組織風土上の問題に対する再発防止対策の実行については、社長自らが先頭に立って推進するとともに、そのために必要な人材育成を図るなど、当社QMSの自律的、継続的改善(スパイラルアップ)に向けてリーダーシップを発揮し、社員一丸となって業務品質の向上に取り組んでいく。

以上

添付−1 女川原子力発電所2号機の発電実績(PDFファイル)
添付−2 計画外停止回数(PDFファイル)
添付−3 定期検査期間中の総線量の推移(PDFファイル)
添付−4 放射性気体廃棄物の放出実績(PDFファイル)
添付−5 放射性液体廃棄物の放出実績(PDFファイル)
添付−6 放射性固体廃棄物発生量、保管量の推移(PDFファイル)
添付−7 アクシデントマネジメント策の例(PDFファイル)

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