当社は、東通原子力発電所1号機の原子炉給水流量計の実流量試験において、株式会社東芝(以下、東芝)による試験データの不正な補正が行われていたことに鑑み、その原因究明および再発防止策について検討を行ってまいりましたが、このたび、その内容がまとまったことから、本日、経済産業省原子力安全・保安院に報告いたしました。
当社は、他社の東芝製原子炉給水流量計における不正に鑑み、平成18年2月10日に経済産業省から発出された「原子炉給水流量計及び復水流量計に関する報告徴収について」の指示に基づき、女川原子力発電所1、2号機、東通原子力発電所1号機の東芝製原子炉給水流量計および復水流量計について調査を行いましたが、この調査において、安全上の問題はないものの、東通原子力発電所1号機の原子炉給水流量計実流量試験で試験データの不正な補正が行われていたことが確認されました。
この調査結果につきましては、同4月11日に経済産業省に報告いたしましたが、本報告に対し、同4月20日に経済産業省原子力安全・保安院より、品質保証活動における問題点を踏まえた再発防止策の報告を求める指示文書「原子炉給水流量計に係る不正なデータ補正について」が発出されました。
本指示に基づき、当社は、社長指示の下、同4月21日に、火力原子力本部長を主査、原子力部長を副主査とした再発防止対策検討会を発足させ、原因の究明および再発防止策の検討を行ってまいりました。
今回不正が行われた直接的な原因は、東芝の試験担当者が当該実流量試験データを不正に補正し、東芝が自ら設定した計器精度の範囲内に収まるようにしたというものでありましたが、こうした行為に至った背景を掘り下げて追究したところ、東芝社内において「必要なルールや仕組みが構築されていなかった」「構築されていたルールや仕組みが充分機能していなかった」「業務上必要な認識に欠けていた」といった、品質マネジメントシステムが充分に機能していなかったことが問題点として確認されました。
一方、発注者である当社としての品質保証活動のあり方について検証した結果、東芝の社内調達における品質要求や東芝の社内検査・試験における検査・試験要員の独立性への要求が明確化されていなかった等、当社の製品調達時におけるメーカー等、製品供給者に対する要求事項が明確ではなかった点が問題点として抽出されました。また、当社では東芝原子力事業部や東芝の社外外注先への品質監査は実施していたものの、当該流量計の製作箇所である東芝火力事業部への品質監査を実施していなかった等、供給者に対する品質監査が踏み込んだものとなっていなかった点も問題点として抽出されました。
これらの問題点を踏まえ、当社としては、「調達要求事項の明確化や供給者に対する品質監査の充実」さらには「当社と供給者とのコミュニケーションの充実」といった供給者に対する品質管理上の取組みを充実させていくとともに、今回不正なデータ補正を行った東芝に対しては、品質マネジメントシステムの充実とその適用の徹底を求めていくことを、再発防止策として取りまとめたものです。
再発防止策の概要は別紙のとおりですが、当社としては、今回取りまとめた再発防止策を着実に実施していくことで、今後同様な事象が発生しないよう取り組んでまいります。
以上
(別紙)当社再発防止策の概要