平成17年4月20日
八島会長からの説明事項
私からは,本日の取締役会で内定した役員人事のうち,会長ならびに社長の人事についてご説明申し上げます。
ご案内のとおり,役員人事につきましては,6月下旬に開催予定の第81回定時株主総会において,取締役に選任された上で決定することとなりますが,本日の取締役会で,私から,会長の辞任を願い出て,了解をいただきました。退任後は相談役となり,新しい会長には社長の幕田圭一氏が,そして新しい社長には副社長の高橋宏明氏が,それぞれ就任することを内定いたしました。
新しい社長に内定した,高橋氏は,これまで事務部門の全てを網羅するほどの幅広い業務分野を担当する中で,豊富な経験を積んでこられた方であり,また平成13年に副社長へ就任されてから2期4年間,営業や配電という現場第一線を束ねるお客さま本部長として,幕田社長を補佐するとともに,電力自由化への対応の陣頭指揮をとってこられ,今後の本格的な自由化時代の経営者としては,まさに最適な方であると考えております。
また,幕田社長は,私が会長に就任した平成13年以降の4年間,本格的な自由化に入る前段の,段階的な自由化という未曾有の厳しい過渡期に,よく社内を統率していただきました。
お陰で,私は,経済界の活動に後顧の憂いなく専念することができ,一定の成果をあげることができました。今後,幕田社長には,会長として,さらに大所高所から経営全般に目配りをしていただきたいと思っております。
さて,思い返しますと,平成5年に明間前会長の後を受けて社長に就任い
たしましたが,私の場合は,極めて衝撃的な社長就任でございました。
常務取締役を1年8ヵ月,副社長を4ヵ月,そして心の準備のないままでの社長就任となりました。それから社長として,そして会長として,これまで6期12年にわたり当社の経営にあたってまいりました。
この間,多くの方々からご支援とご協力を賜り,何とかここまで来ることができました。ここに,改めて心から感謝申し上げる次第でございます。
今年は,私にとって,昭和30年の入社から数えてちょうど50年という区切りの年にあたります。半世紀の長きにわたり東北電力とともに歩むことができました。
特に,入社早々,私の三代前の社長で,当時の私の上司であった若林氏から「君は若いのだから,これからの技術である原子力をやりなさい」との指示を受けたことが,その後の私を決定付けたと言っても過言ではありません。
以来,日本の原子力の黎明期から長く原子力の仕事に携わることとなりました。特に,女川原子力発電所については,当初より携わり,地元女川,牡鹿の皆さまより心からのご支援をいただき,最終号機である3号機の完成まで見届けることができました。また,東通原子力発電所についても,1号機は,在任中に最初から最後まで見届けることができました。原子力に携わる者として,このような幸せはありません。まさに,男冥利に尽きるとはこのことだと感じております。
この半世紀の間,色々なことがありましたが,本当に良き先輩,仲間,後輩に恵まれ,本当に悔いのない,十分満足のいく仕事を,東北電力という素晴らしい風土の中でさせていただいたことは,私にとって大きな喜びです。
奇しくも,今年,当社は,本格的な競争時代のスタート地点に立ちますが,今後は,幕田会長,高橋社長の新体制の下で,必ずや,新たな素晴らしい発展を遂げてくれるものと期待しているところです。
皆さまには,これまで大変お世話になりました。改めて心から厚く御礼を申し上げますとともに,新しい経営体制に対しましても,これまでと同様にご支援,ご叱正を賜れば幸いです。是非,お願い申し上げます。
私からは,以上です。
幕田社長からの説明事項
それでは続きまして,私から,本日の取締役会で決定した2つの案件,すなわち「経営機構改革の実施」についてと,今ほど会長からご説明申し上げました会長・社長人事以外の「役員人事」について,それぞれご説明申し上げます。
まず,はじめに,「経営機構改革の実施」についてですが,1月のこの場でも申し上げましたとおり,本格的な競争がスタートする中にあって,当社が,持続的に企業価値を高めていくためには,これまで以上に,経営がリーダーシップを発揮し,透明性を確保しつつ機動的な業務運営を行っていくことが重要です。このため,取締役会の改革と執行役員制の導入を柱とする経営機構改革を,6月下旬に開催予定の定時株主総会を経て実施することといたしました。
具体的には,資料のとおりですが,取締役会の改革につきましては,取締役の数を,現行の21名から15名へとスリム化するとともに,代表取締役を,これまでの「常務以上」から「副社長以上」とすることといたしました。
なお,定款に定める取締役数は,現行の「25名以内」から「18名以内」に変更することといたしました。
一方,執行役員制の導入については,今回,新たに,全社方針に基づき一定の範囲内で個別業務の執行を担ってもらう「執行役員」を設けることといたしました。
こうした改革の実施により,これまで以上に,取締役会の監督機能を強化するとともに,意思決定や個別業務執行の迅速化,責任の明確化をはかることで,電気事業における本部制を核とした機能別事業運営を推進していきたいと考えております。
なお,同様の観点から,関係会社にも,経営機構の改革についての検討をお願いしているところであり,これにより,企業グループとして経営の透明性・迅速性を高め,グループ経営をより機動的かつ効果的に進めることができると考えております。
引き続き,役員人事についてご説明申し上げます。
ご案内のとおり,我が国の電気事業は,段階的な自由化の拡大などにより,いわば変化が常態化している状況にありますが,今年は,広域的な競争を促す新たな制度がスタートするなど,かつてない大きな転換点を迎えています。
今回の役員人事においては,このような厳しい経営環境を踏まえ,絶えざる変革と創造により,新たな発展の道筋を切り拓くことのできる人物を役員候補者といたしました。その若さと斬新な発想力,確固たる信念と行動力に大いに期待しているところです。
また,今回,退任される方々には,企業グループとしての価値向上のため,グループ企業の経営革新とさらなる発展にその手腕を発揮してもらうべく,それぞれ要職についていただくことといたしました。
役員人事の詳細は,資料のとおりですが,2ページ目の冒頭に記載のとおり,副社長については,現常務取締役の斎藤恒夫氏,仁志武雄氏,大山正征氏,齋藤茂雄氏の4名の方々にお願いすることといたしました。
以下,新任退任の取締役ならびに監査役の方々については,後ほど資料をご覧いただきたいと思います。
それでは,最後に一言ご挨拶を申し上げます。
思い起こせばちょうど4年前,このような席で挨拶をさせていただいたことを,今でもはっきり覚えております。当時の八島社長から,社長へ指名したいとのお話をいただき,大変驚くとともにその重責に文字通り身震いする思いだったことを覚えております。
以来,皆さま方から多大なご支援,ご協力を賜り,微力ながらもここまで務めることができました。これも偏に,お支えいただいた皆さま方の御蔭と,改めて,心より感謝申し上げる次第です。
振り返りますと,私は,電力の部分自由化がスタートした翌年に社長に就任したわけでございますが,就任以来,自由化への対応という最大の経営課題に,常に真正面から向き合ってきたと思います。価格競争力の強化に向けたコストダウンの推進や最適な設備の形成はもとより,2度にわたる電気料金の引下げ,さらには収益拡大に向けた営業体制の強化などにより,ようやく,本格的な競争に耐え得る基盤ができつつあると思っております。
このように自由化への対応に向き合う一方で,常々私が考えていたことは,東北という地域のことであり,そこに住まい,経済活動を行われているお客さまのことでございました。それは,東北という地域との関わり,東北地域のお客さまとの関係こそが,当社の企業価値の源泉であり,当社の存在意義に他ならない,との思いによるものです。
今後は,このことを十分に踏まえながら,一層厳しさを増す経営環境を乗り切るために,当社の進むべき方向を見定め,その実現に向けて,役員,社員が一体となった取り組みをさらに強めていかなければならないと考えております。
高橋氏は,今後の競争環境への対応という観点から見て,安心して経営を任せられる方であり,経験,人格,識見ともに申し分ない人物です。
今後は,新たな経営機構の下,新しく選任される役員とともに,先輩の知恵を受け継ぎつつ,経営環境の変化を先取りした舵取りがなされるものと確信しております。
皆さまには,引き続きご支援,ご叱正をお願い申し上げます。
本日,私からは以上です。
高橋副社長からの説明事項
私から,一言ご挨拶申し上げます。
このたび,幕田社長の後継として推薦をいただきました。大変な重責で,何とか頑張って職責を全うしなければと思った次第でございます。
当社を取り巻く経営環境については,先ほど会長,社長からお話いただきました。電力市場の自由化拡大への対応をはじめ当社が直面している課題は重く,また複雑に絡み合ったものとなっております。このように時代変化が加速している昨今では,経営として,ますます迅速かつ柔軟な対応が求められると考えております。
一方で,電気事業は,地域の皆さまからの信頼なくしては成り立たず,競争の時代であればなおのこと,地域の皆さまとの信頼関係が重要になると考えております。
当社はこれまで,「東北地域の繁栄なくして当社の発展はない」という基本的な考えのもと,事業運営にあたってまいりました。そうした中で,事業基盤である東北に対しては,格別の思いを持ち続けてきました。
現今の厳しい競争社会においては,従来の発想を超えた対応が必要な局面もあると思いますが,この,諸先輩から脈々と受け継いできた「東北へのこだわり」という姿勢は,貫いて参りたいと考えております。それが,ひいては当社の競争力あるいは企業価値の向上に繋がるものと信じております。
具体的な経営展開などについては,今後,じっくりと考え,正式に就任した後にお話させていただきますが,八島会長,幕田社長には,引き続き様々な場面で大所高所よりご指導をいただきながら,新たな経営層と社員が一丸となって,当社の総合力を発揮してまいりたいと考えております。皆さまにもご指導,ご鞭撻をお願い申し上げます。
以上 |