平成17年4月11日
女川原子力発電所1号機(沸騰水型、定格電気出力52万4千kW)は点検停止中のところ、3月30日16時10分頃、原子炉建屋地下2階 残留熱除去系ポンプ(B・D)室の床に水漏れを確認いたしました。
水漏れは、残留熱除去系の弁を閉めたことにより停止しました。
漏れた水の量は約2.5m3、放射能量は約2.2×108Bq(ベクレル)と推定しておりますが、漏えいした水は液体廃棄物処理系で処理されております。
この事象による外部への放射性物質の放出はなく、環境への影響はありません。
なお、本事象は、法律に基づく報告事象ではありません。
本事象は、窒素漏えい箇所補修後の格納容器全体漏えい率試験終了後の復旧作業時に発生したものですが、この度、原因ならびに再発防止対策がまとまりましたのでお知らせいたします。
1.漏えい原因 |
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(1) |
運転員が弁番号と作業札を十分確認しなかったことから、操作すべき弁(V-21B)の付近にある別の弁(V-53B)を誤って開操作した。 |
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(2) |
本来、V-53Bの下流側の弁(V-513)は閉じられており、V-53Bが開いても原子炉建屋の排水槽には水が流入しないはずであったが、第16回定期検査時の系統確認作業の際に十分な確認が行われずV-513が開いたままの状態であったため、水漏れが発生した。 |
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(図−2、図−3参照) |
2.他の弁の調査状況 |
本来閉運用であるはずのV−513が開状態となっていたことに鑑み、全ての系統について弁開閉状態の確認を行いました。その結果、残留熱除去系の小口径配管において、本来開いているべき2つの弁が、誤って閉じた状態となっていたため、正常な状態に戻しました。
なお、他の弁については全て正常な状態であることを確認しました。 |
3.再発防止対策 |
| (1) | 弁の開閉を行う際は、操作する弁番号と作業札との照合を確実に実施することを再度周知・徹底する。 |
| (2) | 定期検査など原子炉停止中に運転する原子炉系の機器の水抜き弁などについては、点検終了後、弁を閉操作する際に、通常の作業札とは別の札を取り付け、誤操作防止および操作忘れ防止の注意喚起を図る。 |
| (3) | 複数の系注で共用されている弁については、開閉状態の確認洩れが生じないよう、系ごとにチェック欄を設けるなど、チェックシート様式を見直すとともに、開閉状態の確認を確実に行うよう再度周知・徹底する。 |
| (4) | 一次冷却水の漏えいに至るような弁及び非常用炉心冷却系等の弁については、従来から行っている弁状態の確認に加え、更に、原子炉起動前にも弁の開閉状態について確認を行う。 |
| (5) | 今回の事例について検討会を行うとともに、上記の対策が確実に実施されるよう運転員の教育に反映する。 |
以上
(注)残留熱除去系などの系統については、A系、B系といった複数の系を設け、系統の信頼性を確保しています。
図−1 女川原子力発電所第1号機 原子炉建屋地下2階 平面図(PDFファイル)
図−2 弁操作状況図(PDFファイル)
図−3 RHRポンプ(B・D)室(地下中2階)弁配置(PDFファイル)
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