3月定例社長記者会見概要

平成17年3月31日

 本日,私からは,「平成17年度の供給計画」の概要について,ご説明申し上げますが,その前に女川1号の手動停止について触れさせていただきます。
 現在,窒素漏洩の原因については,徹底した調査を進めているところですが,こうした調査を進める中,昨日,バルブの操作ミスによる水漏れの事象が発生し,地域の皆さまをはじめ,国や自治体等の皆さまに大変ご心配をおかけしました。お詫び申し上げます。
 窒素漏洩および昨日の水漏れの原因については,それぞれ結果がまとまり次第,再発防止策も含め,皆さまに早急にお知らせしたいと考えております。
 今後は,これらの事象を踏まえ,安全管理をさらに徹底し,地域の皆さまにご安心いただけるよう安全対策に向け,更なる努力を重ねてまいりたいと考えております。

 それでは,「平成17年度の供給計画」の概要についてご説明申し上げます。
 資料の「経営計画」では,前段に,「中期経営方針の概要」を記載していますが,これは先月のこの場で説明したものに「経営効率化への取り組み」を織り込み,より詳しく記述したものであることから後ほどご覧いただくこととし,本日,私からは,この「経営計画」の後段にある「供給計画の概要」についてご説明申し上げます。

 ご案内のとおり,「供給計画」は,向こう10カ年の電力需要の想定と,それに基づく設備形成に関する計画をとりまとめたものであり,「平成17年度の供給計画」については,本日午前中に経済産業省に届出しております。

 初めに,平成17年度供給計画の基本的な考え方について申し上げます。
 ご案内のとおり,明日4月1日より,高圧需要分野の全面自由化や卸電力取引市場における取引が開始されるなど,広域的な競争を促す新たな制度がスタートいたします。
 こうした一段と厳しくなる経営環境を踏まえ,当社では,中期経営方針のもと,コストダウンによる価格競争力の強化や,多様なお客さまニーズに対応するための全社マーケティング活動の実践により,収益拡大に取組んでいるところであります。
 このような中,今回の需要想定では,中長期的な経済情勢や省エネルギーの進展などを考慮し,前回計画とほぼ同様の低位な伸びになるものと想定いたしました。
 このため,今後の設備計画にあたっては,安定供給と供給信頼度の確保を前提に,競争の激化に伴う需要変動あるいは環境規制の強化など,事業環境の変化に対する柔軟性の確保を基本としながら,スリムでしかも効率的な設備形成を目指した計画としています。

 具体的に申し上げますと,まず,向こう10カ年の想定需要については,平成15年度から平成26年度までの販売電力量の年平均の伸び率は,前回計画と同様に1.0%と見込んでいます。同じく1年で最も需要が高くなる8月最大電力は,前回計画から0.8ポイント増の1.7%と見込んでいます。これを気温,あるいはうるう年に伴う影響を補正した伸び率で比較しますと,販売電力量は前回計画から0.1ポイント減の1.0%,8月の最大電力では前回計画から同じく0.1ポイント減の1.1%となり,どちらも前回計画とほぼ同様の水準となっています。

 次に,設備計画についてご説明申し上げます。
 電源開発計画について,水力について新規に森吉地点(北秋田市)を計上するとともに,火力および原子力については一部電源の着工ならびに運転開始時期の繰り延べなどを行っています。
 このうち,火力設備につきましては,競争力強化やCO排出削減の観点から計画している仙台火力のリプレース機について,前回計画では名称を「仙台1号」としていましたが,今回計画では「仙台4号」と改め,計上しています。
 また,能代3号につきましては,長期的な需要動向やCO排出削減に係る規制措置の動向が不透明であり,依然として開発時期を明確にできない状況にあることから,着工ならびに運転開始の時期をそれぞれ1年繰り延べる計画としています。
 なお,既にお知らせのとおり,当社では,設備のスリム化を図り価格競争力を強化する観点から,経年化が進む火力について,需要動向を踏まえながら廃止あるいは長期計画停止という措置を講ずることとしています。
 具体的に申し上げますと,平成17年度には,八戸4号機を廃止するとともに,新潟3号機および東新潟港2号機については長期計画停止とする計画としています。さらに,仙台火力のリプレースに向け,今回,2号機については本日から長期計画停止とするとともに,平成19年度には1号機とともに廃止することにしています。

 一方,原子力設備につきましては,東通1号機が,今年10月の営業運転開始に向け試運転中となっておりますが,東通2号機は,長期的な需要動向が不透明な状況等も踏まえ,着工ならびに運転開始の時期をそれぞれ1年繰り延べる計画としました。また,浪江・小高地点についても,立地地点の状況を踏まえ同様に1年繰り延べる計画としています。

 次に,送電・変電計画についてですが,青森県の下北地区において建設が予定されている原子力発電所からの電力輸送,ならびに当社管内における電力供給の安定性向上を目的に,今回新たに,青森県から宮城県まで50万ボルトの送変電設備を建設することとしました。
 このうち,送電設備については,平成22年度の使用開始に向け,新たに十和田幹線ならびに北上幹線の新設工事を計上しています。

 以上,申し上げた想定需要と電源開発計画に基づく,8月の最大電力発生時の需給バランスについてですが,向こう10カ年の需給バランスは,総じて適正なレベルの供給予備力を確保しており,中長期的に安定した供給を確保できる見通しであります。

 最後に,設備工事費についてご説明申し上げます。
 今回の供給計画を踏まえた平成17年度の設備工事費につきましては,1,899億円と見込んでいます。
 なお,これを平成16年度の推定実績である2,345億円と比べると,446億円程度下回る計画となっていますが,これは,東通1号機の建設工事が一段落することに加え,現有設備の効率運用や設計・工法の合理化,さらには新技術の採用など,工事全般にわたり徹底した効率化を織り込んだことによるものであります。

 以上が平成17年度の供給計画の概要ですが,当社といたしましては,競争の激化や環境規制の強化,ならびに需要変動といった今後の事業環境の変化を見極めながら,市場競争力の確保と公益的課題への対応という2つの課題を両立させる最適な電源設備形成に努めてまいりたいと考えております。

 本日、私からは以上です。