女川原子力発電所2・3号炉に関する 『アクシデントマネジメント整備後確率論的安全評価報告書』の提出について

平成16年3月26日

 当社は、本日、女川原子力発電所2号炉および3号炉に関する『アクシデントマネジメント整備後確率論的安全評価報告書』(以下『報告書』)をとりまとめ、経済産業省へ提出しました。

 わが国の原子力発電所の安全性は、現状の安全規制により十分確保されているため、シビアアクシデント(注1)発生の可能性は工学的には考えられない程度に小さくなっております。アクシデントマネジメントは、シビアアクシデントの発生防止、あるいはその影響を緩和するための運用・設備両面の対応策であり、従来の対策によって既に十分低くなっているリスクを、念には念を入れてさらに低減するために、事業者が保有する技術的知見に基づき実施する措置であり、電気事業者が自主保安として整備するものです。

 当社は、国からの自主的なアクシデントマネジメント整備の要請を受け(平成4年7月)、必要な方策を講じてまいりました。本日提出した『報告書』は、当社が女川原子力発電所2号炉および3号炉において整備したアクシデントマネジメント策(別紙)について、その有効性を定量的に確認するために実施した確率論的安全評価(注2)をとりまとめたものです。

 今回の評価により、両プラントの炉心損傷・格納容器破損の頻度がアクシデントマネジメント策の整備により大幅に低減され(注3)、当該アクシデントマネジメント策が、原子炉等の安全性向上に対して有効であることを確認いたしました。

 当社は、今後もこのような活動を通して、原子力発電所の安全性に対する社会の理解と信頼をより一層得られるよう、継続して努力していきたいと考えております。

 なお、女川原子力発電所1号炉については平成14年5月に、東通原子力発電所1号炉については平成15年7月に、それぞれ、評価内容を国に対して報告いたしております。
 また、『報告書』については、当社の原子力情報コーナー(本店および女川原子力発電所女川事務所、女川原子力PRセンター)において公開しております。

以 上


(注1)シビアアクシデント
      設計上考慮すべき事象を大幅に超える事象であって、安全設計の評価上想定された手段では適切な炉心の冷却または反応度の制御ができない状態であり、炉心の重大な損傷に至る事象です。
 シビアアクシデントは、原子力発電所に異常事態が発生し、さらに多重に設けられている安全設備が次々と故障しなければ発生しないものであり、その発生の可能性は、工学的には現実に起こるとは考えられないほど小さいものです。

(注2)確率論的安全評価
      確率論的安全評価は、発生確率が極めて小さく、事象の進展が多岐にわたる事象を検討する上で有効な方法です。原子力発電所で発生する可能性のある異常事象を想定し、事象がどのように進展していくかを安全装置の故障確率などから計算することで、炉心や放射性物質を閉じ込める原子炉格納容器の損傷頻度等を評価するものです。


(注3)女川原子力発電所2号炉および3号炉の確率論的安全評価の概要
号炉 項目 アクシデントマネジメント
整備前(回/炉・年)
アクシデントマネジメント
整備後(回/炉・年)
女川2号炉 炉心損傷頻度 1.2×10-7 2.8×10-9
格納容器破損頻度 3.5×10-8   3.2×10-10
女川3号炉 炉心損傷頻度 1.4×10-7 8.7×10-9
格納容器破損頻度 4.1×10-8   4.5×10-10

 (回/炉・年)とは、1年あたりに、炉心または格納容器が損傷・破損するような状態に至る頻度のことです。例えば、1.0×10-9(回/炉・年)とは、ひとつの原子炉を109(10億)年運転した場合に、1回程度発生する可能性があるということです。