2月定例社長記者会見概要

平成16年2月26日

 本日、私からは、平成16年度中期経営方針の概要について、ご説明いたします。

 また、地域経済活性化を目的に設立が予定されている「東北インキュベーションファンド」への出資についても、お話しさせていただきます。

○平成16年度中期経営方針について

 まず初めに、平成16年度から18年度までの3ヵ年を対象期間とする第3期中期計画の初年度として、平成16年度中期経営方針を策定し、本日、全社員に通知しましたので、その概要についてご説明させていただきます。

 当社では、経営環境の激しい変化に柔軟かつ機敏に対応していくため、平成10年度以降、3ヵ年を対象期間とするローリングプランとして、毎年、中期経営方針を策定しております。

 この中で、主要な目標については、定量化して設定するとともに、経営環境の変化や目標の達成状況を踏まえ、適宜、目標を深掘りするなどの見直しを行いながら、目標を確実に達成するよう取り組んできております。

 平成13年度から15年度を対象とする第2期については、今年度で終了しますが、この3年間においては、電力小売市場の部分自由化などの経営環境変化に対応するため、「価格競争力の強化と企業信頼度の向上」を基本目標に掲げ、コストダウンを中心とした経営効率化の推進に全社一丸となって取り組んでまいりました。

 この結果、平成14年7月には7.10%の電気料金の引下げを実施するなど、いろいろな面で着実に成果を上げております。

 また、このように電気料金の引下げを実施してなお、経営指標の1つとなっている総資産営業利益率は目標の4%を達成できる見通しであり、昨年の方針で深掘りした有利子負債残高や設備工事費などの主要定量目標についても、それぞれ、目標を達成できる見通しにあります。

 こうした取り組みの成果を踏まえ今回策定した、第3期の初年度にあたる「平成16年度中期経営方針」は節目の大事な計画になる訳ですが、これまで推進してきたコストダウン、経営効率化による価格競争力の強化に加え、全社マーケティング活動の実践により収益の拡大をはかっていくことに力点を置いております。

 こうしたことから、今回は、基本目標としては「お客さまに喜ばれるエネルギーサービスを提供します」とし、「収益拡大への取り組み」、「企業信頼度向上への取り組み」、「企業グループ大の事業推進体制強化」の3項目を基本目標達成に向けた主要施策と位置付けました。

 これらの主要施策の概要は、別添資料のとおりですが、本日は、定量目標を中心に説明する中で、今回の中期経営方針の特徴点についても触れされていただきます。

 今回の定量目標では、当社単独の目標に加えて「企業グループ全体の連結財務目標」を会計制度の変更にあわせて設定したこと、また、需要の創出に係る具体的な定量目標として、新たに「販売拡大目標」を設定したことに大きな特徴があります。

 この内、「企業グループ全体の連結財務目標」については、企業グループの価値向上への取り組みを更に推進していく観点から設定したものであり、グループ各社においては、今後、これらを念頭におきながら事業運営を進めることとなります。

 なお、当社単独の財務目標については、これまでの目標レベルから、さらにもう一段上の目標を設定することで、財務体質の更なる改善に努めることとしております。

 財務目標の目標年度は、平成20年度までとしており、当社単独について申しあげますと、有利子負債残高は、「平成17年度末までに2兆1,000億円以下」という現在の目標が達成できる見通しにあることから、さらに「平成20年度末までに1兆8,000億円以下」に深掘りしました。

 また、株主資本比率は、既に平成14年度末までに20%を達成していることを踏まえ、今回はさらなる財務体質の強化のため、「平成20年度末までに25%以上」とする目標を新たに設定しております。

 効率化目標についても、設備工事費は3ヵ年平均で2,000億円以下、従業員数は平成18年度末までに約12,000名程度に抑制と、これまでの目標からもう一段上の目標を設定しております。

 当社としては、以上のような目標達成に取り組むことで今後の価格競争力の強化を図っていきたいと考えております。

 一方、販売拡大目標については、家庭用需要を中心とした新たな需要創出に向けて、販売電力量を「平成20年度までに10億kWh程度創出」するという目標を掲げました。

 家庭用需要については、当社管内のオール電化住宅が昨年8月末実績で7万戸を突破するなど、これまで着実に成果が上がってきているとの実感がありますが、それを踏まえ、今後も、いろいろな面からシステム提案や集合住宅への導入提案などに努めることで、お客さま満足の獲得と収益の拡大とを併せ達成してまいりたいと考えております。

 また、自由化分野においては、今年4月に500kW以上、来年4月に50kW以上に自由化範囲が拡大されることを踏まえて、昨年8月には自由化対象のお客さまに個別に提案活動を行う販売専任スタッフを各支店に100名程度配置するなどして、お客さまとの関係強化に努めてきております。

 今後は、こうした対策をさらに進め、お客さまニーズに対応した商品開発や高い付加価値をもったサービスの開発や、エネルギーソリューションを積極的に進めることで、販売専任スタッフのエネルギーサービスに係る提案力を強化してまいります。

 そのため、企業グループ各社が保有する経営資源、知見、ノウハウを最大限活用し、企業グループ一体となった販売体制も整備することといたします。

 具体的には、当社の販売専任スタッフをお客さまの窓口として一本化したいと考えております。

 これによりお客さまのさまざまなニーズや要望に販売専任スタッフが全て対応するとともに、ESCO事業などで培ってきたエネルギーコンサルティングのノウハウや、発電設備・電力流通設備の建設・メンテナンスで培ってきた技術力などを有するグループ企業各社と連携し、お客さまニーズに沿った形でワンストップサービスができるような体制を構築してまいりたいと考えております。

 以上、平成16年度中期経営方針について、定量目標を中心に説明してまいりましたが、当社としては、自由化範囲の拡大やそれに伴う競争の進展等により競争の激化が予想されることから、定量目標は厳しく設定しておりますが、着実に達成していくことが不可欠と認識しております。

 今後も、東北の地にあって、最も身近で不可欠の消費財である電気を、質・量ともに安定的にお届けすることはもちろんのこと、電気事業におけるメインプレーヤーとしての責務、使命感を持ちながら、基本目標の達成に邁進したいと考えております。

○東北インキュベーションファンドへの出資について

 それでは、次に、産学官連携による地域経済活性化を目的として、来月中の設立が予定されている「東北インキュベーションファンド」への出資についてご説明させていただきます。

 当社は、本日の取締役会において、東北経済連合会等が支援する「東北インキュベーションファンド」に対し、5億円を出資することを決定しました。

 当社は、これまで、「地域社会との共栄」を経営理念として、豊富で低廉な電力を安定して供給するという電気事業そのものの遂行をとおして地域の発展に貢献しております。

 さらには、地域協調の考えに基づく様々な地域活動や東北経済連合会と連携した地域経済活性化への支援活動の展開等により、東北地域の発展に貢献すべく取り組んでまいりました。

 この「地域社会との共栄」という経営理念は、昭和11年に設立された東北興業株式会社と東北振興電力株式会社という2つの会社が、それぞれ有していた「東北の振興への貢献」という使命を、東北配電株式会社が引継ぎ、さらにそれを当社が今に承継していることによるものであります。

 これまで、東北地域の中小・ベンチャー企業の育成については、「東北インテリジェントコスモス構想」が、昭和60年代から独創的な地域振興を進めてきており、最近はインキュベーションを中心とした新産業の創出・育成にも積極的に取り組んでおります。

 また、平成7年からは、ベンチャー企業への販路開拓や特許取得のノウハウなどソフト面からの支援を行う「東北ベンチャーランド運動」が東北経済連合会を中心に展開されてきており、こうした産学官一体となった取り組みに対し、当社としても、当初から精力的に支援を行ってきたところです。

 このたび設立予定の「東北インキュベーションファンド」は、東北経済界が一体となって支えようとしているインキュベーションファンドであります。

 このファンドは、大学との共同研究や技術指導などを通して得た、高い技術と製品を持つ東北の中小企業・ベンチャー企業に積極的に出資・支援を行うもので、資金の提供だけでなく、企業立ち上げの早い時期から、事業計画の策定、資本政策等に対する助言も行うなど、徹底した経営支援を行うことが大きな特徴となっております。

 これまでのファンドは、投資をしても必ずしも回収が期待できない面もありましたが、「東北インキュベーションファンド」は、支援した企業が成功し、商品が売れるところまで到達する社を何社か育成したいというもので、これまでのファンドとは意気込みと力の入れ方が違うと考えております。

 また、ファンド総額は約30億円を目標としており、こうした地域を限定したファンドとしては、国内最大規模となると聞いております。

 当社としては、今般設立されるファンドが、こうした企業の育成を通じて、東北に新たな需要と雇用を生み出すことで、東北全体の経済活性化に大きく寄与していくことを期待しているところです。

 当ファンドへの出資を通じ、東北地域の持続的な発展に少しでも貢献できればと考えております。

 本日、私からは以上です。