平成14年5月27日
5月27日、当社は、オーストラリアの石炭供給会社「センテニアルコール社」との間で、温室効果ガス排出削減クレジット(以下、「排出削減クレジット」)の取引を含めた石炭売買契約に関する基本協定書の調印を行いました。
調印式はオーストラリアのシドニーにおいて執り行われ、当社からは青木康芳常務取締役が、センテニアルコール社からはボブ・キャメロン社長が出席しました。
本取引は、センテニアルコール社と石炭の売買契約を締結することで、「CO2吸収・固定化プログラム」を通じて得られる排出削減クレジットについて、将来の排出量取引など京都メカニズムの国際的運用ルールが確立されることを前提に、当社が購入できる権利を得るものです。
「CO2吸収・固定化プログラム」とは、ニューサウスウエールズ州営企業が実施するプロジェクトで、1,000haの土地に乾燥等に強く成長の早いソルトブッシュというオーストラリア原産の潅木を栽培し、CO2を吸収します。同プロジェクトによる温室効果ガス削減量は年間約2万5千トン(CO2換算)と見込まれています。
当社は、センテニアルコール社が同プロジェクトから獲得する排出削減クレジットを購入します。
基本協定書では、平成14年度から複数年にわたる石炭売買契約を締結することとしております。また、排出削減クレジットの価格等については、今後の国際動向やわが国の制度構築の進展状況を見極めながら交渉を進めていくこととしており、石炭売買契約とは別途契約を締結することとしています。
当社ではこれまで、地球温暖化の防止に向け、電気の安定供給と経済性を考慮しながら、原子力発電やLNG火力を中心とした電源開発をはじめ、火力発電所の熱効率の向上、さらには新エネルギーの普及拡大など、温室効果ガスの排出抑制に積極的に取り組んでいます。
一方、平成9年のCOP3(気候変動枠組条約第3回締約国会議)において採択された「京都議定書」では、先進国の温室効果ガス排出削減のための措置として,「排出量取引」、「共同実施(JI)」、「クリーン開発メカニズム(CDM)」などの京都メカニズムが盛り込まれました。
京都メカニズムについては、温室効果ガス排出削減対策としてコスト効果が高く、国内の排出削減対策の補完的な措置として有効であると期待されています。当社としてもこれまで、オーストラリアでの植林事業や世界銀行炭素基金への参加など、グローバルな観点から地球環境保全に向けた先行的な取り組みを進めてきており、今回、基本協定書に調印した海外炭取引は、将来の京都メカニズムの活用に向けた検討における一つの選択肢として試行的に実施するものです。
なお、「排出削減クレジット」の取引を含めた石炭売買契約については、このほかにも、、オーストラリアのパワーコール社との間で、4月9日に基本協定書の調印を行っております。
以 上
(別紙)
センテニアルコール社との温室効果ガス排出削減クレジットに係わる
海外炭購入契約に関する基本協定書の概要
(1) |
相手先: |
センテニアルコール社(本社:豪州ニューサウスウエールズ州) |
(2) |
内 容: |
石炭売買契約および排出削減クレジット売買契約に関する事項 |
(3) |
契約期間: |
上記(2)のそれぞれの契約毎に設定
・ |
石炭売買契約については平成14年度から複数年を予定 |
・ |
排出削減クレジットについては今後、国際的な動向を見ながら検討 |
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(4) |
石炭銘柄: |
シャーボン炭 |
(5) |
取扱商社: |
株式会社ジャパンエナジー |
(6) |
温室効果ガス排出削減プロジェクトの概要: |
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●CO2吸収・固定化プログラム
: |
大気中のCO2の吸収・固定化と牧畜業のための経済的で持続可能な土地管理システム構築への貢献を目的としており、1,000haの土地に乾燥等に強く成長の早い潅木(ソルトブッシュ)を栽培し、CO2を吸収する |
: |
同プロジェクトによる温室効果ガス排出削減量(見込み)は年間約2万5千トン(CO2換算) |
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【参考】 |
パワーコール社との温室効果ガス排出削減クレジットに係わる海外炭購入契約に関する基本協定書の概要
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(1) |
相手先: |
パワーコール社(本社:豪州ニューサウスウエールズ州) |
(2) |
内 容: |
石炭売買契約および排出削減クレジット売買契約に関する基本合意事項 |
(3) |
契約期間: |
上記(2)のそれぞれの契約毎に設定
・ |
石炭売買契約については平成14年度から複数年を予定 |
・ |
排出削減クレジットについては今後、国際的な動向を見ながら検討 |
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(4) |
石炭銘柄: |
パワーコール炭 |
(5) |
取扱商社: |
住友商事株式会社 |
(6) |
温室効果ガス排出削減プロジェクトの概要: |
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●メタンガス回収利用プロジェクト
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石炭採掘時および採掘後に炭坑から発生するメタンガス(温室効果はCO2の21倍に相当)を回収するとともに、そのメタンガスを空気で希釈して火力発電のボイラーに吹き込み、石炭投入量を削減することにより温室効果ガスの排出量を抑える。 |
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同プロジェクトによる温室効果ガス排出削減量(見込み)は最大で年間約160万トン(CO2換算) |
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