ベトナム電力公社との共同研究の実施について
〜太陽光・風力発電のハイブリッドシステムによる地方電化モデル試験を実施〜

平成12年1月27日

 当社はこのたび、ベトナム電力公社(EVN:Electricity of Vietnam,ホァン チュン ハイ総裁,本社;ハノイ市)と共同で、ベトナムにおける地方電化の促進などを目的として、太陽光と風力発電のハイブリッドシステムの実証試験を実施することといたしましたのでお知らせいたします。

 当社は、平成9年10月に、当社企業グループの株式会社ユアテック、東北発電工業株式会社とともに、ベトナム電力公社との間で「相互交流のための覚書」を締結、以降、研修生の受け入れなどの交流事業を展開してきております。このたびの共同研究につきましても、これら覚書に基づく交流事業の一環として実施することとしたものであります。

 ベトナム国内におきましては、現時点において、都市部での電化はほぼ終わっているものの、少数民族などが居住する農村部、山間部などでは、電化の進んでいない地区がほとんどであり、これら未電化地区への対応が重要な課題のひとつとなっております。

 こうした状況を踏まえ、当社では、ベトナムの未電化地域の村落に、太陽光発電と風力発電などを組み合わせた実験システムを1基設置し、当社およびベトナム電力公社がこれを共同で運営し同地区に電力の供給を行なう一方、実験システムの運用データなどを収集するというものであります。

 このたびの共同研究は、地方電化の課題を抱えるベトナム電力公社側のニーズに応えるばかりではなく、当社としても発展途上国における再生可能エネルギー導入に関する技術的基礎データが得られるなど、メリットがあるものと認識しております。

 当社といたしましては、今後とも、こうした交流事業を通じて、今後の海外事業展開の礎を築くとともに、当社の持つ技術力や経営資源の活用により、ベトナムにおける電力の安定供給や技術水準の向上などに協力してまいりたいと考えております。

 なお、このたび共同研究の詳細につきましては別紙のとおりです。

以 上




別紙1

ベトナム電力公社(EVN)との共同研究について

1.研究の内容
 

 ベトナムにおける地方電化の促進などを目的として、太陽光と風力発電および蓄電池を組み合わせた分散型電源による電力供給方式についての実証試験

 

2.実験場所
 

 コントゥム省コントゥム市コング村(コング村の世帯数は36戸)

 

3.実験システムの概要

 

 

 風車および太陽光パネル、蓄電池を組み合わせたハイブリッドシステム。システム構成は別紙2のとおり

 

4.研究期間   2年程度

 

5.役割分担
 
実験システムの設計および現地設置 当社
配電線・引込線などの供給設備工事屋内配線工事 ベトナム電力公社
実験システムの運用、データ収集 当社およびベトナム電力公社傘下のエネルギー研究所(IE)

 

6.観測・測定項目
 
・ 気象観測項目 (風向・風速、日射量、外気温度)
・ 電力測定項目 (風力発電量、太陽光発電量、負荷量、充放電電流計測)

 

 

7.スケジュール
  平成12年3月頃  ベトナム電力公社と共同研究に関するMOU(覚書)の締結
  平成12年9月頃  共同研究開始

以 上




別紙2

<システムの構成>

○システムイメージ


○主な仕様

  主な仕様概要
風力発電機 定格出力:1.8kW
羽 根:3枚羽根(羽根直径:3.6m)
太陽光発電 最大出力:6.72kW
種 類:多結晶シリコン
蓄電池 種 類:鉛蓄電池
容 量:1,200Ah
計測装置
気象観測: 風向・風速、日射量、外気温度
電力計測: 風力発電出力、太陽光発電出力、
負荷出力、充放電電流計測




【参考】

ベトナムの電力事情

1.主要指標
 
  ベトナム
(98年度)
日本
(98年度)
当社管内
(98年度)
発電設備容量(万kW) 498 25,029 1,441
発電電力量(億kWh) 216 10,462 765
販売電力量(億kWh) 177 9,346 690
一人あたり年間電力消費量(kwh/人・年間) 231 6,317 5,603

注1)小数点以下四捨五入
注2)日本データには自家発含む

 

2.主な特徴

ドイモイ政策による経済成長により電力需要は逼迫。EVNエネルギー研究所がベトナム政府に提出した「長期電源開発計画案(2000年〜2020年)」では、最大電力は2000年の約500万kWから、2020年には最大で2,500万kWに達すると想定している。

都市部では、ほぼ電化が終わっているものの、少数民族などが居住する農村部、山間部などでは、ほとんどが未電化地区となっている。これら未電化地区への対応は同国の重要な課題のひとつとなっている。(国内の電化率は約50%)

ベトナム電力公社では、これら未電化地区への対応として、太陽光、風力など再生可能エネルギーを利用した分散型電源の活用を検討している。

 

3.事業形態

 

 

 工業省の管轄下にベトナム電力公社(EVN: Electricity of Vietnam)が、全国の発電から配電までを一元的に運営している。

以 上