プレスリリース

9月定例社長記者会見概要

平成28年 9月23日

〇原田社長からの説明事項
 本日もお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。
 本日、私からは、「当社におけるこの夏の電力需給の実績」につきまして、ご説明させていただきます。

 

〇台風10号の影響について
 本題に入ります前に、8月30日に岩手県に上陸いたしました、台風10号について、触れさせていただきます。

 皆さまご承知のとおり、この夏は多くの台風が発生し、とりわけ、観測史上で初めて、東北地域に直接上陸した台風10号は、暴風や大雨により、岩手県を中心に東北各地に大きな被害をもたらしました。

 この台風によりお亡くなりになられた方々のご冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた多くの皆さまに、心からお見舞いを申し上げます。

 この台風で、当社におきましても、倒木による配電線の断線等によりまして、東北6県で、延べ約9万7千戸が停電しました。
当社では、復旧作業に懸命に取り組んでまいりましたが、岩手県岩泉町の一部の地域では、土砂崩れによる道路の寸断等で、作業車両の通行が困難であることから、今なお約250戸が停電している状況にあります。

 停電により大変なご不便・ご迷惑をおかけしておりますことについて、改めてお詫び申し上げます。

 当社といたしましては、引き続き、地元自治体の皆さまとも連携しながら、復旧に向けた準備を進めますとともに、車両の通行が可能となった箇所から、順次、復旧作業に全力で取り組んでまいりたいと考えております。

 

○今夏の電力需給実績について
 それでは、この夏の当社における電力需給実績につきまして、ご説明いたします。
 この夏は、国からの節電要請はなされておりませんが、当社では、7月1日から9月30日までの期間を「夏季需給対策強化期間」に設定し、電力の安定供給の確保に向け、供給と需要の両面から様々な対策に取り組んでまいりました。こうした取り組みもあり、この夏につきましても、安定供給を果たすことができました。

 

 はじめに、この夏の電力需給の状況について、説明させていただきます。

 この夏は梅雨明けから暖かい空気に覆われ、晴れる日もありましたが、相次いで発生した台風の影響により、天候が不安定な日が多くなりました。また、最高気温につきましては、概ね平年を上回る実績となったものの、平日においては7都市の平均で32.7度が最高となり、35度以上の猛暑となる日はございませんでした。

 

 今ほどお話ししました気温の状況から、この夏の最大電力は、8月5日に記録した1,228万キロワットとなりました。また、日電力量につきましても、同じく8月5日に記録した2億4,140万キロワットアワーが最大となりました。

 次に、この夏の最大電力の想定値と実績値の差異について、ご説明いたします。
 想定では、8月の最大電力は、1,412万キロワット程度と見込んでおりました。これに対しましてこの夏の実績は、1,228万キロワットとなり、当初の想定を184万キロワット程度下回りました。
この要因といたしましては、気温の影響が最も大きかったと考えております。想定では、平成22年並みの猛暑として、気温を35度程度と見込んでおりました。

 一方で、この夏は、最大電力を記録した8月5日の気温が32.7度と、想定を大きく下回りましたので、気温影響が111万キロワット程度あったものと分析しております。

 

 次に、夏季需給対策強化期間における、当社の火力発電所の取り組みをご紹介いたします。当社では、火力発電所の定期点検時期が需要のピーク期に重ならないよう、点検時期の繰り延べや調整を行うとともに、経年化した火力の継続運転などにより、夏場の供給力確保に取り組んでおります。

 また、7月1日に、新仙台火力発電所3号系列が世界最高水準の熱効率を誇る最新鋭プラントとして、全量で営業運転を開始しておりますが、この夏は、90パーセント以上と高い利用率で稼働し、供給力の確保に大きく寄与しております。

 

 こうした取り組みに加えまして、高稼働を続けている火力発電所の安定運転を維持するためには、日頃からのメンテナンスや、トラブルの芽となる、不具合の兆候を早期に把握することが何よりも重要であります。
 この夏も、需要がピークを迎える前に、機器の点検や補修を入念に行うとともに、運転データの管理・監視やパトロールの強化など、設備の保守と運転管理の両面から、トラブルの未然防止に取り組みました。
 このような取り組みによりまして、この夏は緊急停止を伴うような、大きなトラブルの発生を回避することができております。

 

 一方で、緊急停止には至らないものの、軽微な不具合などによる計画外の停止や、出力の抑制を行った事例は、7月から9月の間で27件ほど発生しております。このため、補修が必要な場合は、需要の低い時間帯に行うなど、需給状況を踏まえて適切に対応いたしました。

 

 次に、夏季需給対策強化期間に限った対策ではありませんが、今年は台風が相次いで発生いたしましたので、水力発電所での安定供給の確保に向けた取り組みの一例を、ご紹介いたします。
 台風の影響などで大雨になりますと、河川の流量が増加し、流木など大量の塵芥が発電所に押し寄せてまいります。
 塵芥が発電所に流れ込みますと、水路の閉塞や設備の不具合が発生する恐れがありますので、台風などの際は、設備被害の発生等を未然に防止するため、予防的に発電所の取水や発電を停止する措置を講じることとしております。
 8月22日に、台風9号が通過した際には、増水により、80箇所の発電所の運転を停止しております。
 このため、当社では、集塵船等を活用して、速やかに塵芥を除去するなど、供給力の確保に向けて早期復旧に努め、台風通過の翌日から、順次運転を再開しております。

 

 以上が、この夏の需給の説明となりますが、ご説明いたしましたとおり、震災以降は、原子力の停止分を補うため、火力の高稼働が続いております。現在、当社の供給力の8割程度を、火力発電に頼っております。

 このように、火力発電に依存し続けることは、エネルギーの安全保障や、地球温暖化の観点からも課題があるものと認識しております。また、設備面でも、火力発電所において、予期せぬトラブルが発生するリスクが年々高まっていると考えております。
 このため、当社といたしましては、従来から申し上げておりますとおり、バランスのとれた電源構成を図っていくことが重要であり、再生可能エネルギーの導入拡大とともに、安全確保を大前提として、原子力は今後も一定程度、必要であると考えております。

 

 なお、来週をもちまして、「夏季需給対策強化期間」は終了いたしますが、当社といたしましては、引き続き、緊張感を持って設備の運転、保守にあたり、安定供給に万全を期してまいりたいと考えております。
 この夏の需給に関する説明については、以上となります。

 

○当社原子力発電所の状況について
 最後に、当社の原子力発電所に関してですが、当社は、一昨日の9月21日に、青森県議会の議員説明会において、東通原子力発電所における安全対策工事や、適合性審査などの状況をご説明しております。このため、私からも、女川も含めた状況について、触れさせていただきたいと思います。

 

 まず、当社原子力発電所の安全対策工事についてですが、当社では、新規制基準適合性審査の申請以降も、審査会合等における議論やコメント等を踏まえまして、安全性向上の観点から重要と判断したものについては、適宜、設計に反映しながら着実に進めているところです。

 

 また、適合性審査については、女川は基準地震動の議論が山場を迎えつつありますが、プラント関係の審査に関しては、更に一定の期間を要するものと考えております。
 一方、東通では敷地内断層が課題となっておりますが、現在、追加の地質調査を行っており、順次結果の取りまとめを行い、ヒアリングの場での説明が始まったところです。
 こうした状況を踏まえますと、審査には更に一定の期間を要すると考えており、これまでご説明してまいりました、平成29年4月の安全対策工事の完了は、女川・東通の両原子力発電所ともに、スケジュール的に難しい状況にあります。

 

 このため、当社といたしましては、今後の審査動向も見ながら、工程への影響について検討していく必要があると考えておりますが、安全の確保と地域の皆さまからのご理解を前提に、早期の再稼働を目指して、引き続き、安全対策工事や適合性審査への対応に全力を尽くしてまいりたいと考えております。

 

 本日、私からは以上です。

 

以上

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