【発生日時】 平成24年4月4日(水) 6時44分頃
【運転状態】 第4回定期検査中
【事象の概要】
東通原子力発電所1号機において、4月4日 6時44分頃、使用済燃料プールを冷却する燃料プール冷却浄化系ポンプ(以下、「当該ポンプ」という。)が停止しました。その後、設備に異常がないことを確認し、同日7時23分に当該ポンプを起動し、復旧しました。
使用済燃料プールの水温は約26℃であり、停止前後で変化はありませんでした。
本事象による、排気筒モニタ、排水モニタ、モニタリングポストに異常な変化はなく、発電所周辺への放射能の影響はありません。
(4月4日お知らせ済み)
また、今回の事象では、当該ポンプのほか、原子炉冷却材浄化系ポンプなど合計41の機器(以下、「その他当該機器」という。)が停止しましたが、機器に異常はなく、手動で再起動することなどにより復旧しています。
【原 因】
当該ポンプが停止した原因は、所内電源の電圧が瞬間的に低下する事象(以下、「瞬時電圧低下」という。)に伴い、当該ポンプへの電源供給設備の制御回路の電圧が低下し、当該ポンプの動力回路のスイッチ接点が「開」になり、電源供給が停止したものと推定しています。
また、その他当該機器が停止した原因についても、所内電源の瞬時電圧低下に伴う制御回路の電圧低下の影響によるものと推定しています。
なお、所内電源が瞬時電圧低下した原因は、日本海で急速に発達した低気圧が北日本を通過したため、発電所の外部電源であるむつ幹線(50万ボルト送電線)と上北変電所で連系している十和田幹線において、暴風雪の影響でギャロッピング※1が発生し、電線同士が接近または接触したことによって短絡に至ったものと推定しています。
【対 策】
当該ポンプおよびその他当該機器は、瞬時電圧低下により停止しても直ちに系統機能への影響はなく、手動で再起動することにより瞬時電圧低下前の状態に復旧することから、現状の機能でも十分であるものと考えております。
しかしながら、原子炉内および使用済燃料プール内にある燃料を冷却する設備において、瞬時電圧低下時に停止を防止する設計としていない設備は、当該ポンプのみであるため、東京電力福島第一原子力発電所における事故および今回の事象を契機として、より信頼性を向上させる観点から、今後、瞬時電圧低下によって不必要に自動停止することがないよう、制御回路の一部を改造します。
なお、十和田幹線については、ギャロッピングによる短絡の発生が懸念される個所に、ギャロッピングを抑制する効果があるルーズスペーサ※2を設置しておりますが、今回、短絡が発生した地点には、通常のスペーサを設置していたことから、ルーズスペーサへの取り替えを実施し、ギャロッピングによる短絡の再発防止を図っていきます。また、今回、短絡が発生した地点以外においても今回の気象条件を考慮した検討を行い、ギャロッピングによる短絡の発生が懸念される個所については、ルーズスペーサへの取り替えを実施し、ギャロッピングによる短絡の更なる防止を図っていきます。
以 上
※1 送電線に雪や氷が付着した状態で、暴風により送電線が上下に大きく振動する現象
※2 片側電線保持部が自由に可動することにより揚力特性が変化し、ギャロッピングを抑制する
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