当社女川原子力発電所2号機(沸騰水型、定格電気出力82万5千kW:宮城県牡鹿郡女川町、石巻市)については、定格熱出力にて運転中でありますが、12月7日、定期的(1回/月)に実施する低圧炉心スプレイ系※2(以下、「LPCS」という。)弁手動開閉試験において、LPCS注入ライン試験可能逆止弁均圧弁※3(以下、「均圧弁」という。)の表示が全開表示にならず、LPCS注入ライン試験可能逆止弁※4(以下、「当該弁」という。)が動作可能であることが確認できなかったことから、13時37分頃、保安規定第39条に定める運転上の制限を満足しないと判断いたしました。
本来、均圧弁の全開信号で当該弁を試験的に動作させるしくみになっていることから、15時19分に均圧弁の全開信号を模擬し、当該弁が正常動作することを確認しました。
その後、LPCSポンプ手動起動試験および当該弁以外のLPCS弁手動開閉試験により、LPCSの健全性が確認できたことから、12月7日、18時43分に運転上の制限内に復帰いたしました。
(12月7日、お知らせ済み)
以上の状況を再度検討したところ、均圧弁の表示としては全開表示にならないものの、均圧弁が開状態となっていることを確認できたため、これにより当該弁の前後の圧力が均しくなり、当該弁の開動作が可能となることから、均圧弁の全開信号を模擬することで、当該弁の弁開閉試験を行うことが可能となります。
この結果、保安規定に要求される当該弁の機能の健全性は確保されていることから、運転上の制限を満足していたと考え、昨日の判断を訂正しました。
今後、定期的に実施する当該弁の弁開閉試験では、均圧弁の全開信号の模擬を行い、当該弁が動作可能であることを確認することとしました。
均圧弁については、次回定期検査時に原因を調査します。
本事象による発電所周辺への放射能の影響はありません。
以 上
※1 運転上の制限
保安規定では原子炉の運転状態に応じ、「運転上の制限」などが定められており、保安規定第39条は、原子炉の状態が運転、起動および高温停止における非常用炉心冷却系への要求事項について定めたもの。
※2 低圧炉心スプレイ系
非常用炉心冷却系の一部で、原子炉冷却材喪失事故時に原子炉に給水するための設備。
なお、非常用炉心冷却系としては、他に「高圧炉心スプレイ系」「低圧注水系」「自動減圧系」がある。
※3 試験可能逆止弁均圧弁
逆止弁の両側には圧力差があることから、この圧力差を無くし、逆止弁を開動作できるようにするための弁。逆止弁の開閉試験時のみ使用する弁。
※4 試験可能逆止弁
気体や液体が、通常流れる方向から逆方向に流れるのを止めるための弁であって、開閉試験が可能なもの。