原子力情報 The information of Nuclear Power

低レベル放射性廃棄物輸送容器のボルトの締め付け不足に係わる再発防止対策の実施状況について

平成21年 3月12日

  昨年12月に女川原子力発電所から日本原燃(株)低レベル放射性廃棄物埋設センターへ低レベル放射性廃棄物を輸送しました。

  その輸送に使用した輸送容器120個のうち1個について、蓋を止めるボルトが十分締め付けられていなかったことが確認された旨、本年2月4日に日本原燃(株)より連絡を受けました。

  本件について、当社は本年2月6日に原子力安全・保安院および国土交通省海事局より、放射性物質等の輸送安全の一層の向上について注意喚起文書を受領しました。

(平成21年2月6日お知らせ済み)

 

  調査の結果、事象の発生した状況は、女川原子力発電所において低レベル放射性廃棄物の入ったドラム缶を輸送容器に収納する作業中、作業員が当該輸送容器の蓋を止めるボルトの締め付け作業を実施する前に別作業を行うため作業現場を離れている間に、代わりの作業員が当該輸送容器のその後の作業を担当し、その作業員がボルトの締め付け作業は終了したと思い込み、ボルトを締め忘れたものと推定しました。

  このことから、今回の事象は、作業員の思い込みおよび作業内容、進捗状況に関する確認・報告が十分に行われなかったために発生したものと考えております。

 

  この調査結果を踏まえ、以下の再発防止対策を実施することとしました。

  1. 輸送容器の蓋を止めるボルトの締め付けに関し、実際に作業を実施する作業員の他、作業責任者もボルト締め付け状態の確認を行う。また、低レベル放射性廃棄物の輸送に係る一連の作業について記録する様式を定めて手順書に反映し、作業において記録した結果について当社社員も確認する。 
  2. 作業手順を見直し、上蓋の取り付けとボルト締め付けを一連の作業として実施する。 
  3. ボルトの締め付けなどの作業毎にあらかじめ担当する作業員を定める。また、作業の進捗状況を目視確認できるよう表示記録を現場に掲示する。 
  4. 作業員の交代の際には、必ず作業責任者に連絡するとともに、作業員間で作業の進捗状況を確認する。 
  5. 当社は元請会社に対して作業の検証の充実を図るため、元請会社の作業実績結果を確実に確認することにより、作業管理を適切に行う。 
  6. 低レベル放射性廃棄物輸送の重要性に対する理解を向上させるために、教育内容の充実を図り、作業に従事するすべての社員、作業員に対して教育を行う。 
  7. 作業員と当社社員による対話を実施し、低レベル放射性廃棄物輸送の重要性について認識を高めるとともに、コミュニケーションの充実を図り、作業員から改善提案等の意見を吸い上げる。

(平成21年2月26日お知らせ済み)

 

 その後、これまでの再発防止対策の実施状況を取りまとめ、2月26日に受領した原子力安全・保安院からの指示に基づき、本日、同院に報告するとともに、安全協定に基づき、宮城県、女川町および石巻市へ報告いたしました。

 これまでの再発防止対策の実施状況については別紙のとおりです。

 

 当社といたしましては、これらの再発防止対策を的確に実施し、今後も低レベル放射性廃棄物輸送作業時の安全確保に万全を期してまいります。

 

※ 昨年12月に輸送した低レベル放射性廃棄物について

 原子力発電所の運転に伴い発生する液体廃棄物を蒸発濃縮処理した濃縮廃液や、水などを浄化するために使用した樹脂などの放射線レベルの低い廃棄物をセメントと練り混ぜ、専用のドラム缶に均質・均一に固型化したものです。

 なお、今回、ボルトが十分締め付けられていなかった輸送容器に収納されていたドラム缶の放射線レベルは極めて低く、輸送途中での環境への影響はなく、輸送に携わった作業員の有意な被ばくもありませんでした。

 

以 上