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女川原子力発電所3号機および東通原子力発電所1号機の補助ボイラーに関する不適合事象の根本原因と再発防止対策ならびに組織的な共通要因を踏まえた対応策について平成21年 9月29日 当社女川原子力発電所3号機の補助ボイラー※1(A)について、定期事業者検査※2を開始しなければならない運転時間を超過していることが、平成21年7月27日に判明したため、当該補助ボイラーを停止し、直ちに定期事業者検査を開始するとともに運転時間を超過した原因について調査し再発防止対策を講じることとしました。 また本事象を踏まえ、当社東通原子力発電所1号機を確認した結果、補助ボイラー(A)および(B)について、定期事業者検査の時期変更承認申請※3を行っていなかったことが、7月29日に判明したため、直ちに当該補助ボイラーの定期事業者検査の時期変更承認申請を行うことといたしました。(7月30日申請済み) これら2つの事象に関し、7月29日に経済産業省原子力安全・保安院より、指示文書※4を受領しました。
当社は、原子力安全・保安院の指示に基づき、女川原子力発電所3号機および東通原子力発電所1号機における補助ボイラーに関するそれぞれの事象の根本原因と再発防止対策、ならびにこれまで発生した不適合事象の組織的な共通要因を踏まえた対応策を取りまとめ、本日、原子力安全・保安院へ報告いたしました。
1.女川原子力発電所3号機の補助ボイラーに関する事象の根本原因と再発防止対策
本事象に関する調査・分析を行った結果、「法令要求等の管理プロセスが不十分」、「業務移管プロセスが不十分」、「ボイラー・タービン主任技術者の職務等が不明確」、「内部コミュニケーションが不十分」の4つの問題点が抽出されました。その後、これらの問題点を分析して、根本原因を抽出するとともに、根本原因を究明するにあたって抽出された直接原因についてもそれぞれ再発防止対策を取りまとめております。
2.東通原子力発電所1号機の補助ボイラーに関する事象の根本原因と再発防止対策
本事象に関する調査・分析を行った結果、「内部コミュニケーションが不十分」、「ボイラー・タービン主任技術者の職務等が不明確」の2つの問題点が抽出されました。その後、これらの問題点を分析して、根本原因を抽出し再発防止対策を取りまとめております。
3.これまでに発生した不適合事象の組織的な共通要因を踏まえた対応策
上記1、2を含め、女川原子力発電所1号機第18回定期検査中に発生した3件の事象※5や女川原子力発電所1号機高圧注水系における保安規定違反事象の根本原因分析結果を踏まえて、組織的な共通要因を分析した結果、以下の2つの要因が抽出されました。
○「現場管理が適切に機能するために必要な仕組みの整備が不十分」 業務の計画や検証段階でのプロセスに不十分な点があり、現場管理を適切に機能するために必要な仕組みの整備が不十分であった。 特に女川原子力発電所では、機器の管理範囲が増加したことに加え、原子力品質保証体制総点検の対策として人員の補強を行ったことにより、管理職による現場管理が隅々まで行き届かなくなり、チーム力(組織力)を発揮しにくい状況となっていた。
○「内部コミュニケーションが不十分」 発電所内の関係者間、本店と発電所間など、視点の違うもの同士の間でもう一歩踏み込んだコミュニケーションが不足していた。
こうした組織的な共通要因を踏まえ、これまで進めてきた発電所の管理職が管理する範囲を適正なものに見直すための検討を加速するとともに、上下間、組織横断的に必要なコミュニケーションが図れるような対策を講じてまいります。
今後、上記1、2については、具体的な対策実施計画を策定し、確実に実施し浸透・定着を図っていくとともに、その有効性を評価していくこととしております。 また、上記3については、「再発防止対策推進特別チーム」により、上記の対策を基本方針とした具体的な対策実施計画を策定し、確実に実施し浸透・定着を図っていくとともに、その有効性を評価していくこととしております。なお、具体的な対策の策定や浸透・定着にあたっては、外部専門家の指導、助言もいただきながら進めてまいります。 今後とも原子力発電所の安全・安定運転に万全を期してまいります。
本報告の概要は、別紙のとおりです。 以 上
※ 1 補助ボイラーは、発電所建屋内の暖房等に使用する蒸気やプラント起動時のタービン軸封部へのシール蒸気(回転部からタービン蒸気が漏れ出さないように軸封部に供給する蒸気)を供給するための設備です。 なお、女川3号機は電気ボイラー、東通1号機は重油ボイラーで、それぞれ(A)、(B)の2系統あり、蒸気を発生するための水には純水を使用しています。
※ 2 定期事業者検査は、電気事業法に基づき事業者が実施する検査です。
※ 3 時期変更承認申請は、設備の使用状況から、電気事業法に定める時期を超えて使用が可能な場合に、検査時期の変更に係る国の承認を得るための手続きです。
※ 4 指示文書「女川原子力発電所第3号機及び東通原子力発電所第1号機における補助ボイラーの定期事業者検査について」 女川原子力発電所3号機における補助ボイラー(A)について、申請のあった運転時間を超えて運転を行っていたことならびに東通原子力発電所1号機における補助ボイラー(A)および(B)について定期事業者検査時期変更承認申請を行わなかったことについて、次の指示を受けたもの。 ○女川原子力発電所3号機の補助ボイラー(A)について、直ちに定期事業者検査を実施すること。(平成21年8月10日終了) ○東通原子力発電所1号機の補助ボイラー(A)および(B)について、直ちに定期事業者検査時期変更承認申請を行うこと。(平成21年7月30日申請) ○本事象の根本原因の究明および再発防止対策を策定し、9月30日までに原子力安全・保安院に報告すること。 ○これまで不適合事象が多発した状況を鑑み、組織的な共通要因を踏まえた全社的な対応策を策定し、本年9月30日までに原子力安全・保安院に報告すること。
※5 「誤信号による非常用炉心冷却系の作動」「残留熱除去系(B)系統圧力の上昇」「原子炉起動中の操作していない制御棒の挿入」の3件の事象。
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