プレスリリース

女川原子力発電所3号機気体廃棄物処理系における水素濃度の上昇に係る調査結果および再発防止対策について

平成19年12月12日

 当社女川原子力発電所3号機(平成19年5月10日より第4回定期検査中)は、11月7日に原子炉を起動し、11月10日に発電を再開したところ、12時11分、気体廃棄物処理系「排ガス除湿冷却器出口水素濃度高※1」警報が発生いたしました(除湿冷却器出口の水素濃度が0.4%から、計器上限(5%)に上昇)。
 その後、気体廃棄物処理系流量※2が上昇(7.2m3/時→27.1m3/時)したことから、原因を調査するために、運転手順書に基づき、15時19分、原子炉を手動で緊急停止いたしました。
 なお、本事象による発電所周辺への放射能の影響はありませんでした。

平成19年11月10日お知らせ済み

 今回の事象は、本来、原子炉内で水の放射線分解により発生した水素と酸素が、気体廃棄物処理系の排ガス再結合器※3において化学反応により水(水蒸気)になるべきところ、反応に必要な酸素量が十分に供給されなかったために反応が起こりにくくなり、水にならなかった水素と酸素がそのまま下流側へ流出し、排ガス除湿冷却器出口水素濃度および気体廃棄物処理系流量が上昇したものと推定いたしました。
 原因を調査するため、実機を模擬した試験を実施したところ、「酸素/水素濃度比※4」には、出力に応じて、ある値を下回ると急激に化学反応が起こりにくくなる「しきい値」があることが判明いたしました。
 今回の事象は、この知見が考慮されておらず、「しきい値」付近で運転していたために発生したものと推定しております。

 なお、排ガス除湿冷却器出口の水素濃度は上昇したものの、運転データ、気体廃棄物処理系の機器や配管などの漏えい確認、および排ガス予熱器などの開放点検の結果から、急激な水素燃焼はなかったものと判断いたしました。

 この調査結果を踏まえ、排ガス再結合器に対し反応に必要な酸素量を供給するため、以下の再発防止対策を実施することにいたしました。

  1. 所内用圧縮空気系※5からの空気の供給量を増加させ、気体廃棄物処理系流量を16〜19m3/時を目安に管理することとし、運転手順書に明記する。
  2. 気体廃棄物処理系流量が低下した場合には、所内用圧縮空気系からの空気の供給量が不足している可能性があることから、速やかに運転員に知らせるよう新たに警報を設置する。

 なお、排ガス再結合器での反応に必要な触媒については、分析を目的に削り出したことから、一式を新品に交換することにいたしました。

 今後、準備が整い次第、原子炉を起動する予定です。

以上

※1 「排ガス除湿冷却器出口水素濃度高」警報
排気する気体中の水素濃度を監視するためのもの。

※2 気体廃棄物処理系
復水器に流入する気体状の放射性物質を減衰させる系統。

※3 排ガス再結合器
復水器より抽出された排ガス中の水素濃度を可燃限界以下にするため、酸素と水素を化学反応によって結合させて水(水蒸気)にする設備。

※4 酸素/水素濃度比
水素に対する酸素の濃度の割合。

※5 所内用圧縮空気系
各建屋での圧縮空気使用設備に、圧縮した空気を供給する系統。




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