3月定例社長記者会見概要
2025.03.27
社長記者会見
〇樋口社長からの説明事項
お忙しい中、お集まりいただき、ありがとうございます。
本日は、「東北電力グループにおける新たな価値の創出に向けた挑戦」について、ご説明させていただきます。
〇東北電力グループにおける新たな価値の創出に向けた「挑戦」
近年、AIをはじめとするデジタル技術の普及に伴う「DXの進展」や、「カーボンニュートラルの潮流加速」などを背景に、お客さまや地域のニーズが多様化してきております。
東北電力グループでは、再生可能エネルギーのポテンシャルが高い地域特性や、70年以上にわたって電気事業を営む中で培った強みを生かし「データセンター等産業立地・誘致に向けた取り組み」、「AIに関連する新サービスの創出」、「再エネを活用した新サービスの展開」などの新たな挑戦を通じ、東北6県・新潟県のDX、カーボンニュートラルの推進に貢献することで、地域とともに持続的な発展を目指してまいります。
カーボンニュートラルを背景に、今後、国を挙げて、脱炭素電源の近くへ、データセンターをはじめとする産業立地、誘致を目指していく方針が示されました。こうした動きを踏まえ、当社グループは、「発電所の跡地などの活用」も視野に入れつつ、「脱炭素電気の供給」やエネルギーの効率的な利用を支援する「エネルギーマネジメント」、電気・空調・通信設備などの「設備マネジメント」といったグループが保有するノウハウ・サービスを一体的に提案することで、東北6県・新潟県へのデータセンター等の誘致に取り組んでまいります。
一般的に、データセンターや半導体工場などについては、大量の電気を消費することから、新規立地の際には、電力や水の供給設備などの整備状況が判断材料の一つとなります。そこで、東北電力ネットワークでは、そうした電力多消費型の施設への電力供給にあたり、供給設備の現状から比較的早期に対応が可能となるエリアを「ウェルカムゾーン」として、ホームページで公開しております。また、電力や水の供給設備の整備という観点から、既設のインフラを活用できる発電所の跡地などは、有望な候補地となります。
東北電力グループを挙げて、データセンター等の誘致を積極的に進めてまいります。
生成AIを活用したサービスの開発や各種研究などにあたっては、高度な計算力を有する「GPU」と呼ばれる「画像処理装置」が欠かせません。一方、そうしたニーズに早期に対応できる事業者が少ない状況にあります。当社では、こうした状況をチャンスと捉え、GPU需要の急拡大をハード面から支援するため、「生成AIインフラサービス」の創出に取り組んでいるところです。その一環として、今年2月より、生成AIサービスの開発企業や教育・研究機関などを対象に、クラウド環境を用いて、インターネット経由で高性能なGPUを提供する「GPUクラウドサービス」を展開しており、既に成約した案件もあります。
2025年度中には、短期間での利用ニーズなどに、より柔軟に対応できるよう、ラインアップを拡充するほか、お客さまが所有するGPUを、当社が用意するコンテナ型データセンターへ設置する「ハウジングサービス」の提供を予定しております。
AIを活用したい企業へのソフト面での取り組みとして、当社グループ内でのAI活用で得られた知見なども踏まえ、AIに関して豊富なノウハウを有する「エクサウィザーズ社」と連携し、2社の強みを生かした新たなサービスの検討を進めているところです。具体的には、人手不足などの課題が顕在化している法人のお客さま向けに、来月より2つのサービスを開始することとしております。
1つ目は、「生成AIに興味はあるが使い方がよくわからない」というお客さまに対して、議事録や作業マニュアルの作成、社内外からの問い合わせ対応など、様々な場面における業務効率化に向け、AI活用を支援する「法人向け生成AIサービス」です。
もう一つは、「工事や製造などの現場業務」や「販売業務」など特定の業務に特化し、高度化・効率化を図るためのAIを、お客さまのニーズに合わせて開発する「業務特化AIソリューション開発」になります。例えば、工場などにおいて、撮影した画像を分析することで、機器や部品の不具合を早期に検出できるソリューションや、商談後の報告書作成や営業に関わるタスク管理をAIで効率化するソリューションの開発などを、お客さまに提案してまいりたいと考えております。
これら2つのサービスの開始日につきましては、準備が整い次第、あらためてお知らせいたします。
当社グループでは、「再エネ発電事業」をはじめ、再エネを最大限活用した「次世代エネルギーサービス事業」、「グリーンエネルギーサービス事業」といった「グリーンビジネス」に係るサービスの提供を通じて、お客さまに新たな電気の価値をお届けしております。ここで「グリーンエネルギーサービス事業」の一例として、「コーポレートPPAサービス」を紹介いたします。
当社は、「オンサイト」と「オフサイト」2つのコーポレートPPAサービスを提供しております。「オンサイトPPA」は、お客さまの屋根の上や、敷地内の空き地に設置した太陽光発電設備で発電された電力をお客さまが自ら消費するサービスです。
一方、「オフサイトPPA」は、お客さまの需要場所と異なる場所に設置された太陽光や風力等の発電所からの再エネ電気を、電力系統を介して環境価値と共にお客さまへ提供するサービスです。
どちらのサービスも、お客さまにとっては、長期にわたって安定的に、再エネ由来の電気や環境価値を購入できるというメリットがあります。2020年のサービス開始以降、多くのお客さまにご利用いただいており、導入実績については、2025年2月末時点で100件を超えております。
ここまで、3つの分野における取り組みをご紹介してまいりましたが、最後に、それぞれの売上目標について、触れさせていただきます。
「データセンター等産業立地・誘致に向けた取り組み」については、一例として、国の審議会で提示されている「データセンターによる国内想定電力需要」を基に、一定の前提を置いて試算すると、データセンターの電力料収入として、2050年時点で「年間500億円以上」の規模の事業機会につながる可能性があることから、これを最大限、当社グループの収益に結び付けるべく取り組みを進めてまいります。加えて、電力料収入だけではなく、関連工事やサービス等も含め、さらなる収益を獲得していきたいと考えております。
また、「AIに関連する新サービス」については「2030年度において年間80億円以上」を、「再エネを活用した新サービスの展開」については、「再エネ発電事業」を除き、「次世代エネルギーサービス事業」と「グリーンエネルギーサービス事業」をあわせて、「2030年度において年間200億円以上」の売り上げを目指し、挑戦してまいります。
加えて、「再エネ発電事業」については、「2030年度において新規開発200万kW」を目標に、引き続き、積極的に取り組んでまいります。
〇社長交代にあたっての挨拶
テーマに係る説明は以上となりますが、すでにご案内のとおり、4月1日より、石山新社長のもと、新たな執行体制となります。このような形で、皆さまとお会いするのは、本日が最後となりますので、一言ご挨拶させていただきます。
私は、社長在任の5年間、「挑戦」というキーワードを事業活動の基本に据え、「企業変革に向け、全員が志をひとつに、挑戦し続ける」との信念を持ち全力を尽くしてまいりました。その結果、女川2号機の営業運転再開、回復途上にあるものの、毀損した財務基盤の回復など、中長期ビジョンの実現に向け、一定の道筋をつけることができたと感じております。これらは、お客さまや、お取引さま、株主さまなど多くの皆さまのご理解、ご協力の賜物であり、また、当社をはじめ企業グループ社員、一人ひとりの真摯な取り組みの成果であると考えております。
この場をお借りして、お力添えを賜りました皆さまに、あらためて感謝を申し上げます。
以上
注:樋口の「樋」は、一点しんにょう