プレスリリース

11月臨時社長記者会見概要

2022年11月24日

口社長からの説明事項

 本日は、お忙しい中、急遽お集まりいただき、ありがとうございます。

 

 当社は、本日、経済産業大臣に、小売規制料金の値上げに係る「特定小売供給約款」の変更を申請いたしました。

 今回の値上げ申請は、2013年9月の電気料金改定の申請を行った2013年2月以来、9年ぶりとなります。


○小売規制料金の値上げ申請に至った背景について
 最初に、これまでもご説明してきた内容でありますが、今回の値上げ申請に至った背景につきまして、触れさせていただきます。


 2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻を受け、燃料価格や卸電力取引市場の価格が高騰していることなどから、当社は、今年度の連結決算において2年連続の純損失となる見通しであり、自己資本比率も東日本大震災直後を下回る水準まで低下する見込みとなっております。

 このため、既に、自由化部門のお客さまの電気料金につきましては、今月11月以降、「高圧以上の電気料金単価見直し」および「低圧自由料金プランの燃料費調整制度における上限設定の廃止」を実施させていただいております。


 一方、規制部門のお客さまの電気料金については、電力小売全面自由化後も、需要家保護の観点から、旧一般電気事業者が最終的な供給責任を負う「経過措置料金」として位置づけられていることに鑑み、可能な限り現行の水準を維持するよう努めてまいりました。


 しかしながら、本年6月以降は燃料費調整制度の平均燃料価格が上限価格を超過する水準で推移・拡大し、その超過分を当社が負担する「逆ザヤ」の状態が続いております。これにより、これまでに当社が持ち出した負担額は、10月末までの累計で212億円にのぼり、このうち、規制料金分は119億円を占めております。


 また、電力需給構造の変化により、現行の電気料金収入では、固定費を賄いきれない状況が継続しております。

 そのため、2021年度までは黒字を維持してきた規制部門につきましても、今年度の最終損益が550億円程度の赤字に転落する見通しとなっております。

 このままでは安定的な燃料調達や、電力設備の更新・修繕などへの投資を十分に行うことができず、電力の安定供給に支障を来しかねない非常に厳しい状況にあることから、大変苦渋の決断ではありましたが、本日、小売規制料金について、最大限の経営効率化の実施を前提に、値上げを申請させていただきました。


〇小売規制料金の値上げ申請の内容について

 続きまして、本日申請いたしました、規制料金値上げ申請の概要について、ご説明いたします。


 今回の規制料金の算定にあたりましては、国が定める「特定小売供給約款料金算定規則」に則っており、2023年度から2025年度までの3年間を、「原価算定期間」としております。


 そのうえで、算定期間における会社全体の総コストに該当する総原価を算定した結果、送配電関連費を含む総原価は、3カ年平均で、前回の2013年の改定時を大幅に上回る2兆1,636億円となり、その内数である規制部門の原価は年間3,494億円となりました。

 これに対し、現在の規制料金を維持した場合における収入の見通しは、年間2,628億円となることから、来年4月1日からの、平均32.94%の値上げを申請させていただきました。


 大幅な値上げ申請となり、大変心苦しい限りですが、何卒ご理解を賜りますよう、お願いいたします。


 当社は、これまでに、前回改定時の料金原価に織り込みました1,139億円の効率化を達成してまいりましたが、今回の総原価につきましては、さらに効率化の取り組みを深掘りし、すでに着手している取り組みとして848億円に加えて、今後の取り組みとして、さらに311億円の効率化を織り込み、あわせて1,159億円の原価低減を図っております。

 しかし、これだけの効率化を織り込んでもなお、燃料費や購入電力料の大幅な増加を吸収しきれない状況となっております。

 お客さまの値上げ影響についてご説明いたします。

 

 契約種別により値上げ率は異なりますが、一般的なご家庭向けの従量電灯Bのモデルケースである、契約電流30A、ご使用量260kWhのお客さまの場合、現在のお支払額から2,717円、率にして31.72%の値上げとなる見込みです。

 今回の値上げ申請にあたりましては、燃料費の高騰が主な要因であるものの、近年の再生可能エネルギーの普及・拡大や販売競争の激化により、火力発電の稼働率が低下するなど、需給構造が大きく変化していることを踏まえ、固定費部分に相当する基本料金についても見直すこととし、基本料金、電力量料金をそれぞれ値上げすることといたしました。

 なお、2023年4月には、お客さまに電気をお届けするために使用するネットワーク設備の利用料金である「託送料金」が見直されることとなっておりますが、今回お示しした値上げ後の料金単価には含めておりません。
 今後、託送料金が確定次第、基本料金、電力量料金に反映することとなりますので、値上げ幅が増加する可能性もございます。

 

 一方で、今回の申請内容につきましては、今後の託送料金の状況も踏まえた形で、国の料金制度専門会合で審議・認可されることから、現時点で値上げ幅などが確定したものではございません。

 今回の値上げ申請の内容につきましては、当社ホームページ内に設置する専用ページなどを通じて広くお知らせするとともに、お客さまとのあらゆる接触機会を通じて、丁寧にご説明してまいります。

 また、お客さまからのご質問などをお受けする専用のフリーダイヤルを設置いたします。


 当社といたしましては、引き続き、徹底した経営効率化に取り組み、お客さまに安定的に電力をお届けするとともに、少しでもお客さまのご負担軽減につながるよう、電気の効率的なご利用方法のご提案に取り組んでまいります。


〇申請にあたっての原子力発電の取り扱い

 原価算定期間における、原子力発電所の運転計画について、ご説明いたします。

 国の料金算定規則によりますと、会社全体の総コストである総原価の算定にあたっては、「供給計画等を基に算定する」こととされております。

 向こう10年間の供給力などを取りまとめた供給計画では、当社原子力発電所のすべてのプラントについて、供給力を「未定」としております。

 これによれば、向こう3年間の原価算定期間におきましては、原子力の稼働を織り込まないことが原則となりますが、当社といたしましては、新規制基準への適合性に関する原子炉設置変更許可、ならびに工事計画認可を受けている女川2号機について、2024年2月に再稼働するものとして、今回の料金原価の算定に運転を織り込むことといたしました。


 女川2号機については、2021年12月の工事計画認可を踏まえ、設備の詳細設計が決まったことから、改めて、安全対策工事費の精査を進めてまいりました。その結果、発電所全体の安全性を確保するために必要な、共用施設に関わる安全対策工事費を含めて、5,700億円程度と評価いたしました。今回の申請にあたりましては、この工事費を前提に、原価算定期間における減価償却費を算定しております。


 なお、一定の前提を置いた試算ではありますが、今回申請した料金の燃料費水準で評価しますと、女川2号機の稼働を原価に織り込むことにより、安全対策工事の竣工に伴う減価償却費や修繕費の増加を見込んでも、燃料費等の低減により年間で1,000億円程度、料金原価を低減する効果があり、これにより、値上げ幅において5%程度の抑制が図られております。

 当社といたしましては、原子力発電所の再稼働に向けて、今後とも安全を最優先に、全力で取り組んでまいります。


〇低圧自由料金の取り扱い

 以上が、小売規制料金の値上げ申請の概要となりますが、今回の規制料金にあたりましては、現在の需要や電源構成などの状況を踏まえ電気料金の単価や燃料費調整額の算定諸元について、全面的に見直していることから、同じ低圧の自由料金についても取り扱いを見直すこととし、平均で、1kWhあたり1.64円の値上げをお願いすることといたしました。


 また、低圧自由料金のうち、オール電化向けの料金プランなど、現在、お客さまにご契約いただいております、夜間単価を設定している料金プランにつきましては、今ほどの単価の値上げに加えまして、夜間単価を4.95円引き上げ、昼間単価を1.98円引き下げし、昼間と夜間の単価差の見直しを行います。


 本日、私からは以上です。

以 上

(注)樋口の「樋」は、一点しんにょう



「プレスリリース本文のPDFファイルはこちら」 印刷用PDF
←← 東北電力トップページ ← 元のページへ戻る