第1回/ワークショップ
多様な住民を結ぶため改めて地域を見つめ直す。
明治時代、高擶地区は、ハッカの生産地として知られていました。現在、北海道北見地方で盛んなハッカ生産の礎を築いたのも高擶地区の出身者と伝えられています。「高擶薄荷爽草の会」は、地域資源としてハッカに着目。ハッカの魅力や高擶との関わりを共有しながら、地域内での連携や地域間交流・世代間交流の拡大を目指しています。
高擶地区は天童市のほぼ中央部の平坦な地域で、歴史的な寺社などが残る地域に加えて、新興の住宅地開発も進んでいます。このため、地区と住民の関わりは多様化しています。まちづくり元気塾に集まったメンバーも、地元出身で農家の方、結婚を機にこの地に住むことになった方、隣町の会社に勤務する方などさまざまです。
そこで第1回は、まず自分たちの住む地域を改めて見つめ直すため、メンバーとまちづくりパートナーが一緒に現地視察を実施。「高擶地域づくり委員会」が作成した「高擶歴史ロマン探訪マップ」を参考に、高擶城址の碑を手始めに、城下の街路や水路、板張りの黒塀を持つ古民家や神社仏閣を巡りました。続いてメンバーがハッカを栽培する圃場を見学。ハッカ畑の風情や葉の香りを体感しました。
第2回/ワークショップ
地域の良さを再発見できたら共同作業に踏みだそう。
現地視察の後、志賀氏が「地域の元気とこれからのまちづくり」と題し話題を提供。「自分たちの地域を知り、何があるかを理解し、それらを組み合わせて目標を定めよう。目標を共有したら、一人ひとりが同じ方向に一歩を踏みだす。まちづくりは『一人の百歩より百人の一歩』が大切」とアドバイスしました。
続いてのワークショップでは寺川氏がリード。付箋への書きこみを使って、参加者から高擶地区の良いところ・悪いところを聞きだし、高擶の宝となる地域資源と克服すべき課題を抽出・整理しました。ハッカだけではなく、史跡の豊富さや人情の厚さ、交通の便や住環境の良さなど、まちづくりに活かせる要素がたくさん見えてくる一方、昔ながらの人間関係や「家」の慣習など、新旧住民の融和を妨げている要素も浮き彫りになってきました。これらの要素を、どう取り組みに活かしていくかについてアイデアを出しあい、第1回は終了。寺川氏からは「もっと多くの地域の方々と共有することが大事。それには共同作業が有効だ。たとえば中学生と一緒に地域の長所・短所マップをつくって発表会をすれば、親子で参加してもらえるのではないか」との提言がありました。
ハッカを誇りに思う熱意は子どもたちにも浸透していく。
第2回は、寺川氏の発案による「高擶・実家プロジェクト」について検討しました。これは、会のメンバーと新興住宅地の住民がハッカを通じて交流し、地域外にも輪を広げようという取り組みです。
同会の長谷川氏からは「前回の提言を受けて取り組みを進めたところ、地元の小学生やその親たちに向けたイベントが実現でき、ハッカが地域に浸透しつつある」との報告が。一方で、「こうした活動は限られたメンバーで行っているため、もっと周囲を巻き込んで、地域内外と交流を広めたい」との声も上がりました。
ワークショップではプロジェクトを具体化するため、高擶ならではのメニュー開発に挑戦。ハッカ体験と芋煮会の組み合わせ、ハッカ・ツーリズム、ハッカ・ロード整備などのアイデアが飛びだしました。志賀氏は「ハッカありきだけでは活動は続かない。高擶には大いに価値があり、それを誇りに思う。そういう熱意がメニューを実現し、活動を広げていく。その時、高擶はほかの地域の人からも思いを寄せられる素敵なまちになるだろう」と総括しました。
参加者からひとこと
ハッカでできることは、もっと多い。
●高擶薄荷爽草の会 長谷川 喜久氏
ハッカに出会って、これは地域に絆をもたらすツールになると見込んで「ハッカから何をつくるか」ばかり考えていました。でも、まちづくり元気塾を通じて、より広い視野で考えるようになりました。「ハッカでできること」はもっとたくさんあるはず。ハッカを通じて、高擶のさまざまな方々と一緒に汗をかき、協働の精神でつながりを育てていきます。