第1回/ワークショップと発表
第三者の視点を持つ学生を迎えまちの魅力と課題を抽出。
2005年に青森県五所川原市と飛び地合併した旧市浦村地区で、まちの活性化に取り組む「なんでもかだるべし〜うら」。まちづくり元気塾では、それまで9年にわたる同団体の活動を見つめ直し、新たな一歩を踏みだすために議論しました。尚絅学院大学(宮城県名取市)の学生が参加したことにより、第三者の若者の視点から出された指摘や提案も多く、今後の取り組みへの期待がふくらみました。
第1回では、話題提供として菊池氏が岩手県遠野市の事例を紹介。まちづくりではひとつの小さな成功体験が大きな成功へと繋がる傾向があることや、伝統芸能のコミュニティなど心の繋がりが活動の原動力になることについてお話がありました。
中島氏がリードするワークショップには、尚絅学院大学の学生や教授も参加。@市浦の良いところ、A市浦の課題、Bこれからどのような地域になれば良いのか、これら3テーマについてワークショップと発表を実施。参加者からは「住民自身が誇れるまちにしたい」など、将来に向けての展望などが語られました。
第2回/研究発表
地元だから気付かない魅力も地元だからできるアイデアも。
第2回は、地元の方々の熱意を肌で感じたことをきっかけに、大学生たちが自ら調べた「市浦の魅力」についての研究発表から始まりました。地元の参加者からは「発表を聞いて、暮らしていると気付かない市浦の魅力や、市浦だからこそ実現できそうなアイデア、どちらも見えてきた」と感謝の声も。
発表を受けて中島氏は「まちづくりは、住民や行政をどうやって動かすかが大切。『共有』と『共感』がキーワード」とアドバイス。さらに菊池氏は「地域づくりの原動力は人であり、住民が地域の魅力を、誇りをもって後世に伝えていくことが重要になる」と述べました。
ワークショップでは「津軽豊年祭(地元の神社で農作物などの豊作を祝う祭礼)」への支援について、参加者全員で意見交換を行いました。すると、これまでのように準備や開催に関わるだけでは、活動が広がらないのではないかとの意見が。今後は地域の関係者と連携し、地域が一丸となって住民が誇れる祭りに育ててはどうか、といった意見も出され議論が白熱。「露店を出店して楽しく活動資金を得よう」「もっと子ども向けにシフトしよう」といったアイデアが次々と披露されました。
第3回/プレゼンテーション
地域の「近い将来像」をイメージし明快なコンセプトを与える。
第3回も、大学生の自主的なプレゼンテーションで始まりました。市浦の皆さんの力になりたい、との思いから考案した市浦の史跡や名所を巡るスタンプラリーを提案。QRコードなどを活用し、幅広い世代が楽しむことのできるアイデアには、ぜひ実現させたいとの声が上がりました。
ワークショップは、第2回で話題になった「津軽豊年祭」への住民参加のあり方を集中的に議論。参加者は積極的にそれぞれの思いを述べ、今後の活動イメージがまとまっていきました。
最後に、菊池氏は全3回の総括として「イベントや祭りはあくまで手段。開催までのプロセスや次に向けての反省が重要」とアドバイス。中島氏は、「人口減少や少子高齢化を踏まえて、地域の『近い将来像』をイメージしてみよう。そして実現するためのコンセプトや戦略を、現時点から明確にしていこう」と提案しました。
参加者からは「今後は外からの声も取り入れながら、住民自身の力で地域全体を盛り上げたい」という声も上がり、活動は新しいステージを迎えようとしています。
参加者からひとこと
市浦のアイデンティティとなる場を育てたい。
●なんでもかだるべし〜うら 柏谷 祐美子代表
まちづくり元気塾では、「津軽豊年祭」への関わり方を切り口にして、将来の市浦のために何をすべきかをたっぷり議論しました。自分たちの思いや活動がもっと地域の方々に伝わるよう、当団体のコンセプトを明確にしたいですね。市浦に関わる人たちのアイデンティティになるような「場」を、早く育てたいと思います。