第1回/現地視察と話題提供・ワークショップ
「元気な坂井をつくるワークショップ」
坂井の人・風土の根本は何か?ワークショップで掘りだそう。
新潟県胎内市の坂井地区では人口減少が進み、40歳以下の農業従事者はほぼゼロに。地区の再興を目指し、区長や農家組合長たちは地域おこし協力隊と共に坂井活性化実行委員会を立ち上げました。まちづくり元気塾では、棚田や里山を活かした観光客誘致や地域活性化の拠点、独自商品づくりに挑戦。都市部の学生を受け入れる里山インターンシップのインターン生や地元の新潟食料農業大学の学生も参画し、地区の皆さんとワークショップに取り組みました。
第1回は、志賀氏の講話でスタート。住民自らが地域の良さを見つけ、共有し、総力戦で未来に向かおうと訴えました。役重氏からは、坂井の人材や風土・文化は、何を根本にしているか把握しようとの提案も。
学生たちを交えて、ワークショップは活発に展開されました。坂井の「強み(長所)」と「弱み(課題)」を洗い出し、次に活性化のためのアイデアを抽出。さらに絞り込まれ@伝統菓子「傳次飴でんじあめ」の復活、A坂井越え(旧街道ルート)ウオークツアー、B地域の拠点施設「里の駅」づくり、C雪を楽しむ「楽雪」イベントと4つの有望テーマに整理されました。
第2回/現地視察とワークショップ
「元気な坂井をつくるワークショップ」
「拠点づくり」に狙いを定めアイデアをプランへ具体化。
第2回は、前回に整理した4テーマそれぞれの進捗状況の確認から。「傳次飴」の試作品が披露され、アイデアが徐々に形になり始めていました。各テーマを検討した結果、地域の拠点施設「里の駅」づくりを議論の中心に取り上げ、アイデアを具体化することに。さっそく現地視察を行って現況や周囲の環境を把握、ワークショップでより実現可能なプランの検討を行いました。
志賀氏からは、地域の拠点をより魅力的なものにするには、単に品物を販売する場所ではなく坂井の特色を見せる施設にする努力を忘れないよう助言が。役重氏は、選ばれなかったアイデアを捨てずにとっておけばいつか役に立つ。選ばれたアイデアも、どう使うか誰がいつやるのか、きちんと決めないと具体化できないと強調しました。
2日間に渡る議論から「里の駅」は、遊休施設を改修し、特産品や「傳次飴」の販売所、休憩スペースとして活用する方向に決定。施設の名称・外観のデザイン、トイレ・加工場の整備、開店スケジュール等も話し合われました。
第3回/状況報告とワークショップ
「第2回まちづくり元気塾以降の状況報告と楽雪イベントに向けた検討」
坂井の魅力をみんなが共有し自分たちの言葉で伝えよう。
「里の駅」は、第3回に先駆けてプレオープン。第2回以降、インターン生の尽力によりプランが一挙に具体化しました。名称は建物の持ち主の屋号から「いちべえ」に決まり、施設改修も着々と進行。茅葺き風の仕上がりは、坂井の皆さんにも大好評。プレオープンでの売り上げも、これまでの取り組みの中では最高額を記録しました。一方で、課題も一層明確に。売り上げはどこまで望めるのか、坂井らしさのある商品がないと固定客は確保できない、などの意見が第3回のワークショップで出されました。
役重氏はこれを受けて、コンセプトをしっかり固めてからスタートし、後から迷いや不安が生じても決してぶれないようにとアドバイス。志賀氏は、施設の目的やあり方を地域のみんなで共有し、訪れた方に向けて誰もが誇りを持って語れるようになってほしいと強調しました。
坂井地区などの山間集落と海側集落の子どもたちの交流を図るために企画された楽雪イベントについても具体化が進み、かまくら作りや竹スキー、雪合戦など、実施するプランの詳細な検討が行われました。
「地域の魅力とは、まず住む人が自ら楽しむもの。訪問者にはお裾分けしてあげるもの。坂井では雪の恵みである清水が棚田を潤すと考えて雪に感謝し、雪の楽しさを訪問者と共に味わおう」と志賀氏からエールが寄せられました。
参加者からひとこと
熱い思いとパワーと支援が一体に。
●坂井活性化実行委員会 坂上 良夫実行委員長
「里の駅 いちべえ」が動きだしました。坂井のみんなの思いと、集まってくれた若者のパワーと、まちづくり元気塾の支援が一体になったおかげです。でも、これからが肝心。持続的に成果を出すには、イベントも商品開発も情報発信も、もっと知恵を絞らなければ。これからも若者たちと連携しながら、自分たちでやれることを増やしていきたいですね。