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宮城県東松島市

有限責任事業組合まざ〜らいん

テーマ/特産物を活かし、交流人口を増やす元気な地域づくり

成熟したまちづくり活動をもう一度活性化し、
次世代へつないでいこう。

支援団体
まざ〜らいん、東松島市地域おこし協力隊の皆さん 他
まちづくりパートナー
菊池 新一氏(認定NPO法人遠野山・里・暮らしネットワーク会長 チーフパートナー)
宮原 博通氏(有限会社地域環境デザイン研究所所長)
東北電力株式会社
石巻営業所・石巻電力センター 所長 菅井 翼
開催場所
宮城県東松島市 小野上地区センター
チーフパートナーから/菊池 新一氏

モデルケースを作りあげたい。

まざ〜らいんは、既に10年以上活動を続けてきました。高齢者向けのお惣菜販売や、ピクルスなど独自商品の開発にも実績があります。しかし、まちづくりというものは10年も続ければメンバーもそれだけ歳をとり、閉塞感も出てきます。こういった「勤続疲労」は、いずれ日本中のまちづくり団体共通の課題になるでしょう。メンバーと共に、現状を打ち破るモデルケースを作りあげたいと思っています。

菊池 新一氏

第1回/事業視察と講話・ワークショップ
「たくましい地域をつくるために人はどう動くか」

300年後の子孫たちに笑顔を贈るための工夫を。

まざ〜らいんはメンバー全員が女性のグループ。東日本大震災で甚大な被害を受けた東松島市で、高齢者向けのお惣菜や地場産品を使ったピクルスなどの開発・販売を続けてきました。ところが、復興が進むにつれ、取り組みのあり方にも変化が求められるように。スタッフの高齢化もあり、将来ビジョンが不透明となってきました。まちづくり元気塾ではこれらの課題を受け、活動の再活性化と次世代への継承を図るため、計3回ワークショップを実施しました。

ワークショップには、東松島市の地域おこし協力隊メンバーや自治体職員など若者も多数参加。第1回では、女性主導で成功した活動事例を菊池氏が紹介し、メンバーに刺激を与えます。宮原氏は時代の変化に対して先手を打つには、長期的な視点が必要と指摘。地域のシンボルになっているお寺を300年後に修復するため、300本のケヤキを植えた取り組みが紹介されると、感嘆の声があがりました。参加者全員による意見交換では、地域にあるものや人材を活かすアイデアをピックアップ。これらをもとに、具体的なプラン構築を目指すこととなりました。

ワークショップでは、笑顔の宮原氏が議論を盛り上げしっかり着地点へと導く

第2回/ワークショップ
「具体的なプロジェクト選定に向けたワークショップ」

「らしさ」を忘れず、より具体的に地域に役立つ事業を考えよう。

第2回では、新しい活動のためのアイデアをさらに具体化するワークショップを実施。第1回で抽出されたアイデア群を@ものづくり、A生きがい・遊び場づくり、B暮らし環境の改善、の3テーマに分けて練り込み、より具体的なプランづくりを進めました。地域おこし協力隊員から若者ならではの斬新な意見も出され、議論は白熱。ものづくりの分野が最も有望とみなされました。地元産品の情報や各地の事例を参考に話し合う中で「乾燥機を用いたドライ商品」を軸に事業化を図ろうという機運が高まりました。

菊池氏から、事業化してもその土地らしさがないと魅力がない、まざ〜らいんの「らしさ」とは、女性ならでは母親ならではの視点だろう、というアドバイスが。宮原氏からは、新規事業は作り手と買い手と地域社会の三方にとって良いもの、すなわち「三方良し」を目指すべきとの指摘もありました。まざ〜らいん会員から、主婦が1日に2時間だけでも働けて、収入を得ながら仲間とおしゃべりも楽しめるような環境を築きたいという意見が出るなど、新しい事業が徐々に形を整えはじめました。

ここがポイントだよね?そうだっけ?意見交換しながらアイデアをふくらませる

第3回/事業視察と講話・ワークショップ
「実施プロジェクトの決定と具体的な
実施方法策定に向けたワークショップ」

新たな活動情報を発信し「共鳴者」を増やしながら進もう。

第3回では、地域社会への貢献を念頭に、新規事業とスケジュールを実施レベルまで考えるワークショップを行いました。宮原氏は地域にあるもの、地域に根付いているものや人を活かすほど、無理のないまちづくりが実現すると指摘。パートナーたちも参加して議論を重ねた結果、地域内に自生するヨモギなどを素材に、社会的ニーズの高い「健康」をテーマにした商品開発・販売チャンネルの強化が最優先されることに。最終的には、新規事業の広がりによって住民が健康になり、東松島が健康に良い地域として評価され、交流人口や移住者が増えていくことを目指します。素材に加えて、施設や設備も既に地域にある乾燥機や遊休施設を活用するなど、具体的で無理のないプランができあがりました。

菊池氏は、これらのプランをリスクの小さいすばらしいものであり、あとは商品開発の詳細を詰めるだけ、と高く評価しました。宮原氏は、事業化を速やかに推し進めるには、さらに多くの人を巻き込むための情報発信が必要と指摘。SNSなどを通じた外部への展開も大切だが、むしろ地域の高齢者や小学生と畑仕事などの共同作業を通じてウィンウィンの関係を築き、地域の中に「共鳴者」を増やすことを考えてほしいと強調しました。最後に参加者に向け菊池、宮原両氏が今後も見守り続けることを伝えて、全3回が終了しました。

斬新なアイデアや大胆な意見が発表されると大きな拍手や笑いがわき起こる場面も

参加者からひとこと

やるべきことが見えてきた。

●有限責任事業組合まざ〜らいん 三浦 美和子会長
東日本大震災を挟んで10年以上活動してきました。近年は手応えがある反面、長く続いた活動の今後に不安を感じていました。でも今回、地域おこし協力隊や自治体の若手と一緒に考えたり笑ったりしたら、身の周りにもたくさんのチャンスがあるとわかってきて。やるべきことが具体的に見えてきました。新事業プランは、どんどん進めていくつもりです。

有限責任事業組合まざ〜らいん 三浦 美和子会長