第1回/現地視察とグループワーク
「勝常地区のために自由に使える100万円があったら、どうするか?」
いろいろな立場の地区住民が思いを共有できるようにしよう。
会津盆地の中心に位置し、会津地方随一の米どころとして有名な湯川村。勝常区環境保全会は、農業活動を通じて地域づくりに取り組んできました。まちづくり元気塾では、村のシンボルであり、国宝の仏像3体を有する「勝常寺」を中心としたまちづくりについて、議論を行いました。
第1回の冒頭、橋立氏と寺川氏は、まず「まちづくり」は地区の個性や魅力を伝える「総力戦」が必要と指摘。農家のみならず、いろいろな立場の住民がひとつになって地区の魅力は何かを考え、「協働作業」でできる人ができることから始めようと力説されました。
ワークショップでは「勝常地区のために自由に使える100万円があったら、どうするか?」というユニークな設問が。参加者からユニークな意見が次々と出される一方、ワークショップ後半で女性メンバーも合流。地区の行事や伝統料理などについて、女性目線の情報も寄せられました。活発な話し合いは@景観整備(勝常寺参道の黒板塀化など)、Aイベント・ツアー開発(地元産の新米をふるまう祭りなど)、B生活環境向上(集落内にある店舗の共同売店化など)の3テーマでプロジェクトを進める方向にまとまりました。
第2回/ワークショップ
「プロジェクト案の絞り込みと実施に向けた具体的検討」
女性の参画で伝統料理が復活 新たな風が地区に吹き始める。
勝常地区には勝常寺の祭祀に関わるさまざまな行事や芸能、おもてなしの文化が伝わってきました。第2回ではこうした地区の伝統・風土の中から将来に向けてのヒントを見つけるため、ワークショップを実施。また前回の意見をもとに、女性メンバーが勝常地区の伝統的なおもてなし料理を再現、試食会を行いました。
ワークショップで年間行事について情報交換した際「豊作祈願祭は毎年行っているが、収穫への感謝・御礼はしていない」との気づきが。それまで「新米をふるまう祭り」として模索してきたイベントを、勝常寺とご本尊の薬師如来のご加護への感謝を表す「勝常収穫感謝祭(以下感謝祭)」として具体化することとなりました。
また、試食会でのおもてなし料理は大好評で、地区の方から「懐かしい味と再会できた」などといった声も。その結果、感謝祭でお客さまに提供する方向で調整が始まりました。
これらの取り組みは、勝常地区に住む一人ひとりが共有できるよう会報で周知され、感謝祭に向け、地区全体が動きだしました。
第3回/ワークショップ
「勝常収穫感謝祭の振り返りと勝常地区のこれからのまちづくりに向けて」
勝常地区らしさに磨きをかけ人・暮らし・祭りを新たな宝に。
第3回は感謝祭終了直後に実施。勝常寺の特別御開帳や地元産新米の販売、伝統料理おふるまいなどを視察したパートナーと、勝常地区の皆さんで意見交換を行いました。
岡ア氏は、伝統料理を提供した女性陣を讃え、勝常地区にはおもてなしの底力があると評価。運営にあたった方からは「勝常寺が特別に御開帳してくれ、改めて深いつながりを実感した」「子どもも年寄りも同じ目標に向かう機会が持てた」など、喜びの声が上がりました。一方で「高齢者の誘導や広報など、やってみてわかった課題も多い」という反省も。寺川氏は、みんなでコミュニケーションを深めればすぐ改善できるはず、とエールを贈りました。
翌日、寺川氏からは、より勝常地区らしさを磨くことが重要との指摘が。橋立氏は、若い世代の巻き込みと、地区住民をつなぎ合わせるような「小さなビジネス」が有効と提言しました。
これらを踏まえて、@勝常地区らしい景観整備、A健康をテーマにした情報発信・商品開発、B農業高校・大学との連携、C茶屋兼よろず屋の「協働」経営などを進めることに。勝常寺という存在を活かしながら、勝常地区ならではの人や風土を新たな宝物に育てていくことを全員で確認しました。
参加者からひとこと
いままでなかったものが生まれた。
●勝常区環境保全会 兼子 光右前代表
まちづくり元気塾を契機に「勝常収穫感謝祭」が誕生。準備はたいへんでしたが、大勢の方が来てくれました。勝常地区がこれほど一体となったイベントは、いままでなかったはず。特に女性陣の貢献に助けられました。自分たちでやり切ったという感動は、地区の中に新たなノウハウと誇り、何よりコミュニケーションを生み出してくれたと思います。