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宮城県登米とめ

とよま絆の会

テーマ/地域資源を活用した交流人口拡大につながるまちづくり

勢の方々が訪れるまちには「魅力的な暮らし」を実践する人が。

明治期の洋風建築や北上川が織りなす自然を活かしながら、交流人口の拡大と地域の活性化を目指し、旧登米町とよままち地区で活動するとよま絆の会。メンバーたちは、2005年の9町合併による登米市とめし の誕生以来、旧登米町地区の豊かな歴史的経緯や固有の文化が薄まるのを感じていました。そこで、改めて旧登米町地区の魅力を掘り起こし、将来に向けた活動の方向性を探る取り組みを進めることになりました。

支援団体
とよま絆の会の皆さん、登米市登米町の皆さん 他
まちづくりパートナー
志賀 秀一氏((株)東北地域環境研究室 代表/チーフパートナー)
米田 誠司氏(愛媛大学 法文学部 准教授/第2回、第3回)
東北電力株式会社
栗原登米営業所(現:宮城県北営業所)
所長 角田 裕彦(当時)(〜2017年6月)
所長 大高 和史(当時)(2017年7月〜2018年6月)
開催場所
宮城県登米市 登米公民館
方向性の模索チーフパートナー/志賀 秀一氏

「住んで良し、訪れて良し」のまちに。

住んでいる人が「ここに住んでいて良かった」と思えるまちでなければ、誰もやって来ません。反対に、よそから大勢の方々が訪れるまちには「魅力的な暮らし」を実践する人が必ずいるもの。人づくりを通して「住んで良し、訪れて良し」のまちを育てましょう。

志賀 秀一氏
参加者の心に響くよう、熱く語りかける志賀氏

第1回/話題提供とワークショップ
「登米町の魅力を再確認」

「観光まちづくり」の視点から、登米を見直そう。

初日前半は「観光まちづくり」の視点から、志賀氏自身が関わった山形県山形市の山寺(立石寺)、大分県竹田市や由布市などの事例を紹介。後半から2日目にかけて、ワークショップを行いました。

まちづくりパートナーからの話題提供

志賀氏から由布院温泉(大分県由布市)を訪れた際に、観光関係者だけでなく農家の方も挨拶してくれるので驚いた、というエピソードを紹介。これは「地域の人たちに『観光客によって生かされている』という思いが共有されているから」と分析し、「まちの人たちが仲間意識をもち、それをどれだけ『おもてなしの力』にできるかが大切」とアドバイスしました。

ワークショップ「元気なまちをつくるために」
地域を改めて見直すため、登米町の「強み(プラス面)」と「弱み(マイナス面)」を参加者一人ひとりが付箋に書き込み抽出。それらをグループごとに「食」「人」「環境」などに分類・整理し、発表を通じて参加者で共有しました。
【登米の「強み」と「弱み」】
発表内容から(抜粋)
「強み」
北上川、栗駒山の風景/野鳥など生態系/米、うなぎ、油麩、はっと(地域の伝統食)/歴史・文化を大切に守る町民性/東京駅にも使われたスレート(玄昌石)/旧水沢県庁/カッパマラソン/高齢者の人的資源/何かやりたい若者/コンパクトなまち/安心・安全(事故・犯罪が少ない)
「弱み」
メダカやホタルの減少/街並み・景観の統一感が乏しい/町民性が「笛吹けど踊らず」/殿さま商売/子どもが少なく、さびしい/空き家、空き地が多い/若い人の働く場が少ない/未婚者が多い/一人暮らしの老人世帯が多い/憩いの場、公園が少ない/観光客のリピートが少ない

ワークショップまとめ/志賀 秀一氏

東京駅の屋根に、登米町のスレート(石)が使われていると知って驚きました。こういった話はもっと外へ発信するべきです。地域の持っている魅力を上手に伝えられるよう「おもてなしの力」を高めていきましょう。

意見を出し合いながら「登米の魅力」を整理する参加者

第2回/話題提供とワークショップ
「『とよま』をどんなまちにしたいか」

「観光まちづくり」は、ふたつの視点から考える。

第2回は米田氏による話題提供で始まり、その後にワークショップを実施。登米町の今後について、2日間にわたって議論を展開しました。

米田氏の話に聞き入る参加者

まちづくりパートナーからの話題提供

米田氏は、自身が関わった由布院温泉での取り組みを例に「観光まちづくり」について考えるヒントを紹介。特に「観光」を「観光する側」と「観光客を受け入れる側」ふたつの視点で捉え、行きすぎた観光開発で地域本来の魅力が損なわれないよう配慮してほしい、と強調しました。

ワークショップ
登米町の「強み」と「弱み」や、米田氏が伝えた観光への視点をもとに、「今後の登米町をどうしたいか」をテーマに議論。参加者がそれぞれ意見を出し合い、グループごとにとりまとめと発表を行いました。
【参加者の意見】
発表内容から(抜粋)
歴史的建造物と自然の融合したまち(景観の統一性など)
登米町出身者とつながるため「とよま応援隊」結成
インバウンド誘客に「北上川」の文化や自然をアピール
小中高一貫教育校や大学の誘致による若者人口の増加、映画撮影の誘致による地域活性化

【POINT】まちづくりパートナーより

若者には地域で「働く経験」を、子どもたちには地域の「学び」を。/米田 誠司氏
若者たちに、地域で働く経験を与えてほしい。彼らはなんでもSNSで発信してくれます。すると、興味を持った若者が集まってきます。また、地域のことをよく学んだ子どもほど、大人になってから地域に帰ってきます。子どもたちと一緒に、地域を学ぶ手法も考えましょう。

事例をさまざまな視点から分析・紹介する米田氏

第3回/話題提供とワークショップ
「『とよま』活性化戦略を考える」

町民が自ら支える組織こそが本物の組織。

第3回では志賀氏と米田氏による観光に関する話題提供と、今後の活動に向けたワークショップを実施しました。

志賀氏も加わりアイデアをじっくり吟味

まちづくりパートナーからの話題提供

志賀氏は「地域の魅力は人に行き着く」と題して話題を提供しました。「地域の観光を持続的に発展させるためにはリピーターが不可欠。リピーターを増やすのは、地域に住む人の魅力に尽きる」と力説。米田氏は「観光をめぐる最近の動き」をテーマに、近年の観光業界の変化を紹介。国が推進する「日本版DMO」をはじめ、インバウンド対応や海外とのネットワークづくり、歴史まちづくりについて最新情報が紹介されました。

ワークショップ

これまでの成果をもとに、志賀氏らが絞り込んだテーマについてグループごとにアイデアを出し、検討しました。最終的に「2018年度の春から実施できそうなもの」を選び、全3回を締め括りました。

「とよまを活性化するための3つのテーマ」と「実現のためのアイデア」
発表内容から(抜粋)
@テーマ/【歴史文化を大切にするまち】
アイデア/取り組みやグループをつなぐコーディネーター起用
Aテーマ/【自然景観・街並みと文化施設を大切にするまち】
アイデア/地元の人たちが地元について学ぶ場をつくる
Bテーマ/【女性と若者が輝くまち(人を大切にするまち)】
アイデア/大学生や有名ブロガーを登米に招き、女性や若者向けの情報をSNSで発信
「2018年度の春から実施できそうなもの」
発表内容から(抜粋)
  • NPO法人とよまGJ(GJは元気塾の意)を設立、別々に活動する個人・グループをまとめる
  • 空き地や空き家を「よそ者」や学生らの交流スペースにして景観を保つ
  • 移住を促進する「空き家マッチング組織」づくり

ワークショップまとめ/米田 誠司氏

地域で新しい組織づくりを目指す時、悩ましいのは出資に関わる話。でも、町民が自ら支えている組織こそが本物の組織だと思います。ぜひ自分たちの力、まちの底力で実現してほしい。

【気づき】参加者からひとこと

「集まったアイデアを、アクションにつなげたい。」

●とよま絆の会 佐々木 康明代表
「とよま」がどんなまちになれば良いのか。何が起爆剤になるのか。先進事例から何を学べば良いのか。まちづくりパートナーに支えられて、地域の皆さんからたくさんの意見やアイデアが集まりました。それらを活かし、アクションにつなげていこうと思います。

とよま絆の会 佐々木 康明代表

Afterword

■まとめ/チーフパートナーからのメッセージ

まちづくりの先進地域であっても、インバウンドの増加などにより大きな変化が訪れています。もとより地域は変化するもの。ダーウィンの進化論と同じ。時代に対応しないと生き残れません。それには、地域への強い思いを持った人の行動が鍵になります。(志賀 秀一氏)

■ひとこと/東北電力より

熱意が実を結び、花が咲きますように
登米町は、歴史的景観と自然が調和する美しいまちであるのみならず、まちの未来に向け、希望と熱意を持った方々が住むまちです。思いが実を結び、花が咲きますよう、私たちもサポートを続けます。
(栗原登米営業所 現:宮城県北営業所 所長 大高 和史)

※本文中に記載の役職等は、当時のものです。