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集合研修型まちづくり元気塾

「マスターコース2017」

集合研修型まちづくり元気塾「マスターコース2017」ではこれまで支援してきたまちづくり団体などが集い
まちづくり元気塾以降の現況等について話し合われました。

まちづくりは、山あり谷あり。
知恵と工夫を出し合い、乗り越えよう。

東北6県と新潟県でまちづくりに取り組む皆さんと、8名のまちづくりパートナーらが福島県に集結。先進地への訪問、全員参加による討論会を通じて、日頃の悩みを共有しながら、新たな気づきやネットワークの形成を目指しました。

まちづくりパートナー
岡ア 昌之氏(法政大学 名誉教授)
志賀 秀一氏((株)東北地域環境研究室 代表)
橋立 達夫氏(作新学院大学 名誉教授)
柳井 雅也氏(東北学院大学 教養学部 教授)
菊池 新一氏(認定NPO 法人遠野山・里・暮らしネットワーク 会長)
寺川 重俊氏((有)寺川ムラまち研究所 代表取締役)
役重 眞喜子氏(花巻市コミュニティアドバイザー)
本田 節氏((有)ひまわり亭 代表取締役)
参加団体
農事組合法人湯の郷(岩手県花巻市、2017年度支援団体)
NPO 法人あなたの街の三河やさん(宮城県仙台市、2017年度応募団体)
小菅野代自治会(山形県鶴岡市、2017年度応募団体)
柳橋町内会(柳橋きらり塾けやき亭)(福島県郡山市、2016年度支援団体)
明和自治振興会(福島県南会津郡只見町、2014年度支援団体)
城下町高田花ロード実行委員会(新潟県上越市、2017年度支援団体)
以上6 団体20名
方向性の模索まちづくりパートナー(アドバイザリーボード座長)/ 岡ア 昌之氏

同じ悩みを持つ仲間と交流しそれが課題解決の糸口に。

まちづくりは山あり谷あり。ひとつ解決しても、またひとつ課題が現れるもの。他の地域には、同じような悩みを抱え、克服した方々がいるかもしれません。集合研修型の「マスターコース」は、お互いの知恵と工夫を引きだす絶好のチャンス。われわれまちづくりパートナーも2日間寄り添い、皆さんとさまざま、意見交換をしてまいりたいと思います。

岡ア 昌之氏
マスターコースの目的・意義を参加者に説明する岡ア氏

1日目/現地視察
@郡山市 柳橋町内会・舞の里 けやき亭

農家レストランの実現から生じる「壁」と「可能性」。

参加者とパートナーはJR郡山駅前に集まり、大型バスに乗りこみ出発。車内で岡ア氏より挨拶及び今回の開催趣旨について説明され、「マスターコース2017」が始まりました。

視察 柳橋町内会・舞の里けやき亭

最初に訪れたのは、柳橋町内会が活動拠点とする郡山市中田町の「柳橋歌舞伎伝承館 黒石荘」。柳橋町内会は2016年度の支援団体で、まちづくり元気塾で学んだノウハウを活かし、支援終了後の2017年5月に農家レストラン「舞の里 けやき亭」をオープンさせました。

支援時のエピソードや農家レストラン開業に到るまでの経緯を紹介いただいた後、地域の食材を活かした料理がふるまわれました。パートナーや参加者たちが料理を味わいながら、素材や量などについて店のスタッフと意見を交わす様子も見られました。

支援時にチーフパートナーを務めた橋立氏は、スピーディーに夢を実現した柳橋町内会の皆さんに対して、「これからが本番。次々と壁のように現れる課題をクリアしながら、農家レストランが地域の皆さんにとっても魅力的で、価値ある拠点になっていく工夫も必要です」とアドバイス。技術指導だけでなく心の支えにもなってくれた本田氏に柳橋町内会メンバーから花束贈呈のサプライズも。その後、一行は「舞の里 けやき亭」内を見学し、次の視察先へ向かいました。

【POINT】まちづくりパートナーより

奇跡じゃない。発揮されたのは本来の力。/本田 節氏
柳橋地区では支援開始からわずか1年ほどで、農家レストラン開業にこぎ着けました。奇跡的ともいえるスピードは、偶然生まれたのではありません。長年にわたり伝統歌舞伎が育んできた人と人との絆、豊かな地域資源、がんばる女性陣、支える男性陣。それらが一体となり、地域が本来持っていた力が発揮された結果です。

本田氏(中央)を囲む「舞の里 けやき亭」の面々

1日目/現地視察
A喜多方市 小土山活性化実行委員会

地域の財産を、都市部との交流を通して見つめ直す。

喜多方市の小土山地区は戸数20戸、住民数は60名ほど。美しい棚田や溜め池、標高508.8mの「日本で2番目に高い」富士山があり、陣屋跡をはじめ史跡も残されています。現地視察では小土山活性化実行委員会の委員長を務める橋谷田弘由氏が棚田を案内。地区の集会場で近年の取り組みについて話を伺いました。

商品開発や農泊関連などについて熱のこもった議論も

学生との交流や都市への出張販売での「気づき」

「抗いきれない人口減少に対して、何をしたら良いのか。それどころか、地元の特長や特産が何かすら、わかっていなかった」と橋谷田氏。東京の大学生との交流プログラムや、都市へのお米の出張販売などから、徐々に小土山の風土と産品には大きな魅力があることを確信することに。現在は「棚田ウォーク」などで都市部との人的な交流を深め、特産品の浸透にも努めています。意見交換も活発に行われ、岡ア氏や菊池氏からは農泊事業を絡めた展開についてのアドバイスも。

2日目/現地視察
B湯川村 道の駅あいづ 湯川・会津坂下

地域と連携して、はじめて「道の駅」は成功する。

2日目は、まず「会津のへそ」といわれる湯川村で2012年10月に開業した「道の駅あいづ 湯川・会津坂下」を視察。同駅長の神田武宜氏(当時)の案内で店舗やレストランを見学した後、神田氏から開設の経緯や運営についてお話を聞きました。

店内に施された工夫やアイデアを説明する神田氏

買い物だけでなく、地域のくらし全般を支援する「駅」に

神田氏は「地域連携とは、産品を地元から仕入れることだけではないと思います。買い物に来る方とも、近くで商売をされる方とも、協業していくことです」と、開業以来着実に伸びる売り上げの秘訣を述べられました。たとえば、湯川村近隣から会津若松市へ通院する方のために診療予約端末を設置したり、地元のパン屋さんと連携したフェア開催、文化人グループとタッグを組んでコンサートやカルチャー教室をシリーズ化するなどの取り組みが有効だったとの具体策があげられました。

「地域の方にとって『第2のリビングルーム』を目指しています。常連さんに、どこに行くより、ここに来るのが楽しい、といわれた時はとてもうれしかったですね」と微笑む神田氏に、参加者もパートナーも興味をそそられた様子。熱心に質問していました。

2日目/討論会
全員参加による元気塾会議

神田氏のお話に続いて討論会を開催。「共感・共有・共同」をキーワードに、岡ア氏の進行により各団体がそれぞれ抱える課題について発表。他団体の皆さんやまちづくりパートナーが意見を交換しながら解決策を模索しました。

参加者もパートナーも同じ目線で討議を重ねる

「全員参加による元気塾会議」でのコメントから

●城下町高田花ロード実行委員会(2017年度支援団体)/熊田 和子氏
花ロードというイベントを20年続けてきました。運営スタイルも市民の関わり方も変わってきていますが、主催側としては大いなるマンネリに陥った感があります。

●岡ア氏コメント
日本でマンネリは良いイメージではありませんが、元々は英語のマナーが語源。上越高田には、城下町としての歴史とマナーが息づいています。さらに20年かけて「花ロードのあるまち、花のまちとしてのマナー」を創出してはどうでしょう。

●明和自治振興会(2014年度支援団体)/馬場 敏行氏
まちづくり元気塾に支援していただいてから、若手による米の焼酎づくりなどさまざまな取り組みが進んでいます。ただ、行政と住民の中間という位置付けのため、会として今後どういう方向に進むべきか苦慮しています。

●役重氏コメント
明和自治振興会のように、集落レベルと行政(町全域)の中間に位置する広域のコミュニティは、全国的にも立ち位置に苦労する傾向があります。しかし、明和で鍛えられた行政職員が役場で活躍してくれることは地域とのつながりも強め、地域の声と行政の支援、両方を生かして地域づくりを進められる可能性も大きいと思います。

2日目/現地視察
C湯川村 勝常寺

勝常寺で国宝の薬師如来を見学。

平安時代創建の古刹を訪問し、全行程を終了

討論会終了後、会場の近くに位置している地域資源を視察するため、平安時代初期に開山したと伝えられる勝常寺へ。国宝の木造薬師如来像および日光菩薩立像、月光菩薩立像や国の重要文化財である6体の木造菩薩像を見学して「マスターコース2017」は全行程を終了。参加者、パートナーらが名残りを惜しむ中、解散となりました。

2日間、一行をリードした岡ア氏

【気づき】参加者からひとこと(お寄せいただいた感想から)

●まちづくりに関する悩みを、他の地域の皆さんと共有できた。お互いの取り組みを参考にしながら、今後も連携していきたい。

●支援期間が終了した後には心配もあったが、改めてパートナーの先生にアドバイスをいただき、自信がよみがえった。

※本文中に記載の役職等は、当時のものです。