1日目/現地視察
@郡山市 柳橋町内会・舞の里 けやき亭
農家レストランの実現から生じる「壁」と「可能性」。
参加者とパートナーはJR郡山駅前に集まり、大型バスに乗りこみ出発。車内で岡ア氏より挨拶及び今回の開催趣旨について説明され、「マスターコース2017」が始まりました。
視察 柳橋町内会・舞の里けやき亭
最初に訪れたのは、柳橋町内会が活動拠点とする郡山市中田町の「柳橋歌舞伎伝承館 黒石荘」。柳橋町内会は2016年度の支援団体で、まちづくり元気塾で学んだノウハウを活かし、支援終了後の2017年5月に農家レストラン「舞の里 けやき亭」をオープンさせました。
支援時のエピソードや農家レストラン開業に到るまでの経緯を紹介いただいた後、地域の食材を活かした料理がふるまわれました。パートナーや参加者たちが料理を味わいながら、素材や量などについて店のスタッフと意見を交わす様子も見られました。
支援時にチーフパートナーを務めた橋立氏は、スピーディーに夢を実現した柳橋町内会の皆さんに対して、「これからが本番。次々と壁のように現れる課題をクリアしながら、農家レストランが地域の皆さんにとっても魅力的で、価値ある拠点になっていく工夫も必要です」とアドバイス。技術指導だけでなく心の支えにもなってくれた本田氏に柳橋町内会メンバーから花束贈呈のサプライズも。その後、一行は「舞の里 けやき亭」内を見学し、次の視察先へ向かいました。
【POINT】まちづくりパートナーより
奇跡じゃない。発揮されたのは本来の力。/本田 節氏
柳橋地区では支援開始からわずか1年ほどで、農家レストラン開業にこぎ着けました。奇跡的ともいえるスピードは、偶然生まれたのではありません。長年にわたり伝統歌舞伎が育んできた人と人との絆、豊かな地域資源、がんばる女性陣、支える男性陣。それらが一体となり、地域が本来持っていた力が発揮された結果です。
1日目/現地視察
A喜多方市 小土山活性化実行委員会
地域の財産を、都市部との交流を通して見つめ直す。
喜多方市の小土山地区は戸数20戸、住民数は60名ほど。美しい棚田や溜め池、標高508.8mの「日本で2番目に高い」富士山があり、陣屋跡をはじめ史跡も残されています。現地視察では小土山活性化実行委員会の委員長を務める橋谷田弘由氏が棚田を案内。地区の集会場で近年の取り組みについて話を伺いました。
学生との交流や都市への出張販売での「気づき」
「抗いきれない人口減少に対して、何をしたら良いのか。それどころか、地元の特長や特産が何かすら、わかっていなかった」と橋谷田氏。東京の大学生との交流プログラムや、都市へのお米の出張販売などから、徐々に小土山の風土と産品には大きな魅力があることを確信することに。現在は「棚田ウォーク」などで都市部との人的な交流を深め、特産品の浸透にも努めています。意見交換も活発に行われ、岡ア氏や菊池氏からは農泊事業を絡めた展開についてのアドバイスも。
2日目/現地視察
B湯川村 道の駅あいづ 湯川・会津坂下
地域と連携して、はじめて「道の駅」は成功する。
2日目は、まず「会津のへそ」といわれる湯川村で2012年10月に開業した「道の駅あいづ 湯川・会津坂下」を視察。同駅長の神田武宜氏(当時)の案内で店舗やレストランを見学した後、神田氏から開設の経緯や運営についてお話を聞きました。
買い物だけでなく、地域のくらし全般を支援する「駅」に
神田氏は「地域連携とは、産品を地元から仕入れることだけではないと思います。買い物に来る方とも、近くで商売をされる方とも、協業していくことです」と、開業以来着実に伸びる売り上げの秘訣を述べられました。たとえば、湯川村近隣から会津若松市へ通院する方のために診療予約端末を設置したり、地元のパン屋さんと連携したフェア開催、文化人グループとタッグを組んでコンサートやカルチャー教室をシリーズ化するなどの取り組みが有効だったとの具体策があげられました。
「地域の方にとって『第2のリビングルーム』を目指しています。常連さんに、どこに行くより、ここに来るのが楽しい、といわれた時はとてもうれしかったですね」と微笑む神田氏に、参加者もパートナーも興味をそそられた様子。熱心に質問していました。
2日目/討論会
全員参加による元気塾会議
神田氏のお話に続いて討論会を開催。「共感・共有・共同」をキーワードに、岡ア氏の進行により各団体がそれぞれ抱える課題について発表。他団体の皆さんやまちづくりパートナーが意見を交換しながら解決策を模索しました。
「全員参加による元気塾会議」でのコメントから
●城下町高田花ロード実行委員会(2017年度支援団体)/熊田
和子氏
花ロードというイベントを20年続けてきました。運営スタイルも市民の関わり方も変わってきていますが、主催側としては大いなるマンネリに陥った感があります。
●岡ア氏コメント
日本でマンネリは良いイメージではありませんが、元々は英語のマナーが語源。上越高田には、城下町としての歴史とマナーが息づいています。さらに20年かけて「花ロードのあるまち、花のまちとしてのマナー」を創出してはどうでしょう。
●明和自治振興会(2014年度支援団体)/馬場 敏行氏
まちづくり元気塾に支援していただいてから、若手による米の焼酎づくりなどさまざまな取り組みが進んでいます。ただ、行政と住民の中間という位置付けのため、会として今後どういう方向に進むべきか苦慮しています。
●役重氏コメント
明和自治振興会のように、集落レベルと行政(町全域)の中間に位置する広域のコミュニティは、全国的にも立ち位置に苦労する傾向があります。しかし、明和で鍛えられた行政職員が役場で活躍してくれることは地域とのつながりも強め、地域の声と行政の支援、両方を生かして地域づくりを進められる可能性も大きいと思います。
2日目/現地視察
C湯川村 勝常寺
勝常寺で国宝の薬師如来を見学。
平安時代創建の古刹を訪問し、全行程を終了
討論会終了後、会場の近くに位置している地域資源を視察するため、平安時代初期に開山したと伝えられる勝常寺へ。国宝の木造薬師如来像および日光菩薩立像、月光菩薩立像や国の重要文化財である6体の木造菩薩像を見学して「マスターコース2017」は全行程を終了。参加者、パートナーらが名残りを惜しむ中、解散となりました。
※本文中に記載の役職等は、当時のものです。
【気づき】参加者からひとこと(お寄せいただいた感想から)
●まちづくりに関する悩みを、他の地域の皆さんと共有できた。お互いの取り組みを参考にしながら、今後も連携していきたい。
●支援期間が終了した後には心配もあったが、改めてパートナーの先生にアドバイスをいただき、自信がよみがえった。