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秋田県藤里町

特定非営利活動法人 ふじさと元気塾

テーマ/共助の考えを生かして大学生と一緒に地域を支える仕組みづくり

地元にどんな人がいて、何ができるのか?
それを知ることからはじめよう。

秋田県内で最も人口減少が進む藤里町。ふじさと元気塾は、高齢化に悩む住民を元気にするため、共助組織の立ち上げ支援や棚田の保全などに取り組んできました。大学生グループとの連携を機に、藤里町粕毛地区の活力創出を目指しています。

支援団体
特定非営利活動法人ふじさと元気塾の皆さん、
藤里町粕毛地区の皆さん、
学生グループ ARC(アーク)※ の皆さん 他
※ARC(アーク)は秋田県内にある大学の横断型組織で、地域貢献と地域交流を目的とした学生の団体。ARCはAkita Region Contribution(秋田で地域貢献)の略称です。
まちづくりパートナー
菊池 新一氏(認定NPO法人遠野山・里・暮らしネットワーク会長/チーフパートナー)
岡ア 昌之氏(法政大学 名誉教授)
高峰 博保氏((株)ぶなの森 代表取締役社長/第1回)
役重 眞喜子氏(花巻市コミュニティアドバイザー)
東北電力株式会社
能代営業所(現:秋田県北営業所)所長 田中 康之(当時)(2016年〜2017年6月)
開催場所
秋田県山本郡藤里町 粕毛交流センター
方向性の模索チーフパートナー/菊池 新一氏

人こそ、まちの宝。

中山間地域でのまちおこしは、しばしば「ここでは誰も協力しないよ」という声にぶつかります。そこで活動が止まることも。その点、藤里の皆さんは前向きで仲も良い。学生たちの協力もあります。「人こそ、まちの宝」という視点で、チャレンジしたいと思います。

菊池 新一氏
力強くまちづくりを説く菊池氏

第1回/話題提供とワークショップ
「もう一度、藤里町を知ろう」

プラス面とマイナス面、両方を踏まえて「夢」を語ろう。

前半は、パートナーの4名がまちづくりの先進事例や、取り組みの手法について話題を提供。後半では、地域を改めて見直すためのワークショップを行いました。

話題提供

地域活性化について、参加したパートナーがそれぞれの経験や考えるヒントを提供しました。他にない地域資源の掘りおこしや、人的ネットワークの大切さも強調。高峰氏からは、地区にどんな人がいて何ができるのか把握して、様々な企画が立てられるよう「人のデータベース」を作ろう、とのアドバイスがありました。

ワークショップ 菊池 新一氏

地域の皆さんと学生たちで6つのグループを編成。グループごとに藤里町の「プラス面」と「マイナス面」を抽出し、議論しながら整理しました。その上で、菊池氏がプラス面とマイナス面の両方を踏まえ、これから藤里で実現させたい「夢」を最低7つ提案し、共有するよう指示。まとめられた「夢」は発表され、参加者一同の共有を図りました。

ワークショップのまとめ
発表内容から(抜粋)
藤里町の「プラス面」
川や滝、木々がきれい/人が少なくてコンパクトな町/お裾分けの習慣/棚田を守るお年寄り/鮎、ブラックベリー、木いちごなど美味しいものが多い
藤里町の「マイナス面」
良いところを地元の人が知らない/店舗やお年寄りの居場所が少ない/荒れた田畑が目立つ/道に人がいない/若さが足りない
藤里町の「夢語り」
白神山地グリーンツーリズムの拠点づくり/大人の遠足イベント/昔ながらの遊びや踊りを子どもに伝授/藤里町の美味いものでコース料理/レンタサイクルで広い町域を回る/空き家をリノベーションして学生の活動拠点に

【POINT】まちづくりパートナーより

「女性の「横のつながり」が、まちづくりを進める。」/役重 眞喜子氏
一般的に、男性は「問題を解決する」のが好き。縦のつながりを大事にします。女性は「問題を共有する」のを好み、横のつながりを上手に利用します。まちづくりを進める時、女性の「連携する力」を活かせるかどうかは重要なポイントです。

住民といっしょに「夢」について考える役重氏

第2回/現地調査とワークショップ
「地域の価値を再発見! 粕毛地区のお宝マップを作ろう」

若者の視点でお宝を見つけ、地域の皆で共有したい。

前回のまとめを踏まえて、粕毛地区の人材や地域資源が一覧できる「お宝マップ」作成を目指しました。初日前半では、参加者と学生たちが現地調査を実施。後半から2日目にかけて、調査結果をマップにまとめました。

地区の方々は快く調査に応じてくださった

現地調査 菊池 新一氏

参加者と学生、パートナーの混成により3つの調査グループを編成し、地区内の家々を訪問。ARCの学生たちが中心になり、自然や食べ物、名所旧跡や祭事、ユニークな人材などについて聞き取り形式で調査しました。

ワークショップ 菊池 新一氏

グループごとに、聞き取り内容を付箋に記入。調査時に撮影した画像と共に、粕毛地区のマップに貼りこむ作業を行いました。調査のボリュームが大きかったため、所定時間内に作業が完了した分のみ全体に発表。未完成の部分は後日仕上げを行い、第3 回で発表することとなりました。

ワークショップのまとめ
「粕毛地区にはどんなお宝があるか」
発表内容から(抜粋)
第1班
神社の清掃を続ける方や、夫妻で町内会長・婦人会長を務める方などを紹介。
第2班
地区で唯一の商店を営む夫妻や、熊や鮭、蛍などに関する自然系ポイントを紹介。
第3班
首都圏から移住し自転車・木工・カメラなど趣味を楽しむ方などを紹介。
菊池氏コメントから
予想以上のものができあがりました。お宝マップのワークショップは、自然系や観光系に偏る例が多くなりがち。これほど人的資源に迫ったものはなかったように思います。これらのマップを活かしながら、さらに課題に向け進んでいきましょう。

【気づき】参加者からひとこと

「出会いと経験を忘れない、つなぎたい。」

●秋田県秋田市 「ARC(アーク)」 大場 澄慧さん
藤里を何度も訪問し、粕毛地区の皆さんに助けられながら「お宝マップ」を完成させました。どの家でも快く聞き取りに答えていただき、感動しました。ごちそうになった郷土料理も忘れ難いものです。藤里での出会いと経験は、メンバーが代替わりしてもつないでいきたいと思います。

秋田県秋田市 「ARC(アーク)」 大場 澄慧さん

第3回/ワークショップ
「お宝マップの発表会と粕毛の夢語り」

マップに込められた思いから、実現可能な夢を見つけよう。

第3回には、地元婦人会の女性たちも多数参加しました。初日は、ARCの学生たちによる「お宝マップ」の発表会と、事業化が可能なアイデアを考えるワークショップを実施。2日目には、それらの中から「自分ならこれをやりたい」アイデアを選び、各自が思いを語り合いました。

それぞれの思いを込めて「お宝マップ」を見上げる

ワークショップ「お宝マップ発表会」 菊池 新一氏

3枚の「お宝マップ」について、それぞれ担当した学生が詳しく解説しました。菊池氏から「これらのマップは、学生の努力はもちろん、粕毛の人たちが思いを受け入れてくれたおかげで完成した。その気持ちを汲みながら、より具体的な方策を見つけよう」とのコメントがありました。

発表内容から(抜粋)

薪割りの名人/薪積みの名人/ブラックベリーを育ててデザートを作る名人/鮎釣り名人と鮎料理の名人ご夫妻/板金職人/キノコマイスター/ 額縁づくりの名人/蛍の飛ぶ小川/熊の罠のある山

ワークショップ「粕毛の夢語り@」 菊池 新一氏

参加者全員で「お宝マップ」を閲覧し、情報を把握。3つのグループに分かれて「事業展開の可能性があるアイデア」をひとり7つずつ考え、模造紙にまとめました。

「事業展開の可能性があるアイデア」のまとめ(抜粋)
鮎やブラックベリー、野菜など「食」の地産地消をテーマに、着地体験型観光で誘客を図る。
空き家を整備し、若い人の合宿所に。宿泊時には釣りの名人などを講師に迎え、地域間交流と世代間交流両方の拠点にする。

ワークショップ「粕毛の夢語りA」 菊池 新一氏

初日にまとめられたアイデアから、参加者が「自分ならこれをやりたい」ものを選定。選んだ理由、どう展開するか、自分自身はどう関わるか、の3点について各々が発表しました。
発表内容から(抜粋)

  • 「粕毛だより」…粕毛地区や藤里町出身者や興味のある人に情報を発信し共有する。
  • 「農家レストラン」…特産の鮎など粕毛ならではの食材、メニューで。
  • 「空き家改装 学生の拠点化」…地元高校運動部などのまかない付き合宿所に。
  • 「宅配定期便グルメ会 CASGE(キャスゲ)倶楽部」…地域の食材や料理をCAS(キャス)冷凍※食品にして配送。
    ※CAS(キャス)冷凍 食材の細胞を破壊しない最新の冷凍技術。
    解凍しても鮮度や風味が損なわれません。

ワークショップのまとめ

「夢語り」終了後、さっそく農家レストランや「粕毛だより」について、具体的な提案や相談が行われるなど、会場は大いに盛り上がりました。参加者からは「どのアイデアも、皆で工夫して分担すればやれると思う。試しに何回かやってみて、気持ちを共有して、楽しくやっていきたい」とのコメントも。

【気づき】参加者からひとこと

「思いが形になっていく」

●ふじさと元気塾 藤原 弘章理事長
まちづくり元気塾がはじまった当初、みんなから出てくる言葉は断片的な「単語」でした。それが3回目には、夢のある「物語」に。思いが形になっていく現れなのかな、とうれしくなりました。でも、これからが本番です。歩みを止めず、前に進んでいきたいですね。

ふじさと元気塾 藤原 弘章理事長

「フォローアップ」研修

実施日
2017年11月18日(土)〜19日(日)
会 場
秋田県山本郡藤里町 粕毛交流センター
参加者
まちづくりパートナー
菊池新一氏、役重眞喜子氏
  • ふじさと元気塾(4名)、ARCグループ(2名)、粕毛地区の皆さん
実施内容
  • 【初日】活動状況報告と意見交換・ふるさと宅配便サポート会員拡大に向けてのワークショップ
  • 【2日目】現地視察(粕毛地区農家民宿)と意見交換

粕毛地区ではまちづくり元気塾を契機に、2017年度から農家民宿の営業がはじまりました。そこでフォローアップ研修では、農家民宿の運営に関する課題を検討。菊池氏らが先行事例を紹介しながら、具体的な対応策についてレクチャーを実施しました。特に運営の要となる主婦の悩みの解消に努め、「ふるさと宅配便」拡充のためのワークショップも行いました。

農家民宿の現地を視察、悩みについて聞く菊池氏

Afterword

■まとめ/まちづくりパートナーからのメッセージ

「お宝マップ」を通じて、一歩踏みだすための足がかりが見えてきました。まちづくりは「計画書づくり」だけで終わってはなりません。このマップに込められた気持ちを汲み取りながら、夢を実現する取り組みにつなげましょう。(菊池 新一氏)

■ひとこと/東北電力より

マップの中に粕毛地区の未来が見えた
「私も学生さんと共に現地調査を行いました。完成した「お宝マップ」には、地域の魅力や貴重な「人財」がたくさん反映されています。このマップから、粕毛地区の未来が広がっていくことでしょう。
(能代営業所 現:秋田県北営業所 所長 田中 康之)

※本文中に記載の役職等は、当時のものです。