第1回/話題提供とワークショップ
「もう一度、藤里町を知ろう」
プラス面とマイナス面、両方を踏まえて「夢」を語ろう。
前半は、パートナーの4名がまちづくりの先進事例や、取り組みの手法について話題を提供。後半では、地域を改めて見直すためのワークショップを行いました。
話題提供
地域活性化について、参加したパートナーがそれぞれの経験や考えるヒントを提供しました。他にない地域資源の掘りおこしや、人的ネットワークの大切さも強調。高峰氏からは、地区にどんな人がいて何ができるのか把握して、様々な企画が立てられるよう「人のデータベース」を作ろう、とのアドバイスがありました。
ワークショップ 菊池 新一氏
地域の皆さんと学生たちで6つのグループを編成。グループごとに藤里町の「プラス面」と「マイナス面」を抽出し、議論しながら整理しました。その上で、菊池氏がプラス面とマイナス面の両方を踏まえ、これから藤里で実現させたい「夢」を最低7つ提案し、共有するよう指示。まとめられた「夢」は発表され、参加者一同の共有を図りました。
- ワークショップのまとめ
- 発表内容から(抜粋)
- 藤里町の「プラス面」
- 川や滝、木々がきれい/人が少なくてコンパクトな町/お裾分けの習慣/棚田を守るお年寄り/鮎、ブラックベリー、木いちごなど美味しいものが多い
- 藤里町の「マイナス面」
- 良いところを地元の人が知らない/店舗やお年寄りの居場所が少ない/荒れた田畑が目立つ/道に人がいない/若さが足りない
- 藤里町の「夢語り」
- 白神山地グリーンツーリズムの拠点づくり/大人の遠足イベント/昔ながらの遊びや踊りを子どもに伝授/藤里町の美味いものでコース料理/レンタサイクルで広い町域を回る/空き家をリノベーションして学生の活動拠点に
【POINT】まちづくりパートナーより
「女性の「横のつながり」が、まちづくりを進める。」/役重
眞喜子氏
一般的に、男性は「問題を解決する」のが好き。縦のつながりを大事にします。女性は「問題を共有する」のを好み、横のつながりを上手に利用します。まちづくりを進める時、女性の「連携する力」を活かせるかどうかは重要なポイントです。
第2回/現地調査とワークショップ
「地域の価値を再発見! 粕毛地区のお宝マップを作ろう」
若者の視点でお宝を見つけ、地域の皆で共有したい。
前回のまとめを踏まえて、粕毛地区の人材や地域資源が一覧できる「お宝マップ」作成を目指しました。初日前半では、参加者と学生たちが現地調査を実施。後半から2日目にかけて、調査結果をマップにまとめました。
現地調査 菊池 新一氏
参加者と学生、パートナーの混成により3つの調査グループを編成し、地区内の家々を訪問。ARCの学生たちが中心になり、自然や食べ物、名所旧跡や祭事、ユニークな人材などについて聞き取り形式で調査しました。
ワークショップ 菊池 新一氏
グループごとに、聞き取り内容を付箋に記入。調査時に撮影した画像と共に、粕毛地区のマップに貼りこむ作業を行いました。調査のボリュームが大きかったため、所定時間内に作業が完了した分のみ全体に発表。未完成の部分は後日仕上げを行い、第3 回で発表することとなりました。
- ワークショップのまとめ
-
「粕毛地区にはどんなお宝があるか」
発表内容から(抜粋) - 第1班
- 神社の清掃を続ける方や、夫妻で町内会長・婦人会長を務める方などを紹介。
- 第2班
- 地区で唯一の商店を営む夫妻や、熊や鮭、蛍などに関する自然系ポイントを紹介。
- 第3班
- 首都圏から移住し自転車・木工・カメラなど趣味を楽しむ方などを紹介。
- 菊池氏コメントから
- 予想以上のものができあがりました。お宝マップのワークショップは、自然系や観光系に偏る例が多くなりがち。これほど人的資源に迫ったものはなかったように思います。これらのマップを活かしながら、さらに課題に向け進んでいきましょう。
第3回/ワークショップ
「お宝マップの発表会と粕毛の夢語り」
マップに込められた思いから、実現可能な夢を見つけよう。
第3回には、地元婦人会の女性たちも多数参加しました。初日は、ARCの学生たちによる「お宝マップ」の発表会と、事業化が可能なアイデアを考えるワークショップを実施。2日目には、それらの中から「自分ならこれをやりたい」アイデアを選び、各自が思いを語り合いました。
ワークショップ「お宝マップ発表会」 菊池 新一氏
3枚の「お宝マップ」について、それぞれ担当した学生が詳しく解説しました。菊池氏から「これらのマップは、学生の努力はもちろん、粕毛の人たちが思いを受け入れてくれたおかげで完成した。その気持ちを汲みながら、より具体的な方策を見つけよう」とのコメントがありました。
発表内容から(抜粋)
薪割りの名人/薪積みの名人/ブラックベリーを育ててデザートを作る名人/鮎釣り名人と鮎料理の名人ご夫妻/板金職人/キノコマイスター/ 額縁づくりの名人/蛍の飛ぶ小川/熊の罠のある山
ワークショップ「粕毛の夢語り@」 菊池 新一氏
参加者全員で「お宝マップ」を閲覧し、情報を把握。3つのグループに分かれて「事業展開の可能性があるアイデア」をひとり7つずつ考え、模造紙にまとめました。
- 「事業展開の可能性があるアイデア」のまとめ(抜粋)
- 鮎やブラックベリー、野菜など「食」の地産地消をテーマに、着地体験型観光で誘客を図る。
- 空き家を整備し、若い人の合宿所に。宿泊時には釣りの名人などを講師に迎え、地域間交流と世代間交流両方の拠点にする。
ワークショップ「粕毛の夢語りA」 菊池 新一氏
初日にまとめられたアイデアから、参加者が「自分ならこれをやりたい」ものを選定。選んだ理由、どう展開するか、自分自身はどう関わるか、の3点について各々が発表しました。
発表内容から(抜粋)
- 「粕毛だより」…粕毛地区や藤里町出身者や興味のある人に情報を発信し共有する。
- 「農家レストラン」…特産の鮎など粕毛ならではの食材、メニューで。
- 「空き家改装 学生の拠点化」…地元高校運動部などのまかない付き合宿所に。
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「宅配定期便グルメ会
CASGE(キャスゲ)倶楽部」…地域の食材や料理をCAS(キャス)冷凍※食品にして配送。
※CAS(キャス)冷凍 食材の細胞を破壊しない最新の冷凍技術。
解凍しても鮮度や風味が損なわれません。
ワークショップのまとめ
「夢語り」終了後、さっそく農家レストランや「粕毛だより」について、具体的な提案や相談が行われるなど、会場は大いに盛り上がりました。参加者からは「どのアイデアも、皆で工夫して分担すればやれると思う。試しに何回かやってみて、気持ちを共有して、楽しくやっていきたい」とのコメントも。
【気づき】参加者からひとこと
「思いが形になっていく」
●ふじさと元気塾 藤原 弘章理事長
まちづくり元気塾がはじまった当初、みんなから出てくる言葉は断片的な「単語」でした。それが3回目には、夢のある「物語」に。思いが形になっていく現れなのかな、とうれしくなりました。でも、これからが本番です。歩みを止めず、前に進んでいきたいですね。
「フォローアップ」研修
- 実施日
- 2017年11月18日(土)〜19日(日)
- 会 場
- 秋田県山本郡藤里町 粕毛交流センター
- 参加者
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- まちづくりパートナー
- 菊池新一氏、役重眞喜子氏
- ふじさと元気塾(4名)、ARCグループ(2名)、粕毛地区の皆さん
- 実施内容
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- 【初日】活動状況報告と意見交換・ふるさと宅配便サポート会員拡大に向けてのワークショップ
- 【2日目】現地視察(粕毛地区農家民宿)と意見交換
粕毛地区ではまちづくり元気塾を契機に、2017年度から農家民宿の営業がはじまりました。そこでフォローアップ研修では、農家民宿の運営に関する課題を検討。菊池氏らが先行事例を紹介しながら、具体的な対応策についてレクチャーを実施しました。特に運営の要となる主婦の悩みの解消に努め、「ふるさと宅配便」拡充のためのワークショップも行いました。
Afterword
■まとめ/まちづくりパートナーからのメッセージ
「お宝マップ」を通じて、一歩踏みだすための足がかりが見えてきました。まちづくりは「計画書づくり」だけで終わってはなりません。このマップに込められた気持ちを汲み取りながら、夢を実現する取り組みにつなげましょう。(菊池 新一氏)
■ひとこと/東北電力より
マップの中に粕毛地区の未来が見えた
「私も学生さんと共に現地調査を行いました。完成した「お宝マップ」には、地域の魅力や貴重な「人財」がたくさん反映されています。このマップから、粕毛地区の未来が広がっていくことでしょう。
(能代営業所 現:秋田県北営業所 所長 田中 康之)
※本文中に記載の役職等は、当時のものです。
【気づき】参加者からひとこと
「出会いと経験を忘れない、つなぎたい。」
●秋田県秋田市 「ARC(アーク)」 大場 澄慧さん
藤里を何度も訪問し、粕毛地区の皆さんに助けられながら「お宝マップ」を完成させました。どの家でも快く聞き取りに答えていただき、感動しました。ごちそうになった郷土料理も忘れ難いものです。藤里での出会いと経験は、メンバーが代替わりしてもつないでいきたいと思います。