DX事例

ロボット・AI技術を活用した設備パトロール自動化

【背景・課題】

電力の安定供給において、「設備の高経年化」や「ベテラン層の退職による人材不足・技術継承の困難化」といった課題が顕在化しています。火力発電所の安定運転(設備トラブルの未然防止)のためには、広大な敷地内にある多数の設備を所員がひとつずつきめ細かく巡視点検する必要があり、これには多くの時間と労力を要していました。また、設備の異常を早期に発見するためには、外観や音、振動などを手がかりとして、ベテラン所員の「感覚」や「一定の経験」に基づく判断に依存しているという課題があり、安定供給の確保を大前提とした業務効率化と技術継承が急務となっていました。

【取り組み内容】

これまで人間の手と感覚で行っていた設備パトロールを、ロボットやAI技術で自動化・支援するシステムを開発し、上越火力発電所1号機(新潟県上越市)に導入しました。

具体的には、自律走行可能な陸上ロボットが、指定されたルートを自動で巡回します。搭載されたカメラで計器類などの外観を撮影するほか、回転機器に設置したRFID技術を用いたセンサーから振動データを自動取得します。取得したデータはクラウドへ自動伝送され、画像解析では「学習時と異なる画像(差分)」を異常として検知し、振動解析では「過去データとの照合」によって異常の有無を自動で判定します。

AIが解析した点検結果はWEB上で一元管理されて確認できるほか、異常を検知した場合には中央制御室の所員へ速やかに警報が通知され、迅速な対応へとつなげる仕組みを構築しています。

全体イメージ
全体イメージ
自動巡回するロボットの様子
自動巡回するロボットの様子

【効果】

・設備異常の早期発見(保安の向上)

人が巡視していない時間帯にロボットが定期巡回することで、より早く異常に気付くことができ、設備保安の向上が期待されます。

・より正確な異常検知の実現(属人化の解消)

データとAIに基づく定量的な監視が可能となったことで、より正確で均一な異常検知を実現し、技術継承の課題解決への貢献が期待されます。

・火力発電所の安定運転と競争力強化

設備パトロールの手法が多様化・高度化されたことで、設備トラブルの未然防止体制が一層充実し、火力発電所の安定運転および競争力強化に大きく寄与しています。今後は運用を通じてシステムをさらに改良し、他の発電所や設備産業への展開も見据えています。