Ⅰ.電気料金の引下げについて
当社は、中長期の経営の方向性を示した「ビジョン2010」のもと、価格競争力の強化と財務体質の改善による経営基盤の強化を進めるなど、企業価値向上に向けた諸施策を展開しております。
こうした中、電力小売の部分自由化が開始された平成12年以降、経営効率化を加速しながら継続的に取り組んできたことにより、3度にわたり電気料金の引下げを実施してまいりました。
その後、平成17年4月からは高圧までの自由化範囲拡大や、日本卸電力取引所における取引開始などにより、広域的な競争を促す環境が整備され、競争は着実に進展しており、当社を取り巻く競争環境は一層厳しさを増しております。
このような厳しい経営環境の変化に的確かつ柔軟に対応するため、「平成18年度中期経営方針」では、「収益拡大とさらなる企業信頼度向上」を目指し、安定供給と安全確保を前提に、お客さまに喜ばれるエネルギーサービスの提供を通じて企業価値を高めるとともに、経営全般にわたる効率化を積極的に進めることとしております。
そのような中で、昨年10月に、「原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律(バックエンド法)」が施行され、使用済燃料の再処理等に要する費用を電気料金として申し受ける仕組みが変更されました。これに対応するとともに、お客さまの電気料金の引下げに対する強いご要望にお応えするため、電気料金の引下げを平成18年7月に実施することを念頭に準備を進めてまいりました。
今般、当社の経営効率化の進捗状況や収支見通しなどを総合的に判断した結果、経営効率化の成果を織込み電気料金の引下げを実施することといたしました。
具体的には、原価算定期間を平成18年4月から平成19年3月までの1年間とし、現行料金に比べ、規制部門料金平均で3.05%の引下げとなる電気料金の改定を平成18年7月1日から実施いたします。
なお、原価算定期間につきましては、今後の景気見通しや金利の動向など経営を取り巻く環境が不透明なことから、1年間といたしました。
当社は、今後ともお客さまから信頼され選択されるよう、引き続き徹底した経営効率化に取組み、良質で低廉な電気をお届けしてまいりたいと考えております。
Ⅱ.引下げの内容
- 1.実施期日
- 平成18年7月1日から実施いたします。
- 2.引下げ率
-
規制部門料金の平均引下げ率は、現行料金に対し3.05パーセントとなります。
<改定単価および引下げ率>
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改定単価
(円/kWh) |
現行単価
(円/kWh) |
引下げ率
(%) |
規制部門料金平均 |
21.49 |
22.16 |
▲ 3.05 |
※改定単価、現行単価には消費税等相当額は含んでおりません。
※現行単価には、平成18年1〜3月の通関統計実績に基づく燃料費調整額
(1.01円/kWh)を含みます。
【参考1】至近の電気料金改定状況
改定時期 |
改定率 |
平成 8年 1月改定 |
▲8.61% |
平成10年 2月改定 |
▲6.09% |
平成12年10月改定 |
▲5.68% |
平成14年 7月改定 |
▲7.10% |
平成17年 1月改定 |
▲4.23% |
平成18年 7月改定 |
▲3.05% |
※平成12年以降の引下げ率は規制部門料金平均の引下げ率
- 3.燃料費調整制度について
火力燃料費の増減を四半期ごとに電気料金に反映させる「燃料費調整制度」について、燃料費調整額算定の基準となる「基準燃料価格」および「基準単価」を次のとおり見直しいたしました。
なお、料金改定後の燃料費調整は、平成18年10月分の電気料金から適用いたします。
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改定 |
現行 |
基準燃料価格 |
23,000円/kl |
15,400円/kl |
基準単価(低圧供給) |
14銭1厘/kWh |
15銭3厘/kWh |
(注1) |
「基準単価」は平均燃料価格が基準燃料価格と比べて1,000円/kl変動した場合の値です。 |
(注2) |
算定諸元 |
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為替レート117円/ドル、原油CIF価格59.5ドル/バレル
*通関統計に基づく平成18年1月〜3月実績値の平均
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Ⅲ.引下げ後のお客さまの電気料金(試算例)
【参考2】ご家庭用(標準モデル)の電気料金の推移

【参考3】平成17年1月改定後の電気料金(標準モデル:燃料費調整額(※)含)の推移

(※) 燃料費調整制度は、為替レートなどの経済情勢の変化に伴う輸入火力燃料(原油、LNG、石炭)の価格変動を電気料金に速やかに反映させるため、燃料費の変動(上下)に応じて一定の基準のもと自動的に電気料金を調整する制度です。
【参考4】経営効率化への取組み
当社はこれまでも安定供給と安全確保を前提に経営全般にわたる効率化を進めてまいりました。経営環境がますます厳しさを増すことが予想される中で、今後もお客さまに当社の電気を引き続き選択していただくため、低廉な電気料金の実現に向けて、さらに徹底した経営効率化を全社一丸となって進めてまいります。
今回の電気料金の引下げでは、これまでの当社が推し進めてきた経営効率化に加え、今後のさらなる経営効率化の成果として200億円程度を織り込んでおります。
以下にその具体的な取組みを記載しております。
◇財務体質の改善
当社ではEVA
®(経済付加価値)という財務指標を社内の計画管理サイクルに導入し、企業価値の向上に向けた施策を展開しております。
そして、この取組みを具体的に展開するため、総資産営業利益率(ROA)、有利子負債残高および株主資本比率を中期的な財務目標として掲げ、収益性と資本効率の向上ならびに財務体質の改善をはかってまいります。
※EVA®は米国スターン・スチュワート社の登録商標です
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連結 |
単独 |
◎ 総資産営業利益率(ROA)
[5カ年平均(16〜20年度)]
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4%以上 |
4%以上 |
◎ 有利子負債残高
[平成20年度末までに]
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1兆9,000億円以下 |
1兆8,000億円以下 |
◎ 株主資本比率
[平成20年度末までに]
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25%以上 |
25%以上 |
<有利子負債残高と株主資本比率(単独)>
◇設備工事費の削減
設備工事費については、供給信頼度の維持をはかりながら、既存設備の一層の効率運用や設計・工法の合理化など工事全般にわたる一層の効率化を着実に進めていくこととしております。
◎設備工事費:3カ年平均(18〜20年度) 2,000億円以下
<設備別工事費の推移>
◇人員のスリム化
人員スリム化については、収益拡大に向けた販売力強化、安定供給のための人員投入をはかりながら、引き続き業務運営体制の見直しによる効率化を進め、20年度末まで12,000名以下まで抑制してまいります。
◎従業員数:平成20年度末までに12,000名以下
<従業員数と一人あたりの年間販売電力量の推移>
◇効率化施策
【販売機能】
・ 契約管理・事務手続きなどの業務効率化や集中化を推進します。
○営業所における料金関係業務や電話受付業務を集中化し、お客さまサービスと業務効率の向上をはかっておりますが、さらに、平成18年8月より電気新増設工事受付についても集中化し、業務効率の一層の向上をはかります。
- 【流通機能】
・ 現在の高い供給信頼度を維持しながら、コスト低減や効果的な設備投資による効率的運営を推進します。
○流通設備の日頃からの点検や補修工事などにより、事故の未然防止に努め、電力の安定供給を確保するとともに、送電・変電設備の巡視・日常点検の委託化や各種の業務支援システムの開発、技術センター設備工事・保守機能の集約など、保守・管理業務における効率化を進めております。
- 【発電機能】
・ 設備信頼度の維持をはかりながら、コスト低減や効果的な設備投資による効率的運営を推進します。
○世界最高クラスの熱効率50.6%を達成した東新潟火力4−1号系列をはじめ、東新潟火力3号系列、能代火力1・2号機、原町火力1・2号機などの高効率プラントを最大限に活用し、今後も火力発電所トータルの熱効率の維持・向上に努めてまいります。
○原子力発電は火力発電に比べ燃料費が安いため、原子力発電所を高い設備利用率で運転することにより、燃料費トータルを低減することができます。女川原子力発電所1、2、3号機は、平成15年度から定格熱出力一定運転(注)を導入しており、これにより設備利用率の向上をはかります。
○発電用燃料については、安定調達を基本に、エネルギー事情に対応しながらより経済的・弾力的な調達に取り組んでまいります。具体的には、輸送距離の短いサハリンからのLNGの購入を予定しております。また、石炭の中継基地として韓国のポスコターミナルを活用するなど、海外企業との相互協力体制の構築を進めております。
注)原子炉で発生する熱を一定に保つ運転方法です。海水(冷却水)温度が低い冬期などに多くの電気を作ることができ、原子力発電所の設備利用率向上につながります。
- 【間接機能】
・ 業務の集中化・外部化、組織・資産のスリム化などにより、コスト低減を推進します。
○本店内に「人財サポートセンター」「経理・総務サポートセンター」「資材購買センター」「建物サポートセンター」を設置し、全社の間接業務の集約化・一元化を図るとともに各支店の企画管理部門を再編することにより、コストの低減を進めております。
○効果的な資材調達手法の活用、新たな海外メーカーや製品の発掘、また、当社ホームページを活用した国内外からの幅広い資機材の調達を推進してまいります。