プレスリリース



(別紙)

女川原子力発電所相互評価結果の概要について

1.実施期間
  平成17年7月5日(火)〜平成17年7月7日(木)の3日間

2.実施対象
  女川原子力発電所
(所在地:宮城県牡鹿郡女川町および石巻市)
なお、女川原子力発電所における相互評価は、NSネットが第1回目を平成13年1月に実施しており、今回で2回目となります。

3.評価の考え方
 
(1) 安全文化の醸成、定着を図る上での事業運営
(方針と的確な組織体制の確立、継続的な教育・訓練)
(2) 事業に密着した業務(運転・保守、放射線防護)の中での安全文化、風土の定着
(3) 重要課題(原子力安全文化向上への取り組み、ヒューマンエラーの防止)

4.評価方法、項目
  次の5分野について現場視察、書類確認および面談を実施。
・組織・運営
・教育・訓練
・運転・保守
・放射線防護
・特定評価項目(原子力安全文化向上への取り組み・ヒューマンエラーの防止)

5.評価チーム
  (株)社会安全研究所※、(株)神戸製鋼所、三菱原子燃料(株)、三菱重工業(株) および日本原子力技術協会より各1名の計5名で構成

新たな試みとして、原子力産業以外の専門家による評価を一部導入し、質的向上を図った。

6.報告書の概要

  【主な結論】
 
(1) 今回の女川原子力発電所に対する評価結果を総括すると、原子力安全の面で直ちに改善措置を施さなければ、重大な事故の発生に繋がるような項目は見出されなかった。

(2)

社長が原子力安全に関する3つの「品質方針」として、“原子力発電所の安全・安定運転を行う”“社会的な信頼と安心作りに努める”“品質マネジメントを確実に行う”を示しており、女川原子力発電所においては、これらの方針に対してそれぞれの「品質目標」を掲げ、原子力安全の確保に取り組んでいる。

この品質方針のうち最初の2項目については、品質目標として「日常業務の確実な実施およびセーフティカルチャーの醸成」、「構内協力会社と一体となった各種活動の推進」、「何事も自由に言い合える風通しのよい職場雰囲気の醸成」、「各種法令、社内規程・基準、企業行動指針の実効ある展開」等を掲げ、平成10年8月に「安全運転宣言」を制定、毎年5月には「原子力エネルギー安全月間」での種々の活動を実施する等、セーフティカルチャーの醸成に積極的に取り組んでいる。

一方、3項目目の“品質マネジメントを確実に行う”については、平成15年10月に品質保証に関する要求事項が法令で定められ、女川原子力発電所でも「品質マネジメントシステム」を導入し、業務プロセスの整備や組織の再構築に着手しており、平成16年4月に「女川原子力発電所品質保証計画書」が制定された。「品質マネジメントシステム」の定着にはこれからも地道な活動が必要であり、そのためには、女川原子力発電所の安全運転宣言にある“これでいいのかと常に問い直す姿勢”で、「品質マネジメントシステム」の有効性を常に評価し、継続的な改善活動が展開されることが期待される。

(3)

女川原子力発電所は、1号機の営業運転開始後20年に亘り良好な運転実績を挙げているが、今後も、なお一層の安全文化の向上を目指して、国内の他の原子力発電所とのベンチマーキング等により、更なる自主保安活動を推進し、この良好な運転実績を継続していただきたい。
また、今回の相互評価で得られた成果が、協力会社に対しても展開されることが期待される。

  【良好事例】(5件)
 
「風通しのいい職場づくり」
  所長、管理職、担当者の各階層にわたって、意思の疎通、情報の共有化の重要性を共通認識として、「風通しのいい職場づくり」のために女川原子力発電所、協力会社一体となった活動を展開している。

「技術力のある会社」実現への姿勢
  「技術力のある会社として日本初の技術をやりたい」との思いを、経営層、管理職、担当者の各階層で共有しており、具体的な成果に結びついている。

「運転パラメータ評価会」による「異常兆候の早期発見」と情報の共有化
  異常兆候に繋がるプラントの傾向を早期に把握することを目的として、「運転パラメータ評価会」を月2回の頻度で開催して、共有情報を様々な視点から評価することで、「異常兆候の早期発見の確率を高めた」活動体制としている。

「know-why」教育による技術の伝承
  運転員の技術蓄積および継承のため各種技術を「オペレーションガイド」として整理し、勉強会等で活用している。
トラブルやヒヤリハット事例における教訓や設備保全上のノウハウを簡潔にとりまとめた「ワンペーパーマニュアル」を作成している。
単に手順の詳細などを示しているだけでなく、その根拠となる情報を解説するものとしており、「know-why」教育として活用している。

「騒音マップ」による安全衛生管理
  各所の騒音を測定し、「騒音マップ」を作成して掲示することにより、耳栓着用の必要な箇所を分かりやすい表現で周知して、注意喚起している。


  【改善提案】(5件)
 
原子力安全に関する「品質方針」のより具体的な展開
  課(室)レベルの品質目標/具体的実施方法への展開について、それぞれの業務内容に沿った内容にすることが望ましい。

「社内の監査内容」の工夫
  3種類の社内の監査システムを運用しているが、監査内容が重複しないよう工夫すると、より効果的な監査になると考えられる。

「教育訓練の責任体制」の明確化、「中長期的計画」の策定及び「教育訓練結果」の的確なフィードバック
  各個人の教育・訓練について中長期的な視点に立って計画を立てる役割を持つ責任者を設定し、その責任者に対しては各個人の過去の履歴等も活用できるような仕組みの構築が望まれる。また、教育訓練の評価結果についても適切なフィードバックを行い、教育訓練成果の確認と各自の訓練計画の見直しにつなげることが望まれる。

安全等に関する会議体の「効率的な運用と実効性向上」
  類似・関連する会議体の統合等を通じて効率的かつ実効性のある体制へ整理することの要否を検討し、現場の負担との兼ね合いで最適と考えられる方向を目指すことが望ましい。

「ヒューマンファクターへの取組み」の改善
  ヒューマンエラー防止検討会においては、背景となるヒューマンファクター要因まで迫る原因分析と対策の検討が望まれる。
ヒヤリハット事例分析活動は、既存の仕組みを活用しつつ、時期毎にテーマを定めて展開するなど、現場負担を軽減するための工夫をこらした活動とすることが必要である。
所員のヒューマンファクターへの理解を深めるための教育等を継続改善していくことも望まれる。

以上


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