電気料金引下げの概要

平成16年11月24日
東北電力株式会社

Ⅰ.電気料金改定の理由

 当社は、中長期を睨んだ「ビジョン2010」のもと、価格競争力の強化と財務体質の改善による経営基盤の強化、金融・資本市場からの信認獲得のため、総資産営業利益率(ROA)と有利子負債残高、株主資本比率を財務目標として設定し、企業価値向上に向けた諸施策を展開してきております。
 こうした中、平成14年7月には、電気料金の引下げを実施し、あわせて料金メニューの多様化によりお客さまの選択肢の拡大をはかったところであります。

 その後、段階的に小売自由化範囲の拡大が進められることとなり、平成16年4月からは新たに高圧500kW以上のお客さまが、さらに平成17年4月からは全ての高圧のお客さまが自由化対象となり、当社を取巻く競争環境は一層厳しさを増すものと考えております。
 このような厳しい経営環境の変化に的確かつ柔軟に対応するため、「平成16年度 中期経営方針」では、お客さまに喜ばれるエネルギーサービスの提供を通じて「収益拡大とさらなる企業信頼度向上」を目指すこととしており、さらなるコスト削減に向けて設備工事費や社員数について従来の目標水準の深掘りを行うなど、経営効率化への取組みを一層加速化しております。

 そのような中で、当社は、お客さまの電気料金の引下げに対する強いご要望に早期にお応えするため、電気料金の引下げを平成17年1月に実施することを念頭に準備を進めてまいりました

 今般、当社の経営効率化の進捗状況や収支見通しなどを総合的に判断した結果、電気料金の引下げを実施することといたしました。

 具体的には、原価算定期間を平成16年10月から平成17年9月までの1年間とし、規制部門料金平均で4.23%の引下げとなる電気料金の改定を平成17年1月1日から実施いたします。

 当社は、今後ともお客さまから信頼され選択されるよう、引き続き徹底した経営効率化に取組み、良質で低廉な電気をお届けしてまいりたいと考えております。



Ⅱ.引下げの内容

1.実施期日
  
    平成17年1月1日から実施いたします。

2.引下げ率

  規制部門料金の平均引下げ率は、現行料金に対し4.23パーセントとなります。

<新単価および引下げ率>

 

新単価

(円/kWh)

旧単価

(円/kWh)

引下げ率

(%)

電灯計

20.98

22.00

4.61

電力計

16.65

17.30

3.77

電灯・電力計

18.79

19.62

4.23

※単価および引下げ率は、自由化対象となっている特別高圧および高圧500kW以上のお客さまを除いたものです。

3.新料金の総原価

 (1)原価算定期間

    平成16年10月から平成17年9月までの1年間。

 (2)総原価

項目 原価額 構成比
営業費 人件費 1,664 14.0
燃料費 2,403 20.2
修繕費 1,600 13.4
減価償却費 2,337 19.6
公租公課 1,007 8.4
購入電力料 2,229 18.7
その他経費 1,686 14.1
12,925 108.5
電気事業報酬 937 7.9
控除収益 ▲ 1,948 ▲ 16.4
総原価 11,913 100.0

(注)原価額は項目ごとに億円単位で四捨五入しているため、合計と一致しない。


(3)燃料費

    為替レート  110円/ドル
    原油価格    38.5ドル/バレル

(4)事業報酬率

            3.2%

4.料金制度等の主な変更内容

基準燃料価格等の変更
   為替レートや原油価格等の変動に伴う火力発電所の輸入燃料価格の変化を 迅速に電気料金に反映させるため、全てのお客さまを対象として、燃料費の変動に応じて定期的に電気料金を調整する「燃料費調整制度」を導入しておりますが、今回は燃料費調整制度における「基準燃料価格」と「基準となる燃料費調整単価」が次のとおり変更となっております。

■基準燃料価格
  基準燃料価格は、15,400円/klです。

※ 基準燃料価格は、総原価算定の前提となる為替レート、 原油価格にもとづき算定しております。

■基準となる燃料費調整単価
   平均燃料価格が1,000 円/kl変動した場合の従量制供給 のお客さまの基準単価は次のとおりです。

  ・低圧供給の場合(ご家庭など)     15銭3厘/kWh
  ・高圧供給の場合(ビル・工場など)   14銭7厘/kWh



Ⅲ.引下げ後のお客さまの電気料金(試算例)

1.家庭用のお客さま向けメニュー

(1)従量電灯B(ご家庭等で照明や電化製品等をご使用になるご契約)

 契約種別が従量電灯Bのお客さまで、契約電流が30アンペア、1カ月のご使用電力量が280キロワットアワー(4人家族の標準的なご家庭)の場合

現行料金 6,402円
新料金 6,121円
引下げ額 281円
引下げ率 4.4%
 
現行料金は、至近(平成16年7・8・9月)の通関統計実績の輸入燃料価格に もとづき算定した燃料費調整額を含んだ金額です。以下同様です。
算定額は、消費税を含みます。以下同様です。


(2)時間帯別電灯A(夜間8時間型)

 ご家庭等で夜間へ電気の使用を移行できるお客さま

 契約種別が時間帯別電灯Aのお客さまで、契約容量が8キロボルトアンペア、1カ月のご使用電力量が1,500キロワットアワー(うち夜間使用量900キロワットアワー)の場合

現行料金 23,986円
新料金 22,968円
引下げ額 1,018円
引下げ率 4.2%


2.業務用のお客さま向けメニュー

業務用電力(スーパー,事務所ビル等のご契約)

 契約種別が業務用電力のお客さまで、契約電力が150キロワット、1カ月のご使用電力量が30,000キロワットアワー、力率が100%の場合

現行料金 565,031円
新料金 535,736円
引下げ額 29,295円
引下げ率 5.2%

※上記の業務用電力の料金は、「その他季料金」(10月〜6月)の料金単価で算定しております。


3.高圧電力のお客さま向けメニュー

高圧電力A(中小規模の工場等のご契約)

 契約種別が高圧電力Aのお客さまで、契約電力が200キロワット、1カ月のご使用電力量が48,000キロワットアワー、力率が100%の場合

現行料金 723,240円
新料金 701,568円
引下げ額 21,672円
引下げ率 3.0%

※上記の高圧電力Aの料金は、「その他季料金」(10月〜6月)の料金単価で算定しております。




<参考1>至近の電気料金改定状況

  改定率 指数
平成 元年 100
平成 8年 1月改定 ▲8.61% 91
平成10年 2月改定 ▲6.09% 86
平成12年10月改定 ▲5.68% 81
平成14年 7月改定 ▲7.10% 75
平成17年 1月改定 ▲4.23% 72

※指数は平成元年4月の水準を100として算定
※平成12年、14年、17年の改定率は規制部門平均の改定率



<参考2>当社の経営効率化の取組みについて

 当社はこれまでも経営全般にわたる効率化を進めてまいりました。経営環境がますます厳しさを増すことが予想される中で、今後もお客さまに当社の電気を引き続き選択していただくため、低廉な電気料金の実現に向けて、さらに徹底したコストダウンを全社一丸となって進めてまいります。


◇財務体質の改善

 当社は、企業価値向上をはかるため、厳しい競争環境下においてもEVA®を継続的に創出するROAレベルを達成し、資本コスト削減に資する有利子負債削減の推進と資産スリム化の徹底をはかり、財務体質を改善してまいります。

※EVA®は米国スターン・スチュワート社の登録商標です


◎単独総資産営業利益率(ROA):5カ年平均(16〜20年度)で4%以上
◎単独有利子負債残高:平成20年度末までに1兆8,000億円以下
◎単独株主資本比率 :平成20年度末までに25%以上


<有利子負債残高と株主資本比率(単独)>



◇設備工事費の削減

 設備工事費については、現有設備の一層の効率運用や設計・工法の合理化など工事全般にわたる一層の効率化を着実に進めていくこととしております。

◎設備工事費:3カ年平均(16〜18年度) 2,000億円以下



<設備別工事費の推移>




◇修繕費の効率化

 修繕費については、新規大規模電源の運転開始による設備の増加や、今後の設備の経年化による維持管理費用の増加等が見込まれるものの、設備管理技術の向上などによる一層の効率化により、供給信頼度維持との両立をはかりながら抑制してまいります。

◎修繕費:3カ年平均(16〜18年度)で1,600億円以下

<修繕費の推移>




◇人員のスリム化

 従業員数は、平成15年度計画(17年度末までに12,300名)からさらに300名程度削減し、12,000名程度まで抑制してまいります。

◎従業員数:平成18年度末までに12,000名程度に抑制

<従業員数と一人あたりの年間販売電力量の推移>



◇業務運営の効率化

平成16年8月より営業所の電話受付業務をコールセンターに集中・専任化し、お客さまサービスと業務生産性の一層の向上をはかっております。

送電・変電設備の巡視・日常点検の委託化や業務支援システムの開発、技術センター設備工事および保守機能の集約等、管理業務における効率化を進めています。

燃料油・海外炭の競争入札については、今後とも市況ならびに需給動向を見極めながら効果的に実施してまいります。このうち海外炭の入札にあたっては、石炭銘柄にこだわらず当社の発電所で使用可能な石炭の品位のみを指定する石炭調達を実施しており、コスト削減に寄与しております。また、平成15年度に自社開発したインターネットによる競争入札システムを活用することで、一層のコスト削減をはかっております。

今年8月に、支店で実施している総務・経理・資材業務について、本店に集中化するなど、間接部門のスリム化に努めております。

サプライチェーンマネジメントの推進や発注方式の多様化、新たな海外メーカーの発掘等により、資材調達コストの低減に努めております。