日本温暖化ガス削減基金(JGRF)への参加について

平成16年11月15日

 当社はこのたび、地球温暖化防止に向けた新たな施策の一環として、本年12月に創設予定の「日本温暖化ガス削減基金(Japan GHG Reduction Fund、以下「JGRF」)」に参加し、総額1,000万ドルを出資することとしました。

 JGRFは、国際協力銀行と日本政策投資銀行を中心に、国内の企業35社程度が参加し設立する炭素基金で、両銀行のもつ国内外ネットワークや豊富な業務経験に基づく優良なプロジェクトの発掘が可能と考えられるほか、政府系金融機関によるファンドであるため、信頼性も高く、複数のプロジェクトへの分散投資により、CO2クレジットの安価かつ安定的な獲得が期待されます。

 先進国の温室効果ガス削減目標を定めた京都議定書は、来年2月にも発効する見通しとなっており、地球規模で温室効果ガスの排出抑制に寄与する実効的な対策として、「京都メカニズム」(注1)の活用に対する期待が高まりつつあります。
 当社ではこれまで、こうした「京都メカニズム」の活用を視野に入れた自主的かつ先行的な取り組みとして、世界銀行炭素基金(注2)やオーストラリアでの植林事業(注3)への出資、カザフスタン共和国での省エネルギーモデル事業(注4)の実施などに取り組んでまいりました。

 当社は、地球温暖化防止に向け、原子力発電やLNG火力発電の開発、火力発電所における熱効率の向上など、さまざまな設備面の対策により、CO2排出の抑制に努めてきておりますが、こうした取り組みとともに、「京都メカニズム」の一層の活用を通じ、地球規模での温暖化防止にも貢献してまいりたいと考えています。

 なお、同基金の概要は別紙のとおりです。

以上

(注1)京都メカニズム:
   温室効果ガスの削減目標を国際協調によって達成するための「京都メカニズム」には、以下の3つの制度があります。
  @「排出量取引」
    ・削減目標達成のため、先進国同士が排出量を売買する制度
  A「共同実施(JI)」
    ・先進国同士が共同で事業を実施し、その削減分を投資国が自国の目標達成に利用できる制度
  B「クリーン開発メカニズム(CDM)」
    ・先進国と途上国が共同で事業を実施し、その削減分を投資国(先進国)が自国 の目標達成に利用できる制度

(注2)世界銀行炭素基金:
   世界銀行が設立したCO2クレジットの獲得を目的とする基金。主要先進国または企業等からの出資金をもとに、開発途上国や東欧諸国における温室効果ガス削減プロジェクトに投資し、そのプロジェクトの実行により得られた温室効果ガス削減相当量を、CO2クレジットとして出資者に還元します。

(注3)オーストラリアでの植林事業:
   当社は、1999年より、西オーストラリア州のAPFL社が実施する植林事業に参加し、出資をしています。本事業では、植林木の伐採(製紙原料として販売)・再植林を繰り返すことで、CO2の吸収・固定を図ります。(2004年3月現在の植林面積は約2万4,000ha)

(注4)カザフスタン共和国での省エネルギーモデル事業:
   当社は、NEDO受託事業として、西カザフ州ウラルスク市の熱電併給所に、日本で導入実績のある高効率ガスタービン・コジェネレーション設備を建設中であり、2005年7月に運転を開始する予定です。本事業は、わが国初の共同実施(JI)案件として、政府から承認されています。

(別紙)日本温暖化ガス削減基金(JGRF)の概要